心の中に音を感じたときに撮る!相星哲也 氏が語る、音を感じる風景【NEXT GENERATION】


写真は現実の世界を映し出すが、そこには目で見えるものだけが写るとは限らない。

東京・銀座にあるリコーフォトギャラリーRING CUBE 9Fフォトスペースにて2012年8月1日(水)〜8月13日(月)、に開催された相星哲也 氏の写真展「韻」もその一つだ。

相星哲也 氏の写真展「韻」の作品の前に立つと、写るはずのなのない、音、リズムが聞こえるような体感ができるのだ。

デジタルカメラが主流の時代に、あえてフィルムカメラ、それもモノクロ写真を選び、音が感じられる作品について、お話しを伺った。

■ピンホールとモノクロ写真の2つの世界をもつ相星氏
今回の写真展「韻」は、今年(2012年)1月、ヨコハマ フォトフェスティバル 2012「地域・写真・記憶」に出品した相星氏の作品がRING CUBE スタッフの目に留まったことから実現したという。

声を掛けられてから締め切りまでの期間は短かったが、最近撮ったものの中から今回の「韻」の作品を用意したそうだ。

相星氏は、今回のモノクロ写真のほかにも、ピンホールカメラの活動もしているという。
日本針穴写真協会というピンホール写真を専門に扱った協会の会員でもある相星氏は、ピンホール写真で海外の公募展や国内のピンホール写真コンテストにも受賞している。

「ピンホールの作品は海外では評判が良かったのですが、日本ではあまり良い評判はなくて、遊びの延長と評価されることが多かったです。」
日本と海外での写真のスタンスの違いもあり、相星氏は、ピンホール以外の表現方法も模索したという。
ピンホールについて語る、相星哲也 氏

そして相星氏は、渡部さとる 氏のワークショップに参加、フィルムや現像、撮影方法など、写真についての知識を深めたそうだ。

「渡部先生が白岡先生を薦めてくれたので、今でも通っていますが、そこでモノクロ写真の作品を創るようになりました。」

今回の「韻」は、こうしてモノクロのフィルム作品として生まれた。
愛用のカメラは、セルフタイマーが標準装備されたLeica IIIf


■「音」と「写真」が共存する理由
写真展のタイトルに「韻」とつけられているように、相星氏と音には深い繋がりがある。

ギターを始めたのは、小学生からという相星氏。普通の子供たちと同じようにロックから弾き始めて相星少年は、やがて高校生となりブルースを知り、ジャズの魅力に取りつかれていったという。
愛用のギターはチェコ製で、職人の手作りだ

「ギターを小さい頃からやっていて、そこに作品を結びつけるとわかりやすいと考えました。『音楽でも写真でも、表現したいことは同じなんだ』ということに気づいたんです。

ノイズを入れたり、チョーキングでも上がりきらない不安定な音域があります。写真も綺麗なモノをすべて撮るというよりは、ちょっと濁ったモノとか、人が避けたくなるようなところを撮ると、実はそこに綺麗なモノがあったりします。そこの気づきがあります。

不協和音のように単独で聞くとノイズのように聞こえる音も、見方をかえると美しいかったりします。そういう写真を撮りたいと思っていて、自分の心の中に音を感じたときに撮るという感じで撮っています。」

愛用のギターはチェコ製で、職人の手作りだ。


■もっと作品を増やしたい
今後の展開について伺ってみた。

「「韻」シリーズの作品を、もっと作品を増やして行きたいです。」
と、モノクロフィルムによる「音」が感じられる作品を探究していきたいという。

相星氏は、モノクロの「韻」シリーズのほかにも、海外で評価されたピンホール写真という世界もある。

今後は、日本だけでなく海外にも飛び出して活躍を期待したい作家だ。


●相星哲也 氏のプロフィール
1971年 鹿児島県生まれ、東京都在住
2009年 ピンホール写真に興味を持ち撮影開始
2011年 渡部さとるワークショップ2B 受講
    白岡順氏に師事


リコーフォトギャラリー「RING CUBE」

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