イー・モバイルで購入したのにサービスはソフトバンクモバイル? Nexus 5発売で注目を集める「EMOBILE 4G-S」の実態【吉川英一の「スマホのちょっと深いとこ」】


イー・モバイルで買ったNexus 5に「SOFTBANK」?

今月15日にイー・アクセス(イー・モバイル)から販売が開始されたGoogleブランドのスマートフォン「Nexus 5」(LGエレクトロニクス製)。イー・モバイルから購入する場合は「EMOBILE 4G-S」と呼ばれる同社の通信サービスを同時に契約することになりますが、このサービスは実際にはソフトバンクモバイルが提供しているため、あちこちにソフトバンクの姿が見え隠れしています。

そこで、今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」では、イー・モバイルであってイー・モバイルのサービスではないこの「EMOBILE 4G-S」について、ソフトバンクモバイルとの関連性に注目しながらその実態を紹介していきます。

【契約窓口はイー・モバイル、サービスはソフトバンクモバイル】

まず前提として、現在イー・アクセスはソフトバンクのグループ企業となっており、ソフトバンクモバイルとイー・アクセスは相互に携帯電話ネットワークを提供しています(*1)。EMOBILE 4G-Sもまた「ソフトバンクグループの一員としてのイー・アクセス」という立ち位置を反映したものとなっています。

*1: 最近では両者のLTEネットワークを組み合わせたサービスを「ダブルLTE」「倍速ダブルLTE」と銘打ってアピールしています。

実際、筆者がNexus 5購入時に提示されたEMOBILE 4G-Sに関する注意事項には、EMOBILE 4G-Sがソフトバンクモバイルのネットワーク設備等を利用して提供することが記載されています。また端末を分割で購入する際の個別信用購入あっせん契約はソフトバンクモバイルとの間で行われる一方、分割支払金とサービス料金はイー・アクセスが請求するとされています。

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注意事項にはソフトバンクモバイルのサービスであることが明記されている

実際のサービス内容を含めて、EMOBILE 4G-Sのサービス内容がイー・モバイルとソフトバンクモバイルのどちらのものになっているかを下表に示します。イー・アクセス(イー・モバイル)が関与する部分を赤文字にしています。

項目内容備考
契約対応イー・アクセスが実施
ネットワークソフトバンクモバイルが提供
個別信用情報あっせん契約ソフトバンクモバイルと契約
請求イー・アクセスが実施
事業者を識別する呼び出し音ソフトバンクモバイルのもの
(「プププッ、プププッ」)
イー・モバイルの呼び出し音は「プー、プー、プー、プー」
1時〜21時の無料通話、24時間無料SMSの対象となる相手EMOBILE 4G-S携帯電話、ソフトバンク携帯電話、ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンク携帯電話イー・モバイルの従来の携帯電話は対象外
画面に表示される事業者名SOFTBANKNexus 5で確認
Webアクセスのドメインopenmobile.ne.jpSoftBankスマートフォンと同一
オンラインサービスMy SoftBankイー・モバイルのオンラインサービスは「My EMOBILE」
キャリアメールのドメインemobile-s.ne.jpメールヘッダーに「softbank.ne.jp」の記述があることから実体はソフトバンクモバイルのサービスと思われる
ソフトバンクモバイルのフェムトセル(ホームアンテナFT)への接続可能筆者自宅に設置されているフェムトセルで確認

イー・アクセスが提供するのは契約や請求といった窓口業務のみで、それ以外のサービス内容はことごとくソフトバンクモバイルのものであることがわかります。Nexus 5の画面に事業者名がSOFTBANKと表示され、オンラインサービスはMy SoftBankを利用するなど、その実態がソフトバンクモバイルのサービスであることを隠そうともしていません。

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Nexus 5の画面に表示される事業者名はSOFTBANK(写真=左、赤枠部)、Webアクセス元のドメインはopenmobile.ne.jpでSoftBankスマートフォンと同一(写真=右)
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EMOBILE 4G-SのオンラインサービスはMy SoftBankで提供

またNexus 5の「利用可能なネットワーク」にはSoftBankとは別にEMOBILEが表示されますが、EMOBILEを選択しても接続することができません。技術的にもイー・モバイルのサービスではないことがわかります。

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イー・モバイルで購入したのに「EMOBILE」には接続できない

このようにEMOBILE 4G-Sは「事務処理をイー・アクセスが行うだけの、ソフトバンクモバイルのサービス

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