「MOET」が魅せるグルメ&テイスティング=「グルミング」の世界
世界中のセレブから愛されているシャンパン「モエ・エ・シャンドン」。1743年に設立された、世界でも有数の由緒あるシャンパンメゾンのひとつであり260年の歴史を持つ。
一般にワインの価値が「○○年もの」というように、収穫年によるプライオリティがあるように、シャンパンにも同じようなヴィンテージが存在することをご存知だろうか。それが「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ 2002」だ。
先日、醸造最高責任者ブノワ・ゴエズ氏が、このグラン ヴィンテージ 2002のプロモーションのために来日。そして、今回のプロモーションでは「グルミング」という新しい試みが用いられた。このグルミングとは、ブノワ氏の提唱する、シャンパンを楽しむ新しい試みで、グルメとテイスティングからなる造語だ。これは、ゲスト自らがシャンパンに合う食べ物をクリエイトするというもので、テーブルに並んださまざまな食材・調味料をゲストの方が自ら選び、その食材・調味料を組み合わせて調理し、グランヴィンテージに最も合うものを考案するという体験型のテイスティングだ。
「このグルミングとは、いままでのようないわゆるテイスティングとは一線を画すもので、ソムリエと参加者の関係が、生徒と先生のような、聞くだけ、頷くだけの関係から、もっと能動的にシャンパンを味わうもの」(ゴエズ氏)という思い入れから始まったものだという。
今回のグルミングに全面的なサポートをいただいた松嶋シェフ(左)と、ブノワ・ゴエズ氏(右)
そして今回は、ゴエズ氏と親交の深い松嶋シェフが経営する原宿のレストラン「Restaurant=I」にて開催された。
まず、テーブルに着くと、目の前にはまな板と包丁、さらには20もの小皿が並べられ、さまざまな食材やハーブが準備されていた。オイルもオリーブオイルだけでヴァージン、オレンジオリーブ、クルミの油までセッティング済み。とはいえ、料理人でもない参加者がたくさんの食材を調理できるはずもないので、今回のテーマは、
・グラン ヴィンテージ 2002の白、ロゼに合わせる料理
・料理のベースは火を通したチキン、生のホタテ
というお題目で、目の前の食材で合わせていくというスタイルが取られた。
グルミングをはじめるにあたり約10名ほどの参加者を前にゴエズ氏は「シャンパンはデリケートな飲み物で食前・食後に飲むもの、というイメージが強いが、実際にはどんな料理にでも合う、ということを証明したい」という意気込みを話した。
グラン ヴィンテージ 2002の特徴としては「まろやかでドライ。穀物の暖かい香りとフランジパーヌ、炒ったアーモンド、モルト、モカ、そして軽いタバコのニュアンス」。ロゼは「さくらんぼ、プラム、生イチジクのアロマに、野いちご、ブルーベリー、ブラックベリーのニュアンスを組み合わせたもの」ということ。
まずは、松嶋シェフのお手本。生のホタテを薄くスライスし、生の赤カブフライスとベットラーブ(甜菜)の水煮もスライスする。ソースはオレンジの皮、レモンの皮、ブラックペッパー、クルミの油を混ぜたものを準備し、スライスした食材に絡めて完成。
松嶋シェフいわく「シャンパンを飲むときの料理はシンプルなほうがベター」ということだ。そしてもうひとつの大事なものが甘味、酸味、塩味のバランスが重要だという。
いざ、実際に目の前に並べられた食材を使って調理を始めてみるものの、具材とソースの両方を、ゼロから考えなくてはならないという非常に高度なことに気付く。しばらく思い悩んでいると、ゴエズ氏がヒントを与えてくれた。「素材そのものをアレンジしたものは白、火が通ってる、調理されているものにはロゼが合う」というものだった。つまり野菜スライスなどを使ったものは白にあわせて、ロゼにはきのこスライスの水煮などを使っていけばよいということだろうか。
そして、一通りグルミングを終えたところで、次はチキンのお手本
まず、クルミを細かく刻んでパン粉と混ぜ、鶏肉の表面にまんべんなくまぶす。ソースは生クリーム、塩、マスタードを混ぜたものに、マッシュルームミックスを和えて完成。
筆者自身の前に並べられたものと全く同じ素材を使って、あっという間にまったく違うものを作れる。当然のことながらこれぞプロフェッショナルの技かと思わず唸ってしまった。
松嶋シェフが言うには、「シャンパン、ワインに合わせて料理を作る際に考慮するのは、そのぶどうの収穫された土地を知ること。モエ・エ・シャンドンが作られているシャンパーニュ地方というのは、決して恵まれた土地ではなく、どちらかと言うと痩せた地域なので、派手な味よりも素朴なものがよく似合う」という。そしてポイントとしては「食材が目の前にあると、いろいろと使ってしまいがちだが、使いすぎて味が複雑すぎると人の記憶に残らない。これは普段の料理にも言えますね」。
シャンパンに合う料理。味覚、合う合わないは個人差ということではあったが、シャンパンに合わせるということ、そして複雑にしすぎないことこそが料理の秘訣といえそうだ。実際にシャンパンを飲みながら、料理を作っていくというこの「グルミング」という試みは、非常に興味深いものであった。食材さえあれば自宅のキッチンでも実現可能なので、ぜひモエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ 2002をお供に、自宅でもグルミングを楽しんでみるのもいいかもしれない。
■モエ・エ・シャンドン【オフィシャルページ】