災害時対応にも期待! 自治体専用ビジネスチャット「LoGoチャット」リリース
ふるさと納税サイトの「ふるさとチョイス」で知られる株式会社トラストバンクが、11月1日にLGWAN-ASPを活用した自治体専用ビジネスチャットツール「LoGo(ロゴ)チャット」の提供開始を発表しました。
LGWANとはインターネットと分離して高いセキュリティー環境を保っている自治体専用ネットワークのこと。セキュアな環境が保たれる反面、インターネット上で使用されているツールの流用性は低く、チャットツールもまた一般的なものは使用できませんでした。そのためこれまで自治体がチャットツールを取り入れる場合は庁内のサーバーにアプリケーションを導入して使用する方法がとられていましたが、初期費用や運用費が高く、導入までに時間がかかり、外部とのやりとりはできないというデメリットもありました。
「LoGoチャット」は、すべての自治体のLGWAN回線に接続できるLGWAN-ASPというネットワーク環境に設置したクラウド型サービスとして提供することでこれらの問題を解消。低コストで迅速に導入できることはもちろん、他の自治体とのやりとりができるのも「LoGoチャット」ならではの魅力です。
チャットを使えば電話やメールよりも効率的にコミュニケーションが図れ、複数人での簡易な会議も可能になります。さらにファイルの送受信で情報共有もスムーズです。トラストバンクによる調査では、民間企業で同様のチャットツールを使った場合、1人あたり平均1日27分、年間約150時間の削減効果がみられたといいます。
働き方改革が促進されるなか、民間でも注目が集まっているビジネスチャットですが、地方自治体もそれは同じです。自治体職員数は過去24年間で約55万人減少(出典:総務省「地方公共団体の総職員数の推移〜平成30年」)しましたが、地域課題の複雑化や災害対応など業務は増大しており、ICTの活用による行政事務の効率化が推進されているのです。そんななか登場した「LoGoチャット」に注目が集まりそうです。
今年9月より1年間の無料トライアルの受付が開始されており、すでに36自治体(10月31日時点)が利用中ということです。今回の発表会に参加した埼玉県深谷市は、職員1,100人が活用した場合、年間66,000時間、経費にして2億6,400万円が削減できるとの試算を出しています。
また日々の業務の効率化だけではなく、昨今頻発する災害対応時の対応にも円滑な情報共有が期待できると話すのが、先の台風19号で被災した際、職員間のやりとりでLoGoチャットを活用したという福島県伊達市の幕田さんです。
幕田さんは「現場は大変な混乱ですから、電話ではお互いに要領を得ない。そんななか一番便利だったのがリアルタイムで全員がつながるLoGoチャットでした。避難所が今どういう物資を欲しているのか、状況はどうなっているのか、そうした現場の報告が文字に残るので、在庁職員もスムーズに対応できるんですね。災害時に一番の効果を感じました」と話します。
2020年1月には、各自治体から要望も高いというモバイル端末アプリの提供も開始予定とのこと。地方自治体を支える職員の働き方改革の一助として、また災害時の緊急対応にも欠かせないツールとして活躍が期待できそうです。