小さいけれどいろいろできる!小型7インチ液晶搭載のモバイルPC「GPD Pocket」を使ってみて気が付いた良い点と悪い点をまとめてみた――便利な周辺機器も紹介【レビュー】



小さいボディーいっぱいに詰まったスペックが魅力のモバイルPC「GPD Pocket」をまとめ!

クラウドファンディングサイトの「Indiegogo」で発表されて話題となり、今年9月下旬からは日本国内でもリンクスインターナショナルが正式に販売もされる予定の人気7インチディスプレイ搭載小型モバイルパソコン(PC)「GPD Pocket」(GPD製)。

かつではUMPC(Ultra Mobile PC)として多くの製品が登場していたこのカテゴリーですが、最近は特に日本ではあまり見かけなくなり、現行のチップセットを採用した唯一の超小型ノートタイプのPCとして注目を集めています。

またすでにクラウドファウンディングなどで入手した人の反応を見て購入を検討している方も多いかと思います。そこで今回は、以前に紹介した開封してあらかじめ用意しておくと便利な周辺機器に引き続き、筆者が購入からこれまでの間に利用していて気が付いた良かった点と今後の後継機種が出るのならば改善して欲しい点などをまとめてみます。

さらに筆者のオススメできる活用方法とそれに対応した周辺機器の紹介をお送りし、気になっている人の背中を後押しできればと思っています!?

【GPD Pocketの良かった点】

・Atom機ながら大容量メモリで余裕の動作

CPUはモバイル向けのインテル製CPU「Atom X7 8750」で、4コア・4スレッドで動作するタブレットPC向けのAtomシリーズ(Cherry Trail)としては最上位のものを採用しています。ちなみにタブレット向けの省電力モデルのAtomシリーズはこれが最終モデルです。

それ以上に恩恵の大きいのはモバイル向けPCとしては非常に大きい8GBという大容量の内蔵メモリー(RAM)を搭載していることでしょう。スペック的に超小型PCとしてはかなり高いため、ストレスなく使えるのは何よりも良い点だと思われます。


GPD Pocketのシステム情報

大容量メモリーのおかげでマルチタスクでの作業も重くならずに安定して実行できますし、CPUが非力なためあまり3Dなどを利用した派手なゲームを遊ぶには不向きではありますが、Steamで販売されているカジュアルな2Dゲームや戦略シミュレーションの類のゲームであれば、ほぼ問題なく遊ぶことはできるでしょう。

また安価な2in1のデタッチャブルWindows機においては現在でも2GB RAMから中堅クラスの2in1モバイル機でも4GB RAMのものがほとんどで、8GB RAMもの大きなメモリーを持たせたモバイルWindowsノートは今のところ(2017年9月現在)ほとんど見かけることはないのでこの点は本当に魅力的だと思います。

・軽くて小さくて持ち歩きに便利!

これは7インチディスプレイのクラムシェルという現行のモバイルWindows機におけるオンリーワンの部分で、これこそがGPD Pocketの“キモ”と言える部分でしょう。前モデル「GPD Win」では5.5インチディスプレイにコントローラ内蔵(そして、親指でプチプチと押すタイプのキーボード)と携帯型ゲーム機に寄ったデザインで、この道20年超えの一部のモバイル古参兵からは「素敵だけど老眼にキツイ」という声も出ていました。

一方、今回のGPD Pocketは画面が大型化し、老眼持ちの古参兵にも見やすく、そして実用に耐えるQWERTYキーボードを搭載したことで、機動力を保ったままにノートPCとしての使いやすさの向上も果たしています。ちなみに筆者も後10年、20年したらこの苦しみを味わうのだろうなぁ、と他人事ではないように感じはじめています。


GPD Pocketのキーボード(写真=左)とGPD Winのキーボード(写真=右)


・大容量128GBのストレージ搭載でアプリや画像もガツガツ入れられる!

内蔵ストレージもeMMCの128GB(出荷時の空き容量は約99〜100GB前後)と、かなり余裕のあるものとなっています。出先でちょっとした動画や画像の編集をしても残り容量に苦労することも少ないでしょう。もちろん、多少ならゲームをインストールしてもまったく問題にならないと思います。

【GPD Pocketの気になった点】

・キーボードに慣れが必要かも

操作に慣れてしまえばそれほど大きな問題ではないかもしれませんが、GPD Pocketのキーボードは単に小さめというだけではなく、配列にかなりのクセがあり、特に右側シフトキー横の「,」「.」「/」キーが隙間なく並んでおり誤タイプしやすいように感じました。

また、最上段右側に電源キーがあるため、BSキーと間違えて押してしまい、文章入力中に間違えてスリープさせてしまったり……といった可能性も否定できません。特に電源キーについては側面に配置されていても良かったように思われます。

・メモリーカードスロットがない

前モデルのGPD WinにはmicroSDカードスロットが搭載されていましたが、GPD Pocketでは省かれています。もちろん、内蔵ストレージがGPD Win比で倍になったということはあると思いますが、とはいえ、microSDカードでデータのやりとりを頻繁に行う人にとっては残念な点かもしれません。

一応、小型のUSBメモリーを挿しっぱなしにしてストレージの拡張ができるので、データ用保存用の領域を増やしたい人はUSBメモリを買っておくといいでしょう。


ストレージの拡張はUSBメモリでフォロー可能

惜しいと思う点もないわけではありませんが、スーツの胸ポケットにも入る小さいサイズを保ちつつも実用性を確保した非常に魅力的なマシンとなっています。

9月下旬から順次、量販店などにも並ぶ予定とのことなので、まだ未体験な方は是非、一度触ってみましょう!

【こんなことにも使える!オススメしたい周辺機器】

ここからは筆者が個人的にGPD Pocketを便利に使える周辺機器などを駆け足で紹介したいと思います。

・USB Type-C拡張アダプター(各種)

GPD PocketにはフルサイズのUSB端子(Type-A)が1つと充電用を兼ねたUSB Type-C端子が1つずつのみとなっています。そのため、既にUSB端子にUSBメモリーなどを接続したままの状態で、さらにメモリーカードリーダーや他の機器を利用したい、といったときに持っていると便利です。

本体への給電機能をもったアダプターやバスパワー給電機能を持ったものになると、そこそこのお値段のものになりますが、純粋にフルサイズのUSB端子を増設するだけといったものなら比較的安価に購入できるのでオススメです。


USB端子とSDカード・microSDカードリーダーを増設するアダプター(秋葉原にて1,000円〜1,500円前後で購入可能)


・PhotoFast「iType-C Reader」


iOS端末併用のユーザーには特におすすめ!

USB Type-C端子・通常のUSB端子・Lightning端子の3つの規格に対応したmicroSDカードリーダーです。手軽にやり取りが可能なので、GPD Pocketでなくても、持っていると何かと役に立ちます。

AndroidやWindows 10 Mobileはもちろん、iPhoneなどのiOS搭載機種からのデータのやり取りができるので、例えば、iPhoneに画像や動画などのデータがいっぱいになってもiTunesを介さずにデータの退避が可能です。

・Webカメラ各種

GPD PocketにはWebカメラが搭載されていないので、「出かけ先にGPD Pocketを持って行って動画の配信やSkypeなどのビデオ通話に使う」とした場合(後者の場合はスマホやタブでいいじゃないかという意見はさておいて)にはUSB接続のWebカメラが必要になります。

なので、いっそのことミドル〜ハイエンドタイプのWebカメラを接続して使うのもアリでしょう。さすがに4K対応のカメラまでになるとスペック不足になりますが、フルHDクラスまでのものであれば問題なく利用可能です。実際に筆者は10月行うガジェット関連のオフ会でこの組み合わせで配信を行う予定です。


MicrosoftのWebカメラ「Lifecom Studio」が推奨スペックに満たないものの問題なく利用できました


・ピクセラ製LTE対応USBデータ通信ドングル「PIX-MT100」


実はモバイルPCユーザー全般におススメしたい逸品

最近では珍しいSIMフリー機のUSB接続タイプのデータスティックです。電源を供給すれば、Wi-Fiルーターのようにネットへ接続できるだけではなく、ノートPCのUSBポートに直接挿しこむことでも利用可能というのがポイントです。

便利な点としてはちょっと前のUSBデータスティックのように専用のネットワーク接続ソフトのインストールが不要(本当に挿すだけでなんの操作もなく利用できる)であることと、直接ネットワークへ接続することでパケットロスの頻度を下げることができます。

パケットロスを最小に抑えることで、動画配信への利用や(本格的なものはスペックが足りないものも多いですが)、オンラインゲームへの接続時のレスポンス向上など小さいながらも確実な利点があります。

【GDP Pokcetを購入して使ったまとめ】

USB端子が1つだけだったり、メモリーカードスロットがないなど、惜しいと思う点もないわけではありませんが、小さいサイズを保ちつつ、高い実用性を確保した非常に魅力的なマシンとなっています。

特にRAMの大きさは小型のモバイルPCとしては特筆すべき大きさで、マルチタスク作業においても安定性の高い魅力的なマシンとなっています。フルWindows機ならではの拡張の汎用性が高いのもポイントです。前述のものの他にも様々な周辺機器などを活用すればさらに便利に使えますよ!


[セット品]GPD Pocket 本体,Three OneRオリジナル収納バッグ,Lenovo純正ロープロファイルトラックポイント セット


TUTUO USB Type-C ハブ 3 in 1 USB-c to HDMI+USB 3.0-A+USB C 3.1 変換アダプタ4K * 2K / 3840p New MacBook/Chromebook Pixel/ASUS Zenbook3 (シルバー) [エレクトロニクス]


SanDisk USBメモリー 128GB Ultra Fit USB3 .0対応 高速130MB/s 超小型 [並行輸入品] [エレクトロニクス]


PhotoFast iType-C Reader iTypeC-R (ITCREADER4GB) [付属品]


マイクロソフト LifeCam Studio for Business Win USB Port 50/60Hz 5WH-00003 [Personal Computers]


ピクセラ LTE対応USBドングル ホワイト PIX-MT100 [Personal Computers]


記事執筆:河童丸


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