新たなチャレンジをしたい!2011年は3Dでソニーイズムを全開【ITフラッシュバック】


2010年は「3D元年」と言われ、「アバター」にはじまり、「アリス・イン・ワンダーランド」「THE LAST MESSAGE 海猿」と3D映画に人気が集中した。家電では3Dテレビへの期待が高かったが、必ずしも好調だったとは言えないようだ。このような状況を打破するべく、ソニーから3Dハンディカムが発表された。

ITニュースを振り返る「ITフラッシュバック」では、3Dハンディカムを中心とした、ソニーの2011年のカメラ戦略に迫ってみよう。

ソニーマーケティング コンスーマーAVマーケティング部門 デジタルイメージングマーケティング部 統括部長 下野裕氏は、「ソニー強みは、レンズ、イメージセンサー、画像処理エンジンから製品まで一貫して開発していることです」と、同社がユニークな商品を生み出している理由を明らかにした。

それを示すように、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、デジタル一眼レフカメラが金額ベースで24%のシェア(2010年12月 ソニー調べ)となっている。前年比の推移を見ると、業界平均は2010年7月に101%を記録して以降、100%割れが続いてきた。しかし、ソニーは6月以降、120%を超えているのだ。

2011年は、「シェア30%を目指しています。お客さんに一番支持されるイメージングメーカーとなるためです」(下野氏)と、あくまでトップを維持する強気の構えだ。
ソニーマーケティング コンスーマーAVマーケティング部門 デジタルイメージングマーケティング部 統括部長 下野裕氏

2010年は、「カメラの基本性能、高速画像処理技術、光学撮影性能の向上により、新しいカメラ市場を創出した」(下野氏)とのこと。コンパクトなデジタル一眼カメラ「NEX-5」をはじめ、レンズ交換式HDビデオカメラ「NEX-VG10」、フルハイビジョンが撮影できるコンパクトデジタルカメラ「DSC-WX5」と人気機種が続々と誕生した。

2011年はどのような戦略をとるのか。

下野氏は、「2011年、ソニーのカメラで新たなチャレンジをしてきたい」として、「画質を高めるなどカメラとしての本質的な価値の追求。フルハイビジョンの動画対応を強化したい。3Dの撮影対応の強化。撮影するだけでなく撮影後の楽しみを充実させる。この4つがチャレンジなのです」(下野氏)と、4つの方向性を明らかにした。
2011年、ソニーの4つの戦略

画質では、サイバーショット向けには従来の1200万画素からジャンプアップした1600万画素タイプ、ハンディカム向けには従来4:3だったものを16:9の1200万画素タイプの裏面照射型CMOSセンサーを開発し、動画、静止画の撮影性能を向上させる。

3Dは、映画、ゲーム、番組が進んでいるが、今回パーソナルコンテンツへ広げていく。撮影後の楽しみとして、見る・残す・共有することの3点を強化していくのだ。また、2月に写真動画サイト「αcafe web」を開始し、PS3用にAVCHD動画管理・鑑賞アプリを配信する。

新商品として「サイバーショットはいままではCCDセンサーモデルが主流でしたが、これからはCMOSセンサー「Exmor」を搭載したモデルがメインとなります。カムコーダーは、3Dフルハイビジョン「TD10」をはじめ5モデルを提供します。さらにポケットサイズの「Bloggie」も2モデル用意しました」と紹介した。

サーバーショットの3D撮影は、従来カメラをスライドさせて複数の画像を撮影していたが、今回はワンショットでピントを変えた画像を撮影して奥行を感知し、3Dに合成する方式に変更されている。現在サイバーショットは1眼、Bloggieは2眼を採用しているが、ソニーとしては2眼タイプ、1眼タイプのこだわりはないとしている。

当初月産1万台を目指す3Dハンディカム「TD10」はレンズからイメージセンサー、処理回路までダブルで搭載し、フルハイビジョンの3Dを作り上げる。先行するパナソニックはフルハイビジョンの映像を左右2分割しているため、フルハイビジョンでないことが大きな違いだ。

気になる3Dパーソナルコンテンツだが、「2Dでもパーソナルコンテンツは重要です。それは3Dになっても変わらないと思います。テレビが先か、それを取り巻くハードが先かではなく、3Dテレビもデジタルイメージング商品群も、3Dを広めるために両輪のように進めていきたい」(下野氏)と、足踏み状態の3Dを打破していく決意を新たにした。

ソニーは、AV総合メーカーとして、デジタルイメージング機器とTVやブルーレイとの連携を進めていくとしている。家庭ではフルハイビジョン大画面テレビが普及するなどAV環境が劇的に変化してきたことで、映像、写真もそれに対応しないといけないからだ。

ただし、3Dの保存に関してはまだ問題が残されている。それは、パーソナルコンテンツとしての3Dの規格が固まっていないことだ。ソニーの3DハンディカムはAVCHDをベースにした規格を採用している。

標準規格に採用されるように努力はしていくとのこと。現状では、ソニーの3Dテレビは自動的に認識できるようにしているが、標準化されていないため、他社の3Dテレビでは映らない可能性も残されている。

実はフルハイビジョンの2画面をデータ化しているが、圧縮することで30Mbps以下の環境でも3D動画を送信できるようになっている。地上デジタルでは帯域が少ないため転送できないが、BSデジタルでは十分送れるぐらいのデータなのだ。標準化されることで、さらに広がりが期待できそうだ。

広く一般家庭に普及させるためには、今後ブルーレイ3Dの規格のように統一化されることも必要だ。どのメーカーの3Dビデオカメラ、3Dデジタルカメラで撮影した映像・画像でも、メーカーを問わずに3Dテレビで見られるようにする。さらにブルーレイレコーダーの互換性も保持する。このような環境の実現が必須と言えるのではないだろうか。

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