外資系ネットワークベンダー プロマネ職「営業ができないと職を失う危険もある」 - 年収1000万円プレイヤー図鑑 vol.7


新卒入社の都銀で情報システム部門に在籍。8年後に「エンジニアとしての市場価値アップと知識を磨きたい」と、大手メーカーのエンジニアに転身。年収は大幅にダウンしたが、ここで目的通り、ネットワークエンジニアとしての知識と実力を磨く。そして昨年、外資系ネットワークベンダーへ転身。現在、企業向けサーバーの営業企画から構築に担当。100人規模のプロジェクトを統括する。年収も再び1000万円の大台を突破。そんな伊坂雄三氏に、SEからプロマネとなり高収入を実現する方法論を聞いた。



Q.伊坂さんは新卒で大手銀行に入行されています。どのような経緯で、SEの道に進むことになったのですか?

私が就職したころは、まだ銀行が高収入という時代。漠然と銀行か商社がいいと思い、たまたま最初に内定の出た都銀に入りました。情報部門の社員として入社したのではなく、最初の3年間は都内の支店で、預金・外為・融資という基本業務をしました。しかし、預金集めがカッタルイ(笑)。東京以外に転勤するのも嫌。それで、ずっと本部勤務が続く情報部門へ志願したんです。銀行オンラインシステムの基本設計の勉強をイチから始めて、検証、保守、運営をずっとやっていました。

Q.30歳の時点で年収1000万円を超えていますね。収入的には恵まれていたと思うのですが、なぜ転職しようと考えたのですか?

銀行の情報システムというのは、基本的に設計から開発までメーカーに丸投げといった構図です。当初は自分でも基本設計はしていましたが、あるときから会社の方針が変わったのです。「設計は考えなくていい、ベンダーに対する提案能力を上げていこう」となり、システムの方向性などの企画だけに集中することになったわけです。要するに、メーカーさんへ“おまかせ主義”と。これでは、エンジニアとしての実力がつかないと思ったのが転職をしようと思った大きな理由です。また、合併に向けて、合併相手先のシステムに統一することになったのも辞めようと思った理由です。別メーカーのシステムになるんじゃ、辛いだけですから。

Q.それで国内の大手メーカーのネットワークエンジニアに転身されると。なぜ、この会社を選んだのですか?

銀行のシステム部にいると、大手メーカー(ベンダー)の人と話すことが多い。彼らと話していて思ったのは、マジメに頑張っていて人間的にいいなと。銀行員はカリカリしているし、海外に出ると戦える力はない。だから、大手の国内メーカーに転職したのです。この会社は確かに人間的にはいい人ばかりだったし、銀行と違って安定感もバツグンでした。研修がしっかりしているので未経験でも技術が学べるという面もあった。年収ダウン転職でも満足だったのですが、やがて仕事的にちょっと違和感が出てきて……。研究所にこもりきりで、外部の人と会う機会がないのが辛かった。それで3年弱で辞めました。まぁ、この3年間は勉強をしただけで終ってしまったようなものですね。

Q.その後、現在の外資系ベンダーへ転職。この転職は大成功だったようですね。

ええ。次は世界的に著名で技術力もある外資へ行ってみようと思ったのです。「日経コンピュータ」などの雑誌で今の会社を選び、直接応募で入社しました。現在は、入社以来、実質的にプロマネとして、だいたい月に100人程度のメンバー(協力会社やコラボ先の人も入れて)の案件を回しています。

Q.業績、収入も1100万円といいですね。具体的にはどんな仕事を?

コンピュータメーカーと協業して、ネットワーク構築の案件を担当しています。この会社は外資系だけに、業績評価が徹底しており、一個人として独立したセールスエンジニアのような形です。コンサルタント的ともいえるし、プロマネでもあります。主な仕事はメーカーへの売り込みと、その後のプロジェクト管理です。

Q.業績がいい秘訣とは?

まず第一に時代の波に乗っている部門(ネットワークソリューション)に配属されたこと。そしてもう一つ大事なことは、エンジニアといってもサービス業なので、営業力をもっていることです。とにかく頑張って成約を取ってくることに尽きます。今、伸びている某外資コンピュータメーカーも、営業力の部分で気合が違います。私の営業法は、展示会に顔を出し、業績がよく設備投資が増えそうな会社を聞きまくりこと。それと協業先となるメーカーの人との人間関係を増やしていくことです。新規先を常に紹介してくれる協業メーカーをどれだけ持てるかが勝負ですね。要するに、技術と営業の両方の力を併せ持つことが大事ということです。

Q.最後に、今後の伊坂さんのキャリアプランというと?

今後も、プロマネとしてずっとやっていくつもりです。ただキャリアや年収といっても、自分の扱っている技術やサービスの市場が冷え込んでしまったらアウトです。だから、その防衛策として、コンサルティング能力を今後も伸ばしていくしかないと思っています。客の悩みを聞き、どんな商品を組み合わせるかという戦略的思考を磨いていくのみです。

戦略的思考を磨くため、プライベートではビジネス書を読みまくっているという伊坂氏。開発から営業的な領域に踏み出したときは不安だったというが、現在では営業力を武器に収入を伸ばしている。伊坂氏曰く「営業ができないと職を失う危険すらある」。エンジニアが30代後半を超えて年収を上げ続けるには欠かせない視点だ。
(情報提供元:@type)

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