ケータイでFTTH並みの速度を実現!次世代の通信規格「LTE」の最前線【最新ハイテク講座】


最近の携帯電話は、メール機能や音楽再生機能、デジカメ機能など多機能化が進んでいるが、そんな携帯電話に新たな展開が見え始めている。

総務省は2009年1月23日、「3.9世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設に関する指針案等」を発表。
LTEなどの3.9G通信システムを導入するために1.5GHz帯と1.7GHz帯の周波数の10MHzもしくは15MHzを最大4事業者に割り当てる方針を示した。
3.9G導入用周波数、1.5GHz帯と1.7GHz帯を最大4事業者に割り当ての方針──総務省 - ITmedia +D モバイル

この発表にともない、キャリアの動きも活発化している。ソフトバンクは2009年2月16日、LTE実験局の免許を取得した。LTEなどに代表される3.9Gの通信技術が導入され、データの通信速度は100Mbit/秒を超えるというものだ。
LTEシステムの無線実験局免許の取得について - ソフトバンクモバイル

そこで今回は、最近にわかに現実味を帯びてきた「LTE」についてみてみよう。


●そもそもLTEってなに?
LTEとは、「Long Term Evolution」の略称で、2010年頃から世界中でのサービスが見込まれている携帯電話の通信規格だ。標準化団体3GPPが3GPP Release.8として標準化の作業が進められいる。

現在、普及しているW-CDMAやCDMA2000といった第3世代携帯電話(3G)と将来登場する第4世代携帯電話(4G)との間の技術であるため、LTEは第3.9世代携帯電話(3.9G)とも呼ばれている。


●LTEでなにが変わるのか
LTEの最大の魅力は、携帯電話でも光ブロードバンド(FTTH)並みの通信速度が実現できる点だ。これまで家庭やオフィスなど屋内の固定回線でのみ得られていた高速インターネットが屋外でも可能となり、対戦型オンラインゲームや動画再生などが従来の携帯電話よりもスムーズに表示できるようになるわけだ。


●LTEの技術
LTEでは、通信データのダウンロード(下り)とアップロード(上り)とで異なる接続方式を採用している。

下りはOFDMA※2で100Mbps以上、上りはSC-FDMA※2で50Mbps以上の通信速度を条件として仕様策定が進められている(いずれも20MHz幅)。
※1 Orthogonal Frequency Division Multiple Access(直交周波数分割多元接続)
※2 Single Carrier Frequency Division Multiple Access(シングルキャリア周波数分割多元接続)

パケット通信のみに対応しており、音声の通信はVoIPでサポート。 LTEは基本的に3Gと同じ周波数帯域を使用しており、帯域幅は1.4/3/5/10/15/20MHzを選択して使用できるほか、伝送遅延、待ち受けからの通信状態への遅延を低減する技術も盛り込まれており、使い勝手も向上するものと期待されている。

表1.LTEで使用されている技術
周波数帯域幅1.4, 3, 5, 10, 15, 20MHzから選択(最大20MHz)
データ変調方式QPSK、16QAM、64QAMのいずれか(上り方向では64QAMはオプション)
多重化方式OFDMA(下り)/SC-FDMA(上り)/上りでは単一搬送波を使うSC-FDMAの採用により、電力消費量の削減を考慮した
全二重化モードFDDまたはTDD
経路多重化(基地局アンテナ×端末アンテナ)1×2, 2×2, 4×2, 4×4 MIMO



●端末の使いまわしも可能に
LTEには、通信速度以外の御利益もありそうだ。

現在、ドコモとソフトバンクモバイル、イーモバイルの3社はW-CDMA、auのみがCDMA2000を採用している。各キャリアはほかのキャリアの端末が使用できないようにSIMロックがかかっているが、SIMロックがフリー化されると同一規格のキャリア同士であれば利用できるようになる。ただ、通信規格の異なるau端末だけはほかのキャリアのSIMおよび端末は利用できない。

端末規格がLTEに統一されれば、SIMロックのフリー化は進めやすくなり、携帯電話とキャリア間の縛りもなくなると考えられているのだ。


●LTEの現状と今後
LTEは、ドコモ、ソフトバンク、KDDI、イー・モバイルが導入予定で、早ければ2010年に登場する。各キャリアは、本格導入に向け、屋外実証実験に向けての開発を進めている。

そんなLTEにも強力なライバルがいる。UQコミュニケーションズは、2.5GHz帯を使用した高速通信「モバイルWiMAX」を2009年2月26日より開始することを表明。ウィルコムも「次世代PHS」を投入予定であり、モバイル通信は高速かつ熾烈なユーザー獲得競争に入るものと推察される。


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