ポニョ vs 鬼太郎 vs ギララ 夏の映画ガチンコレビュー【カオス通信】


夏は映画の季節! ということで『崖の上のポニョ』『ゲゲゲの鬼太郎千年呪い歌』『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』を観てきました。今回のラインナップは、3本とも鑑賞前の予想を裏切る内容だったので面食らいましたが、それも映画の醍醐味でありましょう。特に『崖の上のポニョ』は、近年の宮崎アニメに完全に失望していた自分にとっては、あまりに予想外の内容だったのでリアルに驚いてしまいました。各作品のレビューをネタバレなしで以下に書いてみますので、参考にしていただければ幸いです。

■『崖の上のポニョ』
監督:宮崎駿

●オススメ度:★★★★☆(意外に面白い)

この作品で私が最も魅力的に感じたキャラクターはポニョではありません。ポニョを海で拾う宗介(5歳)の母親・リサであります。リサは宮崎アニメにおける『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)の峰不二子、『風の谷のナウシカ』(1984年)のクシャナなどに通じる強さと美しさを同時に兼ね備えた女性として描かれています。サブキャラ扱いなのでキャラクターデザイン的に凝った部分は特にないのですが、これが動くと凄いんです。これはアニメでしか得られない、まさに魔法とも呼べる感覚であります。

リサは細い身体を目一杯動かして襲いかかるトラブルと立ち向かい、息子の宗介と触れあいながら物語をグイグイ引っ張っていきます。通勤に使うマイカーの運転が『頭文字D』ばりにキレまくっているところなどは、カリオストロの城でルパンが乗っていたフィアットの動きを彷彿とさせてくれて最高すぎ! 宮崎監督の本意ではないでしょうが、少なくとも自分にとってこの映画のMVPはリサ以外に考えられません。鑑賞中は終始リサの一挙手一投足に釘付けでありました。
このポスターもパンフレットも、真のヒロイン・リサさんはスルーしまくり。なんてこったい。

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