IIJ、国内初となる5G SA方式対応のeSIMを開発!5Gコアネットワーク技術に続き、フルMVNOやローカル5Gに必要となる要素技術を確立



IIJが5GのSA方式に対応したeSIMを開発!動作確認も完了

インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は2日、日本国内で初めてモバイル通信で今後主流となる「5G(第5世代移動通信システム)」の通信方式である「SA(スタンドアローン)方式」に対応した「eSIM」を開発し、動作検証を完了したと発表しています。

同社では2018年3月から「フルMVNO」によるサービスを展開しており、その一環として2019年7月より「eSIM」に対応したデータ通信サービスを提供しています。現在、このフルMVNOを用いたローカル5Gでの活用を見据え、5G SA方式に対応したコアネットワークの技術開発・実証を進めているとのこと。

そうした中でGSMA標準のeSIMに3GPPで規格化された5G SA対応の機能を追加したeUICCプロファイルを搭載の上、市販の5G SA対応スマートフォン(スマホ)にダウンロードし、試験用の5G SA基地局および5G SAコアネットワークで動作検証を行い、通信が可能となることを確認したとしています。

なお、5G SAに対応したeSIMの開発および動作検証を完了させたのは、IIJが国内初となります(同社調べ)。これにより、5Gコアネットワーク技術を用いたフルMVNOおよびローカル5Gにおいて5G SA方式の接続サービス提供に必要となる要素技術を確立したということです。


日本でも今年3月より商用サービスが開始された移動体通信事業者(MNO)の5Gサービスですが、現在は各社ともに4Gのコアネットワーク基盤に5Gの基地局を追加したシステムで構築されている「NSA(ノンスタンドアローン)」と呼ばれる方式で利用されており、5G NSA方式では5Gの基地局とは別に4Gの基地局も運用している必要があり、設備の2重投資となることから特にローカル5Gのような利用者自身が基地局を整備して利用する自営網では導入が困難となっているとのこと。

これに対して5G SA方式は4G設備に依存せず、5G基地局のみで利用でき、また高速通信だけが特長の5G NSAに比べて5G NGC(次世代コア)と組み合わせることによって高速通信に加えて低遅延・多数同時接続など5G本来の性能を享受することができます。

そこでIIJはフルMVNOとして他社に先駆けて市場に5G SA対応SIMを提供するため、SIMカードベンダーであるG+D Mobile Securityとともに開発を進めてきましたが、今回のeSIM開発では5G SAで標準化された新しい規格への対応としてSIMカードに保存されている加入者識別情報(SUPI:Subscription Permanent Identifier)を暗号化したSUCI(Subscription Concealed Identifier)を導入し、セキュリティーの強化を図っているとのこと。


そのため、ローカル5Gでは5G SAの導入が早期に進むと期待されていることからIIJでは5G SAに対応したeSIMを開発し、動作検証を完了したことで、今後はフルMVNO基盤で提供するサービスやローカル5GにおけるIoT・M2M用途などにて5G SA対応eSIMの利用を想定し、製造業の工場や流通倉庫、医療現場など今後需要が見込まれる分野でのローカル5G導入を支援していくということです。

また5Gコアネットワークに接続するeSIMの5G SA対応が完了したことで、対応機器や端末が商用化され次第、速やかに5G対応できる体制が整ったことになり、5GにおけるフルMVNOやローカル5Gサービス並びにそれらをベースとしたIoTサービス提供などに向けて引き続き準備を進めていくとのこと。またプラスチックカード型のSIMについても今後5G SA対応を推進するとしています。



記事執筆:memn0ck


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