実際には検査してないのにマークがある? 「PSEマーク」に潜む電化製品の危険性【デジ通】


集団的自衛権の行使といった「国の安全」、ベネッセの個人情報流出に見られる「情報の安全」、中国食品工場の期限切れ肉の混入による「食の安全」と、ここのところ様々な安全が脅かされている。電化製品にも安全を示す「PSEマーク」があり、このマークを確認することで、その商品を使っても安全だとわかるようになっているのだが最近、どうもそれが微妙になってきたようだ・・・。

日本で販売されている電気用品には、電気用品安全法の安全性を満たしていること示す「PSEマーク」がついている。PSEマークの対象となる品目は指定されており、古い製品等で一部例外となる製品もあるが、基本的にPSEマークのない電気用品は、日本国内で販売することができない。

これは、海外の製品でも適用される。たとえば海外で販売されているPSEマークのない製品を業者が輸入し、日本で販売することはできない。それがたと日本製であってもだ。しかし、個人輸入での使用では、この原則が適用されない場合もあるという。原則としてPSEマークがついていないとダメだが、付いていなくても使用には問題がないというケースもあり、ちょっとややこしい。

■事故防止のために決まったPSEマーク
電気用品安全法が定める「PSEマーク」は、日本で販売する製品に関して、民間事業者が自主的に安全性を確保することを促進し、電気用品による事故の発生を防止することを目的とされている。このため、外国人が自分で使うためにPSEマークのない電気用品を自国から持ち込み、自己責任において使う場合は適用外となる。

海外在住であった日本人が、住んでいた国で購入して使用していた製品を日本に持ち帰って使う場合でも同じだ。これはPSEマークを付ける義務を負うのが個人ではなく製品の輸入元や販売元(事業者や企業)であるためだ。

技術基準適合証明(技適マーク)がない海外の通信機器を日本で使えば違法になる電波法とは異なり、相手が個人の場合に限るがPSEマークは比較的柔軟な運用がされていることがわかる。

■PSEマークを付けないと販売できないケース
前述したように海外で販売されている製品を日本に輸入して事業者が販売する際には、適合性検査を受けPSEマークの取得が必要だ。PSEマークを表示するためには、必ず適合性検査をしてその製品が使用しても安全である事を確認しなければならず、電気製品を輸入して販売する事業者は、こうしたコストのかかる手続きが義務づけられている。

利益のために販売する事業者と異なり、一般消費者は海外の製品を利用できるが、一部注意しなければならない。それが、オークション等で転売する場合で、金品による取引では事業者と見なされ、電気用品安全法に該当してしまう可能性があるため注意が必要だ。あげます・譲りますの場合は金品による取引が発生しないため、こちらはOKとなる。

消費者としては、日本で製品を購入する際にPSEマークの有無を確認したほうがいいのは当然だが、このマークが本当に検査済みなのかどうかを判断するのは困難だ。技適マークの場合、インターネットで機器の検索ができるがPSEマークの場合はできない。そのため事業者に書類の保管が義務図けられているものの、消費者は製品に付いている表示を信じるしかないというのが実情だ。

そして6月には大手ホームセンターがPSEマークに関して法令に違反したことで行政処分を受けていることが発覚。検査を受けるコストを惜しんだ結果とみられるが、こういうことをされてしまうと、電気製品で何を購入したら安全なのか、ということが分からなくなってしまう。

もちろんほとんどの事業者はPSEマークを適切に運用していると思われるが、今回の大手ホームセンターの例のように実際は検査を受けてないのに受けたかのようにして、PSEマークを表示している場合もないとは言えないわけで、今後は消費者としてはPSEマークがあっても「偽造の可能性がある」ということを、十分念頭に入れて買い物をする必要があるだろう。今、日本は様々な意味での「安全」を見直す時期に来ているのかもしれない。

■総務省の技適マークのサイト
■経済産業省の電気用品安全法

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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