スマホのカメラの実力を探る!カメラの画質の善し悪しは自分次第?「Lollipop Raw Camera」を使ってみた【Androidアプリ】
Nexus 5で本格的なカメラRAW撮影! |
最近のスマートフォン(スマホ)はカメラの高画素化や高性能レンズなどを搭載することで機能をアピールする製品が増えてきた。また、最もよく使う機能のひとつであるカメラの画質がスマホ購入の決め手という人もいるのではないか。
今回は、そんな各メーカーが力を入れているカメラ画質をユーザーが自由に作り込むことができる"RAW撮影"に対応したAndroid向けアプリ「Lollipop Raw Camera」を紹介していこうと思う。
アプリ名に「Lollipop」とついているように、このカメラアプリは「Android 5.0」(開発コード:Lollipop)に追加されたカメラRAW撮影機能が使えるアプリだ。
Nexus 5の標準カメラで撮影した写真の一部を等倍に切り出した
Lollipop Raw Cameraで撮影したデータをPCで現像処理をしたサンプル。こちらも写真の一部を等倍に切り出している
そもそもカメラRAWとは何か?だが、通常カメラアプリで撮影すると「JPEG」(ジェイペグ)形式の画像ファイルで保存され、ビュワーアプリで画像を閲覧できる。
カメラRAWはこのJPEG形式として記録する前の、イメージセンサーからの出力をそのまま保存した生(=RAW)データなのである。
何故、生データなのかというと、イメージセンサーは光の強弱を記録できるが「色」を記録することはできない。そこで、イメージセンサーの各画素「RGB(赤・緑・青)」のカラーフィルター越しに色を記録する。これがカメラRAWデータだ。
こうして本来ならモノクロデータとなるところをRGBの色情報から色を合成しカラー写真を生成する。さらにメーカーごとにノイズ処理や味付けをした後、誰もが写真として見ることができるJPEG形式で保存している。
ちなみにJPEGのもう一つのメリットはファイルサイズで、Nexus 5の場合は約2MBだがカメラRAWの場合は15.4MBの巨大なデータとなる。
前置きが長くなったが、Lollipop Raw CameraはこのカメラRAW撮影に特化したアプリで、主に現在Lollipopが動作するNexusシリーズ向けのアプリと言って良いだろう。
アプリ自体はシャッターボタンしかなく、露出補正やフォーカスポイントの指定もできない非常にシンプルなものなので操作については割愛させて貰う。
では、カメラRAWで撮った画像はどうなのだろうか?保存されるカメラRAWはアドビシステムが開発したデータ形式Digital Negative(DNG)ファイルだ。
DNGファイルはPhotoshopをはじめとするPC向けソフトウェアで「現像」処理が可能なので、PhotoshopでカメラRAWデータとNexus 5の標準カメラで撮影した写真を比較検証していこう。
左がカメラRAWデータでノイズリダクションをすべてオフにした状態。右はNexus 5の標準カメラだ。左側はカラーノイズが多く荒れたような印象を受けるだろう。右は一見するとノイズがなく綺麗に見えるのだが、葉の表面などの細かい様子がすべてかき消されており不自然な印象を受ける。
スマホやコンパクトデジカメなどイメージセンサーが小さいカメラではこのようなノイズを除去するためにどうしてもツルツルの立体感のない写真となってしまう。
どうしてそのようになるのかをカメラRAW画像で再現してみた。
まずは、ノイズリダクションオフの状態。カラーノイズが多いが、葉の向きや細かい陰影が確認できる。
現像パラメーターを調整して、カラーノイズを消してみた。赤や緑など気になるノイズはなくなったが、同時に被写体に多く含まれる黄色と茶色しか残らない不自然なくすんだような画像となった。
前の設定でカラーノイズを除去することはできたがザラザラした輝度ノイズが残ってしまっている。そこで今度は輝度ノイズを除去してみた。
ノイズはまったくなくなったが葉の表面がすべて均一となりメリハリがなくなってしまった。なかには「自分のスマホはこんな画質かも」なんて感じた人もいるのでは?!
各メーカーはさまざまな経験則に基づきノイズの除去の割合を変えているが、基本的にこのような画像処理を行っている。
カメラRAWならノイズと色、解像感をどのように見せるかを自分で設定できるのが強みとなる。
また、デジタル処理で明るさ(露出)を撮影後に変更できるのもカメラRAWの特徴だ。もちろんJPEGでも編集ソフトで明るさを変更できるが厳密には方法が違うため明るさを変更してもカメラRAWの方が画質的にも有利となる。
こちらは標準の出力。
Photoshopの露出補正で-5段まで暗くした状態。白飛びしている部分は復元できないが明るい部分の輝度情報に基づいた画像編集が可能だ。
+5まで露出補正をためしてみたが真っ白になってしまったため、+2.45段まで明るくした状態がこちら。殆ど白く飛んでしまったが、暗くて見えなかった茂みの中の木の枝などが分かるようになった。
このようにしてカメラRAWで撮影して「一手間」かければスマホとは思えない綺麗な写真を「出力」できるようになる。
左がカメラRAW、右はNexus 5の標準カメラ。カメラRAWのデータからホワイトバランスとトーンカーブなどを調整してグッと引き締まるよう仕上げてみた。
DNG形式のデータをAndroid端末でも扱えるアプリがあるのでPCがなくても現像処理が可能だ。
Lollipop Raw Cameraは素材を記録するだけのカメラアプリだが、今後カメラRAW撮影に対応した使いやすいカメラアプリの登場に期待したい。
記事執筆:mi2_303
アプリ名:Lollipop Raw Camera
価格:無料
カテゴリ: 写真