破壊力=刃牙ネタ×豪華キャスト×くだらなさ 『グラッフリーター刀牙』


 この夏おすすめの映画をジャンル別に紹介する「MOVIE ENTER 夏映画2012」特集。編集部員がそれぞれ一押しの映画のHot! な見どころを徹底解説する。今回は、ヒーロー妄想のカンタが、コメディ編として『グラッフリーター刀牙』(7月14日公開)を紹介。この映画は、週刊少年チャンピオンで人気の格闘漫画「グラップラー刃牙」を題材にした作品。原作とは異なるハチャメチャなオリジナルストーリーなのだが、作者・板垣恵介から公認された正式な作品なのだ。それでは“刃牙(バキ)”ならぬ“刀牙(トキ)”の魅力を余すことなく紹介しよう。

『グラッフリーター刀牙』

人気格闘漫画“バキ”ファンが集まる夢が丘商店街。熱狂的バキファンの範派静江は、夫・源次郎と整体医院を営み、息子の刀牙と共に暮らしていた。しかし、ある出来事で源次郎は行方知れずに。その後、14年が経ち、商店街には再開発の波が迫っていた。(作品情報詳細へ

Hot! point 1:刃牙ネタが意外と“親切”に登場

 まずこの映画の一番の特徴は、言わずもがな「刃牙」ネタだろう。登場人物の名前が安藤だったり、渋川だったり、栗谷川だったりとそれだけでも刃牙ファンは、くすっと笑ってしまう。そして夜叉猿ならぬゴリラの登場など「こう来たか〜!」と思わず口をついて出てしまうパクりもといトリビュートしたネタが出てくる。だが、この映画は刃牙ビギナーにも親切なのだ。通常、こういうマニアな映画だと「わかる人だけわかれば」ということで、ディープなファンのために敢えて難解にしてしまう傾向がある。だが、この作品はちゃんと説明している。主人公の刀牙が肉を喰らうシーンも「刃牙」のコミックスを読みながら食べているので、「あー、こんなシーンが漫画にあるんだ」ということが初心者にも分かるようになっている。それに、あくまで題材にしているだけなので、刃牙の世界そのままというわけではない。フリークではなくても楽しむことができるのだ。

Hot! point 2:無駄にキャストが豪華すぎる

 刀牙の母親・範派静江に元祖文化系アイドルでコメディからシリアスまで幅広くこなす実力派女優の斉藤由貴が。物語の鍵を握る謎の男・安藤役には、第45回ブルーリボン賞にて助演男優賞を受賞し、映画界にひっぱりだこの津田寛治。ヒロインには、国民的アイドルAKB48のメンバーである北原里英、怪しいカルト集団のリーダー役に人気お笑いタレントであり自他共に認める“刃牙芸人”であるケンドーコバヤシがキャスティングされている。他にも木南晴夏、吉木りさ、渡辺いっけい、などなど、出演者が無駄に豪華なのである。ジャンルを超えて集結した、この豪華キャストが織りなすコメディは一見の価値があるだろう。

Hot! point 3:くだらなさが半端じゃない

 主人公が、“気”を操るなど本当に格闘に関しては地上最強の男なのに、何十件もバイトをクビにされるフリーター。しかも、その力を地球を守るとか壮大なことに使うのではなく、大型スーパーにつぶされそうな商店街を救うという非常に局所的なことに使う。さらにその闘いが健全なことにドッチボールなのである。半端じゃなく、くだらない設定だ。設定もそうだが、登場するキャラクターも、カルト集団にゾンビにゴリラ、宇宙人まで出てきて何でもあり。めちゃくちゃな世界観なのである。日本映画は変に思想めいたものを見せつける押しつけがましい映画が多いが、これはそんなことはどこかに置いてきてしまったかのようで、ただただ馬鹿馬鹿しい。本当にくだらなさが突き抜けている。ここまで飛び抜けていると逆に清々しさすら感じる。

 花山薫のパワーは「破壊力=スピード×体重×握力」と表現されるが、この映画の圧倒的笑撃のパワーを表現すると「破壊力=刃牙ネタ×豪華キャスト×くだらなさ」といったところだろうか。この作品は、決して万人向けの作品ではない。だが、観る人が観ればこの笑いのとりこになることだろう。刃牙を知らない人もネタの一つと思って観に行ってみてはいかがだろう。

ヒーロー妄想のカンタ

ヒーロー妄想のカンタの評価


作品の Hot! ワード「刃牙…ではない!」
この映画はあくまで「刃牙」ではなく「刀牙」。格闘アクションではなくコメディとしての楽しみがある。

Hot! 度:★★★

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