「Twitterケータイ」が登場、SNS端末はトレンドになるか【世界のモバイル】


ヨーロッパなどで携帯電話事業を展開している「3」(スリー)はTwitterやFacebookにワンボタンでアクセスできるINQ Mobile製の「Mini 3G」を発売開始した。ストレート型の小型な端末で、背面全体の電池カバー部分は赤や青、黄色など派手な原色を使っているのが特色だ。通信方式は3Gと HSDPAに対応、200万画素カメラと8GBの外部メモリに対応するなどスペックは日常的に使うには十分。またTwitter、Facebook、 Windows Live Messanger、Skypeに対応しておりSNSサービスの利用に特化している。

INQ Mini 3Gは通信事業者である3が販売する専用モデルで、中国メーカーのOEM品である。昨年はFacebook対応を売りにした世界初のFacebookケータイ「INQ 1」を発売し、Mobile World Congress2009でベスト・モバイル・ハンドセット賞を受賞するなど高い評価を受けている。今後QWERTYキーボードを搭載しGmailにも対応する「INQ Chat 3G」の発売も控えているなど、3とINQ MobileはSNSサービスに対応した製品ラインナップを強化していく予定だ。
SNSケータイを続々リリースするINQ Mobile

またアメリカでメール専用端末をリリースしているPeekも、Twitterに特化したQWERTYキーボード搭載端末「TwitterPeek」を年内に投入予定である。TwitterPeekの最大の特徴はTwitter機能のみを搭載していることで、音声通話やメールなどの機能は一切利用できないとのこと。すでに発売中のメール端末「peek」も通話はできずメールのみに対応していることからわかるように、同社の製品は「1機能」だけに絞った専用端末になっている。TwitterPeekも電源ONで自動的にネットワークに接続され、画面にはTwtterのタイムラインが表示されるだけとシンプルだ。

またTwitterPeekのもう一つの特徴は「生涯定額利用」が可能なこと。Amazonの同製品予約ページによるとTwitterPeekの販売価格は 199.95ドル。これには端末と一生分の利用料金が含まれている。つまり一度料金を払い購入さえすれば、あとは追加料金を気にすることなく永遠に Twitterを使い続けられるわけである。Twitterのサービスが今後いつまで継続するのか、またシステムのバージョンアップがあったときにどう対応するのかといった問題もあるが、端末の寿命は数年であろうから「生涯定額」を打ち出したとしても現実的には問題は無いのだろう。
メール専用端末を販売するPeekもTwitterケータイをリリースする

このように SNSサービスを利用できる携帯電話はINQ Mobile 3GやTwitterPeekのような専用端末だけではなく、他社の端末でも「ワンボタンでSNSに一発アクセス」「画面上のウィジェットからSNSをすぐ利用可能」といったものが続々と登場している。特にFacebook対応は若者向けの携帯電話には今後必須の機能となっていくだろう。若い層が携帯電話に求めているのは「情報のダウンロードサービス」から「双方向に人と人が繋がるサービス」に変わりつつあるわけだ。

ここでスマートフォンを利用すればSNSサービスの利用もより簡単で便利という声もあるだろう。スマートフォンはWEBサービスとの連携に優れており、専用アプリも多数登場している。たとえばiPhone向けのTwitterクライアントは複数のものが登場しており、自分の好みのものを選択して使いわけることができるくらいだ。だが一般的なコンシューマー層の大半は、音声通話のように簡単にサービスが利用できる製品を求めている。スマートフォンのアプリケーションストアがどんなに使いやすくなったとしても、箱を開けて電源をいれ、ユーザー名とパスワードを入力するだけで即SNSサービスが利用できる「SNSケータイ」の利便性にはなかなか勝てないだろう。Facebookの友人も数十名、Twitterのフォロワーも100名以下、といった状況ならばSNSケータイでも十分実用的なわけだ。

もちろんSNSケータイに飽き足らない層はスマートフォンを選択していくだろう。その際、機能をフルに搭載した「ハイエンドケータイ」は素通りされ、「SNS機能」が今後端末を選択する際の最大の判断基準になっていく可能性がある。すなわちSNSサービスの急速な普及は携帯電話に求められる機能までも大きく変えようとしているのだ。高度なカメラや音楽再生機能、GPSサービスなどは無くともSNSサービスに対応していなくては端末が売れない、そんな時代がやってくるかもしれない。
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INQ Mini 3Gはプリペイド販売もするため若者が購入しやすい

またSNSサービスはWEBサービスと携帯電話の融合を加速化させるものにもなっている。コンテンツ配信サービスは海外ではなかなか普及しなかったが、これからはSNSサービスの利用が日常的になり、PCでも携帯電話でも、そして自宅でも外出中でも同じサービスをシームレスに利用するスタイルが広まっていくだろう。携帯電話事業者にとってもSNSサービスの普及はデータARPUの引き上げが期待できるだけに、販売にも力を入れていくだろう。

3とINQ Mobileの提供するSNSケータイは非大手の通信事業者・端末メーカーによる意欲的な製品だ。SNS対応で若者をターゲットにしたニッチな製品と呼べなくもないが、「INQ=SNSサービス」というイメージを広げることができれば、メッセンジャー端末として話題になったSidekick(現在は Microsoftが買収)のように特定の層に圧倒的な支持を受ける製品にもなるだろう。大手メーカーだけではなく、今後はINQ Mobileのようなベンチャー製品の動向にも注目が集まりそうだ。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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