日本の技術は世界でも優秀!CAL930氏が語る、競技としてのオーバークロックの世界
CPUのクロック周波数は、安定して動作する数値に固定されてメーカーは出荷しているが、その周波数を定格以上に高めて高速化する技が、禁断の裏技とも言われる「オーバークロック」だ。オーバークロックはメーカー保証対象外の行為なので、最悪、CPUやパソコン本体を壊しかねないリスクを伴う。オーバークロックが禁断の技と呼ばれるのはそのためでもある。
しかし、限りなく高速を目指すオーバークロック技術は、世界大会まで開催されるほど、PCユーザーには人気があり、オーバークロックを行うオーバークロッカーは自作パソコンユーザーの憧れの的にもなっている。
今回は、そんなオーバークロックの第一線で活躍されているCAL930氏に、オーバークロックについてのノウハウをうかがってみた。
■2種類のオーバークロックがある
オーバークロックと言いましても、私は2種類のオーバークロックがあると考えます。
・常用環境でオーバークロック
・競技のためのオーバークロック
常用環境でのオーバークロックについては、「GIGABYTEだからできる!標準アプリでも簡単オーバークロック」の記事を参照して頂くと良いと思います。
私自身の常用機も軽いオーバークロック程度にとどめています。
■日本のオーバークロックレベルは高い
もう一つの競技としてのオーバークロックがあります。競技と言われても、ピンと来ない人が大半だと思いますが、今や世界132ケ国、2万7000人近い“競技場”が存在します。
ベンチマークソフトを使用して、いかに速く、いかに高スコアを出すか、このために世界中の人達が競っています。ただし、競技としてのオーバークロックで上位を目指すためには、“通常のオーバークロック”とは全く違う手法を用います。
通常のオーバークロックは空冷、水冷といった手法を採用しますが、上位の人達は-196度の液媒“液体窒素”を使用します。
液体窒素を使ってCPUやグラフィックボードを冷却し、通常の倍近い周波数に上げてベンチマークソフトを走らせて競っています。
もちろん、PCに直接液体窒素をかけても冷却どころか一瞬で蒸発して意味を成しませんので、「升」とか「POT」と呼ばれる銅製の容器をCPUやVGAに乗せて冷却しています。
しかし、これらの「升」をただ乗せてるだけでは駄目で、結露対策や温度調整、圧着具合など、色々なノウハウが必要になります。
まだ、パーツを壊してしまうことも珍しいことではありませんので、「壊れても記録さえ出せればいい」という気持ちで望んでいますね。
また世界最大の登録場HWHOTでは個人、チーム、国別での獲得ポインを見ることができますし、個人でも、チームとしても競技に参加することができます。
今、日本は132ヶ国中10位にランキングしています。また私が所属する「TeamKATANA」は現在1308チーム中18位です。
上位の国は参加人数1000人を超える中、日本は40人ほどの参加人数しかいませんが、今の順位にいること自体、日本のオーバークロックレベルの高さを証明していると思います。
■GIGABYTEのマザーボードの魅力とは?
マザーボードの耐性もここ数年で一段と高くなってきました。液体窒素を使ったオーバークロックは昔ほど敷居が高い訳ではありませんので、興味のある方はどんどん挑戦してみて欲しいと思います。
GIGABYTEのマザーは非常に素直な特性を持ってると、私は感じています。
エンジンたるCPUは定期的に新しいものが発表されていきますが、私はまず最初にGIGABYTE製のマザーボードでCPUのチェックを行うことが多いです。
挙動が素直なこと、新CPUに対してのアップデートが早いこと(BIOS対応)がその理由ですね。
■CAL930氏 プロフィール
2003年より本格的なOCを始め、2004年よりLN2冷却を用いたOCを開始。
2004年にPifast、2006年にSuperPi1M、Pifastの世界記録を達成。
GOOCは2007年より例年参加し、上位入賞を果たしている。
2008年にGOOC日本チャンピオンとしてKyosen氏と共にTeam1970のペアで世界大会決勝
へ進出。
2010年にOC Team、Team KATANA設立。現在チームのキャプテンとして、
日本を代表する実力派オーバークロッカー8名で構成されるチームを率いている。
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