「物流の2024年問題」をテクノロジーの力で解決!キャムコムグループ 神保 光路郎氏に聞く、「BPO‐DX総合サービス」とは


物流・運送業界では、「物流の2024年問題」が大きな社会課題として浮上している。少子高齢化によるドライバー不足に加え、2024年4月からドライバーの労働時間に上限が課され、物が運べなくなるというものだ。我々の日常生活に密接に関わってくるため、深刻な問題といえる。

こうした状況を解決する手段としてにわかに注目されているのが、キャムコムグループの製造・物流業界向け「BPO-DX総合サービス」だ。今回、キャムコムグループ取締役 綜合キャリアオプション副社長 神保 光路郎氏にお話しをうかがうことができた。

■「物流の2024年問題」をテクノロジーの力で解決
神保氏は、新卒でIT・セキュリティ業界で営業/コンサルを経験したあとキャムコムグループ(元綜合キャリアグループ)に入社、BPOチームに配属された。その後、首都圏を拠点に前職までの経験を活かした「IT×HR」のサービス立ち上げた。2018年には事業部のサービス範囲をBPOからコンサルティングに拡大し、物流、不動産、海外事業など多方面に進出。現在は、綜合キャリアオプション BPO事業部を統括する。

キャムコムグループ取締役 綜合キャリアオプション副社長 神保 光路郎氏

総合⼈材サービスを提供するキャムコムグループを⺟体としている綜合キャリアオプションBPO事業部は、全国約170拠点による、製造や物流業界への⼈材派遣の実績をベースに、HRテクノロジーを活⽤したサービスを労働⼒とともに提供する、包括的なサポートをおこなっている。

同事業部は、業務の切り出しや複数現場の管理、監視を強みとする。これまでに1,000社弱の企業へ業務改善サービスを提供しており、常に全国250〜300か所の現場を同時履⾏している。多くの企業と取引をおこなう中で細かなニーズを察知し、課題解決のための新たなサービスの提供をおこなっている。



以前から製造・物流業界は、荷量増加・人手不足・非機械化・非効率・高齢化・労働環境の悪化など、様々な課題を抱えていた。さらにこの4月からは、ドライバーの労働時間の上限規制が開始される「物流の2024年問題」により、さらに深刻な状況となることが予想されている。綜合キャリアオプションでは、こういった問題を解決するため、ヒト×場所×ITをかけ合わせたビジネスを推進している。

「『人を集められます。かつBPOもできます。業務効率化もできます。』ということで、弊社のサービスは非常に好評です。物だけ、サービスだけ、単体でお客様にお渡しするのではなく、それらを使って作業する人材も一緒に提供するので、企業は導入後すぐに活用することができます。」(神保氏)

工場に新しい技術やサービスを導入する場合、一般に数十億円規模の投資が掛かる。企業の下請けになっている企業ではコスト上の問題などから、対応することが難しい。そうした企業に対して『機械化はできなくても、効率化はできる』というのが、同社の考え方だ。効率化したい業務について相談すれば、どのように作業を整理すればよいかなどの「業務の切り出し」を行い、必要なサービスや人材まで提供してくれる。

「100点ではないですが、少ない投資で70点ぐらいのことはできます。コスト的にも導入しやすさがあります。BPO+人、ここにDXを付け加えるかたちで、非常にお客様に喜ばれています。」(神保氏)

同社は製造・物流系業界をサポートしている企業として業界トップクラスのシェアを誇り、製造系メーカーは5000社、物流系は3000社と取引を行い、過去を含めれば1万社以上の取引実績がある。製造業は約4500社、物流業は約2500社と取引がある状況だ。

日本全国に約170もの拠点を構えているのも、同社の強みといえる。
全国の製造物流企業に、即時に対応することができる。
また新しいシステムを導入する場合、複数の企業やプラットフォームを組み合わせることも多く作業が煩雑になりやすいが、同社は人材・BPO・業務効率化のすべてを1社で完結できる。クライアントにとっては、大きなメリットといえるだろう。

「物流の2024年問題」について語る、神保氏

■製造・物流業界を対象にDXを提供する「BPO-DX総合サービス」
同社の製造・物流業界の課題解決へ向けた「BPO-DX総合サービス」の具体的なサービスとしては、下記の3つがあげられる。

1. 人×ARG 〜 ShareSight(シェアサイト)〜
BPO事業で培った業務の切り出しノウハウに、ARグラスという端末を組み合わせて、製造・物流現場の生産性・効率性の更なる向上をサポートするものだ。ARグラス(スマートグラス)と、ARグラスを使用する作業者を提供する。

ARグラスを利用すれば、下記3つの機能を活用することができる。
? 使用者の視界を共有できる
? 使用者の視界に文字、画像、映像を映し出せる
? 使用者間で音声通話ができる



具体的には、下記のような利用シーンが想定できる。

〇作業者への遠隔からの指示出し
管理者のPC(タブレット、スマホなども対応)と、ARグラスをかけた作業者の視界を共有することで、管理者は状況を理解しながら具体的な指示を送ることができる。

〇倉庫内での仕分け
作業者の視界に入ったバーコードやQRをAIが識別して、対象のケージの番号や、あらかじめ色分けしたケージの色を表示させることで、集中力が落ちた時や経験の浅い作業者でもミスなく作業できるようになる。仕分けは単純作業でありつつも集中力を要する作業であるため、ミス率が20〜30%にもなる倉庫もある。しかしShareSightを導入することで、ミスを直接防ぐことができる。

〇外国人労働者への活用
今後、製造や物流業界では、外国人労働者がますます増加すると考えられる。作業経験がなかったり、日本語能力に懸念があったりなどの外国人労働者に対して「音声通話機能」と「自動翻訳機能」を組み合わせることで口頭指示を行ったり、視界に画像や映像を映すことで直感的に指示を理解してもらうことができる。



2. 人×ロボット 〜 SC CAPION(エスシーキャピオン)〜
ヒトの仕事はヒトで、ロボットの仕事はロボットで。ヒトとロボットの協業で製造物流現場の効率をさらにアップする。工場や倉庫内での搬送業務とその前後業務を、搬送ロボットを利用しながら運用するサービスだ。

上海のロボットメーカーKEENON Roboticsや、京都のロボットメーカーKeiganが開発した、小回りが効くロボットを提供しているため、狭い通路でも部品などを運ぶなど、さまざまな業務に導入することができる。

単純な搬送作業をロボットに任せることで、組立やピッキング業務などの人手が必要な作業に、人材を集中させることができる。
またロボットメーカーからの認定を受けた、メンテナンスサービスも提供している。



3. 人×システム 〜ヒトルク〜
物流現場における人材不足、労務管理の工数負担など、現場の業務を遂行する上で大きな課題となる、「? 業務効率化、? 現場管理、? 採用」を、ヒトのチカラとシステムで解決する。

具体的には、企業に代わって、派遣スタッフを大量に採用する。発注業務ごと請け負うため、複数の派遣会社とやり取りを行う場合の膨大な作業工程を省いてスタッフの採用を行うことができる。

派遣会社が250社以上登録しており、条件によっては、2週間程度で1拠点に最大1,000名以上の作業者を集めることもできる。また、複数の拠点の作業者の就業状況を一元管理できる



「物流の2024年問題」は、物流のドライバー不足が問題となっているが、倉庫内の作業を効率化すれば、無駄な時間を解消することができる。
たとえば、倉庫に物が入ってきても、倉庫の人の作業が終わるまで、ドライバーは待機している。こうした状況は毎日発生しているので、待ち時間を減らすだけで、ドライバーの時間を有効活用できる。

サービス提供に際して、綜合キャリアオプションはクライアントとの契約形態に注目しているとのこと。大手企業の場合、非正規社員を多用することの制約、セキュリティ対策、投資家への報告(IR)対応など、特有の課題が存在する。一方、中小企業では、予算の制約から投資が難しい状況もあるため、「1時間あたりいくら」といった料金でのプランも提案している。

「BPOの切り出しは大事だと考えています。物流系に比べて、工場系の業務は入り組んでいます。また法整備や事務系はいろいろな書類があり、電話の情報を書類チームに渡したり、書類チームの情報をもとに問い合わせに答えたりと、かなり複雑です。こういった課題を解決するための業務設計ができる者が弊社には300人ほどいます。お客様の業務の切り出しも基本的には無償でやらせていただいております。可視化と線引きは、現場のDXの第一歩にもなります。」(神保氏)

物流業界について語る、神保氏

同社は今後、HR業界以外の多業界との新ビジネス立ち上げを進め、2024年までに売上300億円に拡大する構えだ。人材を集めるだけなく、BPOや業務効率化のサービスまで対応できるのは、他社にない強みといえる。業務の切り出しは、無償で相談にのるとのこと。「物流の2024年問題」で頭を抱えている企業は一度、相談してみるとよいだろう。

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