「ホラーは苦手」満島ひかりと『呪怨』の俊雄くんが握手


 2009年度新人女優賞を総なめにし、いま最も期待される若手No.1女優・満島ひかりが主演を務め、『THE JUON/呪怨』で全世界へ究極の恐怖を提供し、『戦慄迷宮3D』で日本及びアジア圏初の3D映画のパイオニアとなった清水崇が監督を務める映画『ラビット・ホラー3D』。9月17日の公開に先駆けて、7月21日には東京・シネマート新宿にて完成披露試写が行われた。

 上映前には舞台挨拶が行われ、観客の拍手に迎えられる中、清水崇 監督、満島ひかり、渋谷武尊が登壇した。

満島ひかり他、舞台挨拶のフォトギャラリー(写真20枚)

恐怖の国のアリス

――満島さんはホラー映画の主演作は初めてですよね。オファーを受けた時の印象は如何でしたか?

満島ひかり(以降、満島):台本を読んですぐに「この作品に参加しよう!」と決断したのは覚えてます。私が苦手としてる部類のホラー映画ではなかったから、これなら参加できると。中学生の頃にホラー映画を観て、夢に出てきちゃって、一週間眠れないことがあったので、ホラー映画は気持ちが遠のく感じがあったんですけど、今回の作品は読んでて何か心にくるものがあったんですよね。

――ウサギが出てきて、また別の世界に行くというのは『不思議の国のアリス』っぽい印象を受けたのですが、どのように感じられましたか?

満島:“恐怖の国のアリス”と銘打っているらしいですが、子どもの頃に見た怖い夢とか、今でも想像してしまう、奇妙な絵本を読んだ時の感覚と似たような作品だったので。どちらかと言うと「うわぁー!幽霊」みたいな感じよりも、ボーッとした状態で夢を見ているような心地で観れる、いい作品です(笑)。多分、想像している感じと違うと思うんですね。撮影もすごく難しくて、「前のシーンとこのシーンはなんでこうなってるの?」とか、本来のストーリーのある映画とは違って、時空が行ったり来たりするので、難しい所はありましたが、とても好きな作品です。

『呪怨』とか信じられない!どうしてあんなの観るわけ?

――清水監督は、満島さんと渋谷くんに役をお願いした理由は、どんな所にあるのでしょうか?

清水崇 監督(以降、清水):満島さんはホラーが苦手だと聞いてたので、現場でも仕上がった後でも事ある度に「もう私『呪怨』とか信じられない!どうしてあんなの観るわけ?」みたいに言われてたので、どういうつもりで俺にその話を毎回振ってくるんだろうなと(笑)。でも、そういう物腰がハッキリしてて、ケンカ腰でくるような所が大したもんだなって。そういう子、彼女ぐらいの年の女優さんで今ほとんど見ないんですよね。そこは面白いと思ったし、自分が出た映画だろうが関わった映画だろうが、好きなものは好き、嫌いなものは…嫌いとは言わないか?そこは大人になってると思うんですけど(笑)。そういう彼女が気に入って本を読んで、出て、完成したものも「いい映画です」と言ってくれるのは嬉しいなと思いますね。武尊くんは、実はオーディションの時に満島さんに立ち会ってもらったんですよね。弟役だし、ちょっと複雑な役なので。

――満島さんは今回3Dで観て、どうでしたか?

満島:3Dって、こんなに綺麗なんだって、感動しました。クリストファー・ドイルさんの撮る映像がとても綺麗で、すごく瑞々しいんですよね。人間って、水とか血が流れているんだなというのがすごく分かる映像を撮るから、血管まで綺麗に映ったり、唇の横のよだれみたいなものも鮮明に映ってて、綺麗でしたよね(笑)。

人間的にものすっごく面倒臭かったですね

――清水監督は、世界でも活躍するクリストファー・ドイルさんが今回一緒にお仕事をやることになって如何でしたか?

清水:僕ももちろん、クリストファー・ドイルの撮った映画は、嫌いではないんですけど、そこと僕の通ってきてるホラー映画から感じるイメージと、どう融合するんだろう?って多分、世間の人は思うと思うし、僕もどうなるか分からなかったので、彼も乗り気だったら一緒にやってみたいと取り組んだんですが、彼しか撮れない感性の映像が撮れてますね。もう観てくれた方は結構「清水の映画に今まで無かったね」って言ってくれるんですよ。そこは僕のキャリアにとっても財産だなと思いますね。ただ、人間的にものすっごく面倒臭かったですね。正直、天敵というぐらい。似た所があるからかもしれないんですけど(笑)。

――満島さんは、ホラー映画の3D映像に体験されてみて、新たに発見などありましたか?

満島:自分の気持ちにそって、出っ張ったり凹んだりしてくれるので、いい揺らぎがあって、とてもいいんじゃないかなと。一緒に体験しているような感覚にはなるんじゃないかなとは思います。

女子供が好きそうな物を壊してやる!

――清水監督といえば、『呪怨』の俊雄くんしかり、怖いキャラクターを作り上げる天才のイメージがありまして、今回の『ラビット・ホラー3D』ではウサギがすごく奇抜で新しいと思ったのですが、それはどこから?

清水:僕にとって今ではもう壁になっているんですけど、『呪怨』という代表作の印象が強いのか、どこに行っても、当たり前に怖い物というか、日本で言えば幽霊だったり、ゾンビ的なグロテスクなものだったりを求められることが多いので、「いや、本当は違うだろう!」と思う所がありまして。可愛いものとか綺麗なものとかにこそ、何か別のものが宿った時にギャップもあるし、怖いと感じるものを、人間のドラマの心理の背景と踏まえてやってみたいというのがずっとあったので。記号として、当たり前に可愛いと思われているような物を持ち込みたかったんですね。それが多分ウサギであって。僕にとって怖いのは女子供なので「女子供が好きそうな物を壊してやる!」という感じはありました(笑)。

 ここで、映画のお祝いにゲストとして、『ラビット・ホラー3D』に出演しているウサギと、『呪怨』の俊雄くんが登場。俊雄くんからウサギへと花束が贈呈された。

 最後に清水監督は「『ラビット・ホラー3D』で、また新たな代表作に出来ればと思っています。3D映画であることとか、タイトルに“ホラー”と付いているホラー映画であることとか、色々と抵抗を感じる方もいると思うんですけど、現代にも通じるような窮屈な家族関係だったりに念頭を置いて作ったドラマの映画でもあります。『ホラーは苦手!』という人もいると思うんですけど、そういう所だけにとらわれずに色んな人に観て頂きたいので、どのように感じるか分からないんですけど、良かったら皆さんに伝えて頂ければと思います。」とメッセージを残した。

ラビット・ホラー3D - 公開情報
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