性能だけじゃない使いやすさも最上級のHTCのDesire HDに期待大【世界のモバイル】


スマートフォンメーカーの「本家」とも言えるHTCからハイスペックな新製品が登場する。日本でも発売が決まった「HTC Desire HD」と、文字入力に優れたQWERTYキーボードを備える「HTC Desire Z」だ。この2機種は使い勝手の向上や同社の新サービスに対応するなど、総合的な使いやすさを追求・提供する同社の次世代スマートフォンとも言える製品である。台北で行われたHTCの製品発表会で、その2機種をさっそくチェックしてみた。

HTCの製品は全てに名称がつけられており、Desireシリーズは同社Androidスマートフォンの最上位モデルとなる。日本でもソフトバンクが発売予定のDesire HD(Softbank 001HT)は、既存のDesire(Softbank X06HT)をさらに機能強化しており、OSは最新のAndroid 2.2を搭載している。外見上の大きな特徴は4.3インチの大型ディスプレイで、Desireの3.7インチと比較すると1周り以上も大きい印象だ。

本体正面から見ると左右ギリギリまでがディスプレイになっている。解像度は480x800ピクセルと変わらないものの、ディスプレイの物理的なサイズが大きくなっただけでも動画再生時の迫力は大きく違う感じだ。Dolby Mobileも搭載しており、マルチメディアファイルの再生にも優れている。
4.3インチの大型ディスプレイを備えたDesire HD

また使い勝手の面も細かい部分で改善されている。例えば電源ボタンを押すと起動するまでの時間はわずか数秒しかかからない(一番最初に本体の電源を入れるときは除く)。飛行機を降りてメールチェックしようと思ったときなど、長い起動時間にイライラすることもなく機内から出たころには全機能が使える状態になっているわけだ。

さらに本体を裏返しにすればそのままサイレントモードになる機能は、会議中にも電話の操作に気をとられる必要が無いのでビジネスパーソンには便利な機能だ。他にも地図データをあらかじめ端末に保存しておくことが可能なため、海外出張先で高いローミング代を払って地図検索する必要もなくなるという。

一方のDesire ZはDesireの本体背面に収納式のQWERTYキーボードを備えた製品だ。本体の厚み以外は両者のサイズはほぼ同等だ。このDesire Zのキーボードはスライド式ではなく背面から特殊な構造のヒンジで競りあがってくるタイプとなっている。

キーボードを引き出すとディスプレイの下にぴったりと配置され、ぐらつきもなく快適なタイピングが可能だ。Desire HD、Desire Z共に本体には金属素材を多用しているため高級なイメージも兼ね揃えている。こちらの機種は日本での発売はアナウンスされていないが、文字入力を多用するユーザー向けにぜひ発売して欲しいものだ。
背面に収納式キーボードを備えたDesire Z

さらにこの2機種はHTCが提供するクラウド系のサービス「HTC Sense.com」の利用も可能となる。端末紛失時の端末検索やデータのバックアップ、移行などが簡単に行える。メールやスケジュールに関してはGoogleが同様のサービスをすでに提供しているため、HTC Sense.comはGoogleにはないHTC独自の付加価値サービスということになる。このようにDesire HDとDesire Zはハイスペックな機能だけが売りなのではなく、使いやすさや独自のサービスが提供されている点が隠れた注目すべき機能とも言える。
データバックアップなどのHTC独自サービス、HTC Sense.com

さてこれまでスマートフォンの各社間の競争と言えばスペック争いや価格競争が中心であり、特にAndroidスマートフォンは大手から中小メーカーまで数十社以上が参入していることから、各社は製品の差別化を図ろうと様々な製品を開発している。

ハイスペックの製品だからといって売れるわけではなく、一般的な消費者が求めているのは「製品の使いやすさ」や「製品を所有する満足度」である。AppleのiPhoneはその両方をしっかりと兼ね揃えており、広告展開でもハードウェアスペックではなく製品を使う楽しさ、すなわちユーザーエクスペリエンス(UX)を前面に出している。

HTCもミッドレンジ製品は親しみやすい名称やカラフルな本体色を用意し「スマートフォンを使う楽しさ」を大きくアピールしている。これは同社の製品コンセプトがハードウェアからUX中心に切り替わり始めている現れだろう。そしてDesire HDとDesire Zは「使いやすさ」がより強化されており、CPUや画面解像度などのカタログスペックだけが特徴ではないのである。総合的なUXが向上しており、例えばDesire HDを使い始めれば日に日に快感なっていく、そんな体験を所有者に与えることが考えられているのだ。

各社のスマートフォン開発競争はもはや「打倒iPhone」ではない。ライバルは競合全社になっており、他社と差別化が図れないメーカーは脱落していくだろう。HTCの2機種はその点では他社はもとより同社の従来製品よりも使いやすさが向上しており、ソフトバンクからの発売も非常に期待できる。

最新のAndroid 2.2スマートフォンとしてだけではなく、使い勝手のよい「日常ツール」として注目したい製品だ。日本固有のハードウエアであるおサイフやワンセグには対応していないが、その不便さを感じさせない使い勝手をDesire HDは提供してくれるだろう。日本メーカーとの差別化も、そのあたりに現れているはずなのだ。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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