フルレンジサウンドの魅力を追求し、様々なテクノロジーを投入したプレミアムな逸品、ウッドコーン特別試聴イベントに潜入
発売前のウッドコーン最新モデルの音質を実際に耳で聞くことのできるイベントが開かれる、そんな情報をキャッチしたlivedoorHOMME編集部は、イベントが開催されるビクタースタジオへ潜入、取材を試みた。
※1.ウッドコーン…木材で成形された振動板を用いたもの
レコーディングエンジニアの厳しいリクエストを形に
現在ビクタースタジオでは、総てのスタジオやマスタリングルームにウッドコーンオーディオシステムが置かれ、レコーディングモニター用のスピーカーとして使用されている。良質な再生音が高く評価された表れといえるが、この流れは、ここビクタースタジオだけに留まらない。他社のスタジオにおいてもウッドコーンオーディオシステムの評価は高いようで、導入するレコーディングスタジオが増えているのだとか。レコーディングエンジニアに支持されるウッドコーン、その理由はレコーディングエンジニアの厳しいリクエストに答えることのできた品質の高さ、高品位の再生音にある。
ビクターが標榜する音作りのコンセプトのひとつに「原音探究」というものがある。原音と言ってもコンサートホールで聴くような生演奏を指すわけではない、ビクタースタジオ長である高田 英男氏によれば「原音探究」とは、「マスターテープに忠実に音楽を提供する」ということであるという。確かに生音となると、その時々で使われる楽器や、演奏する場所、また奏者やあるいはタクトを振る人によっても楽曲のイメージは大きく変わってしまうが、マスターテープの音を忠実に再現することが出来る、というのであればその音はいついかなる時でも変わることがない。
さらに高田氏は、「音は音楽創作意図によって決まる」と語る。音は、楽器、演奏空間、録音機材、マイクのアレンジによって決まるものであり、また音楽創作意図によって決めることのできるものであるという。つまり作り手の意図を反映したものがマスターテープであり、そのマスターの原音を忠実に再現することの出来る機材を作りあげることが「原音探究」の到達点というわけだ。
ウッドコーンオーディオシステムは、レコーディングエンジニア秋元 秀之氏や、ビクタースタジオ長の高田 英男氏らが開発グループへ厳しいリクエストを突きつけ、ウッドコーン生みの親である開発グループ今村 智氏がこれに答えるかたちで創り上げられたもの。「原音探究」の理念を形にしたと言える。
今回の試聴イベントでは、そんな音作りの現場で活躍するレコーディングエンジニアが認めた、ウッドコーンの実力を体感することのできるデモンストレーションが行われた。デモンストレーションとは、通常スタジオで使われているラージスピーカーを一切用いることなく、ウッドコーンオーディオシステム「EX-AR9」のみでミキシングをしてみせる、というもの。なんとも大胆な試みだが、たしかにこれは素人にも分かりやすい、取り繕うことのできないデモンストレーションだけに「EX-AR9」のポテンシャルを感じることができそうだ。
「では、実際にやってみましょう」と、コンソールを操作する秋元氏。ピアノとフルートの音に、ディレイ(遅延効果)や、リバーブ(残響効果)などのエフェクトをかけてゆく。
ミキシングが始まると立ち上がり身を乗り出す参加者もちらほら、カメラを片手にノートにペンを走らせる姿からは、プロ記者顔負けの情熱も感じる。やはりと言うか、今回集まった参加者は、並々ならぬ音楽への愛情を持っているようだ。
秋元氏は、音をモニタリングするためのスピーカーの条件は大きく4つ、「1つは自然な音色の再現力、2つ目は強いものは強く、弱いものは弱く聞こえるバランス・レベルの表現力、3つ目は音像や空間的な処理に関わる解像力、そして最も重要だという4つ目は音楽的な表現力」であると語った。これら全ての条件を十分に満たしているのがウッドコーンオーディオシステム「EX-AR9」というわけだ。秋元氏が作った音源を試聴した参加者らからは、おー!という感嘆の声もあがる。
ビクタースタジオ長の高田 英男氏からは、3種類の録音マイクを使った音の再現性に関するデモンストレーションが行われた。使用するマイクは、リボンマイク(DX77)、コンデンサーマイク(U87)、ダイナミックマイクの3本。それぞれ音の変化が異なるが、異なる音の変化を表現することが出来るか否かが、レコーディングモニター用のスピーカーとして耐えうるか、という評価につながってくる。
まずはスタジオ機材のラージスピーカーで再生、もちろんハッキリと音の変化、3本のマイクの違いを表現している。続いて「EX-AR9」で再生、すると・・・、参加者からは思わず驚きのため息が漏れる。それもそのはず、「EX-AR9」には、たった9cmのスピーカーから生まれた音とは思えない再現性の高さが十分にあった。参加者からは、「実は後ろのラージスピーカーで音を出しているんじゃないの?」と冗談まじりのコメントもあったが、そんな手品を見るような評価は、「EX-AR9」の音の再現性の高さを伝えるエピソードとも言えるだろう。
ウッドコーンは「音楽作りの重要なツールに進化した」と話すのはビクタースタジオ長の高田 英男氏(写真左奥)。
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