インタビュー:板尾創路「だんだん自分が見えてくる」


テレビのバラエティ番組などで笑いを巻き起こす、お笑い芸人。彼らは、自ら望んで失敗するリスクの高い「芸能界」に飛び込んだ猛者でもある。激しい“食物連鎖”の中で、彼らは、どのようにして生きる場所を見つけていったのか。その処世術を紐解いていくインタビュー。

第1回のゲストは、板尾創路。最近では、お笑い芸人としての活動のほか、俳優、映画監督、歌手など多彩な活動を見せている。力の抜けた“引き算”の芸は、他のジャンルでも高い評価を得ている。ユニクロでの買い物後、フラっと一人で現場に現れた板尾に、30代サラリーマンの読者に向け、メッセージをもらった。

――今回、ドラマ「木下部長とボク」と、映画「板尾創路の脱獄王」のDVDをリリースされるということですが、「木下部長とボク」では、広告代理店に勤めるサラリーマンの日常が描かれています。板尾さんご自身、サラリーマンの経験はありますか?

板尾創路(以降、板尾):いえ、無いです。

――今回の木下部長役に入るために、どんな役作りをしましたか?

板尾:役作りはしてないですね。とりあえず、割と僕のまんまでいいかなと思ったんで、何もしてないですね。

――実際の板尾さんも、木下部長のように、仕事はさっさと切り上げて昼間から銭湯に行ったりして、自分の時間を大切にしているのでしょうか?

板尾:普段、ドラマとか映画は、それなりにスイッチ入れるわけじゃないですけど、仕事なんでやっぱり演出も色々あったりするんで、何回もやらん仕事せなあかんって思うんですけど、今回のドラマに関しては、あんまり何もしないほうがいいなと思ったんで、いかにフラットに、現場に行く感じのテンションのまま、お芝居するかっていうのは考えましたね。どうしてもカメラが回るとね。人間なんで、何かせなあかんって思うんですけど、それを逆に押さえるのが意外と難しいなという感じでしたね。

――芸人さんなので、特に、カメラの前で何かすることを求められる。その期待感をプレッシャーとして感じているということでしょうか?

板尾:そうですね。今回の話で言えば、特にそういうお芝居をする必要はなくて、何もしない部長に対して、周りの人のリアクションで物語が進んでいく。なんかやりすぎるとアレですし。そんなに考えていることも分からないんで、本当に何も考えずにやるって事でしたけどね。

――木下部長は考えていないようでいて、最後にパッといいアイディアを出して、結果を残していきますよね? 板尾さんご自身も、お笑い番組などに出演されていて、そのような感じなのでしょうか?

板尾:割と現場で考えるっていうか、まあドラマとか映画だと、その通りやるかどうかは別にして、セリフは一回頭の中に入れますけど。バラエティーにしてもどんな仕事にしても現場に行ってみないと分からないし、立ってみないとわからないし。まあ、今の映画も実際リハーサルで一回動いてみて変わるっていうこともあるし。あんまり作りすぎていくとそれに固まってしまうので、割とフワーとした感じで、会議とかも何もない感じで行きますけどね。

――映画「板尾創路の脱獄王」を作るのにあたっても、そんな感じだったのでしょうか?

板尾:映画は、作り方でいえばプロの映画監督ではないので、今まで作ってきたものと変わりは無かったです。コントを作るときもそうですけど、自分でネタを考えて自分で主演して演出してっていうことなので。技術的なことは、スタッフがいるので、こういう風にしたいけど、お願いしますっていう感じでしたけど、特にそんなに変わってないです。

――もともと映画を作りたいという思いはあったのですか?

板尾:いや、無いことは無いですけど、映画好きなんで。でも、監督というのはあんまり考えてなかったですね。たまたま「やりませんか?」って言われて、縁っていうのを感じたし、自分の好きなように脚本も演出もやっていいと言われたので、面白そうだなと思って。自分が主演でもいいって言われたので、じゃあやりますということになりました。だから、前もってこの企画を考えていたということは一切ありませんでした。

――脚本も演出も全て任されてしまうということは、これまで板尾さんが培ってこられた芸人としてのキャリアに周りが期待を持っているということだと思います。

板尾:そうですね。言われましたけどね、「映画やらないんですか?」とか。

――そもそも、板尾さんが芸人になろうと思ったキッカケは何ですか?

板尾:大したキッカケは無くて、20歳くらいの時に、今でいうフリーターみたいな感じで特に何もしてなくて、特にやりたい事も無くて。普通にね、人間なんで将来の不安も無いわけでもないし、技術があるわけでもないし、学歴があるわけでもないし、どうしようかなーって感じの時に、僕の世代は10代後半から20代くらいまで、漫才ブームっていうのがあったんですが、そのド真ん中で、漫才の世界が身近になりかけた時代だったので、すごく安易な考え方ですが、俺にもできるんちゃうかなって本当に軽い、ま、特に昔から目指してたわけじゃないんですけど、「すること無いし、エエか」みたいな(笑)。学校があるということだったんで、金払えば済むみたいなところだったんで、ま、いいかって本当に軽い気持ちで僕は一人でフラっと。

――え、お一人で? 友達を誘ったりしなかったんですか?

板尾:ええ。誰に相談することもなく。本当に何も無かったんで、捨てるものが無かったんで(笑)。

――それまで、学生生活の中で人を笑わせる快感みたいなものを味わった経験があったのでしょうか?

板尾:ま、大阪の人間なので、面白いことっていうのは日常でした。当然お笑いの人を尊敬してたし。でも、まさか自分ができるなんてことは、そんなに明るい方でも無いし、率先して人を笑わせるようなキャラクターでも無いし、考えたこと無かったです。

――その当時、憧れていた芸人さんは?

板尾:憧れっていうか、好きだったのは紳助・竜介さんとか、ツービートさんとか、あの辺りは好きでしたけどね。

――具体的に彼らの漫才をみて、自分の中に取り入れたものは?

板尾:近い感覚っていうのはあったかな? 自分の言葉で身近なことをネタにして。親近感はありますよね。逆にできんちゃうかなって思ってしまう。

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