外資系コンサルティング会社 マネージャー「先輩が“神”のように見えた」 - 年収1000万円プレイヤー図鑑 vol.11


アメリカの大学を卒業、現地のサービス会社勤務をへて25歳のときに帰国。外資系大手コンサルティング会社のコンサルタントになった横地秀夫氏(仮名・ 34歳)。昨年、マネージャーに昇進し、年収もついに1000万円の大台を突破した。コンサルタント時代のブレークスルー体験、マネージャーとしてプロジェクトを成功に導く秘訣、そして現在の課題と将来の夢。その本音を聞いた――。



Q.横地さんはアメリカの州立大学を卒業しそのままアメリカで就職されていますが、日本に帰国してコンサルティング会社に転職した理由は?

小さな頃から親の影響でアメリカでのキャリアアップを漠然と考えていたんですが、東大受験に失敗し(笑)、だったらもうアメリカの大学へ行こうと。中西部の州立大学で政治を学びマスターコースまで行ってジャーナリストを目指していました。

日本で就職する予定でしたが、縁あって現地の会社に就職。そこで翻訳や通訳の仕事をしていました。日本に興味を持つ多くのアメリカ人とアカデミックなレベルで人間関係ができて大きな財産となりました。しかし、このまま通訳になるのはいかがなものか、と25歳のときに帰国し、就職活動を開始。第二新卒枠で 60社くらい回りました。その中で気に入ったのが、現在も勤めている外資系コンサルティング会社だったのです。

Q.なぜ現在のコンサルティング会社を選んだのですか?

当時は日本の就職事情がまったく分からない状況だったので、評判のいい大手企業を乱れ撃ちのように受けました。途中で辞退したところ以外はみな内定が出ました。外資系コンサルティング会社を選んだ理由は、面接の過程で会った人たちに、圧倒的な人間的魅力を感じたからです。好奇心を駆り立てられたというか、もっと正直に言うと、知的な山師集団と思いました。幅の広い可能性を感じさせてくれたんです。

Q.入社後は、どのようなプロジェクトを経験されたのですか?

入社時は、経営もシステムもまったく知らない状態でしたが、システム開発の部隊に配属されて、ひたすらコーディングの毎日でした。同世代の1年、2年上の先輩が「神」のように見えましたね。同世代なのに、3年目にもなると社長レベルで物事を判断しているといった感じで。どうしたら、そんな判断ができるのかと焦りましたが、先輩方が示してくれる道を素直に実直に歩んでいけばいいと思いました。野望やキャリアプランはぜんぜんなかったですね。

1年目は残業が多く、月に残業代も入れると月収は100万円以上になったこともあるんですよ。でも、2年目はもっと残業が増えたんですが、残業代はゼロ。理由はチャージができない(採算性がよくない)案件だったから。それで2年目は税金が大変でした。収入に波があるのも、この業界の特徴です。

Q.コンサルタントとして「一皮剥けた」体験と言うと?

働きすぎて体を壊し、もうだめだと長期休職したりと波乱万丈な時期を経て、5年目くらいに一人前になったかなと。大きなSCMの2つめのプロジェクトでのことです。工場と営業部門をまたいだ業務改革ですが、納期を早めるだけに工場側の反発が予想通り火を噴いた。「お前みたいな素人に何が分かるか!」と言われながらも、1年間必死に食らいつき、最後には「君たちが一番信頼できる」と言ってもらえるまでになったんです。そのときのお客さんとは、今も個人的にお付き合いが続いています。

なぜうまくいったのか? よく学生にも「コンサルタントの仕事とは何か?」と聞かれますが、最高の答えはそもそもお客さんがもっているものです。しかし、顧客社内の部門間のしがらみなどがあって実現できない。そのしがらみを自分が引き受けて解いていくのがコンサルタントの仕事。自分がベストソリューションを教える、自分の考えで客を説得する、という姿勢じゃ何も進まないものなんです。だから、顧客内の様々な部門の人と、会話、会話、会話。それに尽きる。そうすることで、顧客の業務のマニアになり、「そんなによく分かっているなら本音を話してやるよ」となるんです。

Q.昨年、マネージャーに昇進。プロマネとして成功する秘訣とは?

現在は、コンサルタントのチームをまとめる立場です。厳密にプロマネではありませんが、プロマネ的な仕事です。この仕事のコツは、スタッフにうまく働いてもらうことに尽きます。もっとも苦労するのは、部下に「もういい。俺がやるから」という言葉をぐっとこらえて飲み込むこと(笑)。つらいです。「もういい」っていえばすぐに終わるのに、言わないと、3日待たないといけなかったり。

スタッフにいい仕事をしてもらうポイントは、モチベーションアップなのですが、どうすればやる気になってくれるのかはまだまだ試行錯誤の段階です。うまくいったこともあれば、失敗したことも。まだ法則として整理できていません。ただ、どれだけスタッフを信じ切れるかという勝負なのだろうと思っています。より深く、より高品質を追求すると同時に、スタッフに達成感を得てもらうことが大事です。スタッフに作ってもらったものを自分が完成版にすればいいだけなのですが、それをやってしまうと、自分が労力オーバーになり、スタッフの達成感も得られません。この点をクリアするのが今後の課題だと思っているところです。

Q.今後のキャリアアッププランというと?

今は「自分でやっちゃいけないもどかしさ」と闘う毎日(笑)。部下を潰すのは簡単だけど、伸ばすのは難しい。「もっといいもの作ろうよ」といって、「やります!」という人はいいけど、「なぜ自分の作ったもので満足しないのか」というマインドの部下も多いですから。その意味で、チームを動かす方法論を確立することが当面の目標です。自分の仲間ではない不特定多数の人を動かすノウハウがついたら、将来的には、教育ビジネスを立ち上げたいなと思っています。

この仕事はお客さんの役に立ててよかった、という充実感がすべての支えです。そのとき、お役に立てるレベルを大きくしようと思ったら、一人でガリガリやっても限界があり、やはり5人、10人とチームのパワーが不可欠。だから、自分は集団の管理や集団の力を引き出すことにこだわっていきたいと思っているんです。自分が気の利いたことをしゃべるだけで大金を取るのは詐欺師みたいだと思っていますし。

Q.コンサルタントが年収を上げるコツとは?

私は「年収を上げるためには」や「キャリアアップするには」などということは、実はほとんど考えていません。部下にもよくいうのですが、「自分の年収のことを考える暇があったら品質のことを考えろ、今日明日の100万、500万円なんかに捕らわれるな」と。品質に全力で対峙していけば、大きな年収が10年後には確実についてくると思っています。

現状はプライドの高いコンサルタントを束ねることに苦労しているという横地氏。だが、「この仕事は全力を尽くすと、お客さんとの達成感の共有ができる。感謝もしてもらえる。だから、やめられない」と言い切る。困難な状況から逃げず、乗り越えようとするバイタリティーに溢れる横地氏の今後が楽しみだ。
(情報提供元:@type)

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