ブログを書いて人を助ける!世界の子どもたちにワクチンを 日本委員会(JCV) 元総理大臣夫人 細川佳代子さん


「世界の子どもたちにワクチンを 日本委員会(JCV)」 元総理大臣夫人 細川佳代子さん


延べ開設数300万突破を記録したlivedoor Blogで、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」と協力したキャンペーンが注目されている。

本キャンペーンでは、子どもに関するテーマでブログ投稿された1件に対して10本のワクチンが寄付される。これまでにない多数の参加があり、ブログを書くことで人の役に立てることのすばらしさをコメントされるユーザーも多いという。

今回のキャンペーン実施にも尽力された認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」の理事長でもあり、livedoor Blogのユーザーでもある元総理大臣夫人 細川佳代子さんにお話を伺った。

■「世界の子どもにワクチンを」活動へ
細川佳代子さん(以下 細川さん)は、昭和17年生まれ、終戦の年は3歳。小学生の給食での脱脂粉乳など、食品・医薬品を海外の援助を受けて日本が復興してきた世界を見て育ってきた。日本で年間5千人くらいの子どもに小児麻痺が流行した昭和30年代では、ソ連(現ロシア)からの生ワクチンに緊急援助により流行を抑えたことも記憶しているという。
「日本は復興を遂げて豊かになって、途上国にたくさんのお金を援助(ODA)できる国に成長し、個人の生活が豊かになりました。そのとき私は、世界には援助を必要としている子どもたちのいる国はたくさんある。今度は私たちが援助する番だと思ったんです。」

細川さんは、政府はODAで途上国に資金援助をしていたことは知っていたが、個人でできることは限られる。民間人として何ができるのかを模索していたという。
「何をしていいかわからないときに、ワクチンがすごく大切だということを知ったわけね。日本では感染症で亡くなる子どもは少なくなっていますけど、世界では6大感染症(結核、小児麻痺、はしか、破傷風、百日咳、ジフテリア)で亡くなる子どもが多く、ワクチンがないがために年間300万人、1日7千人も子どもたち亡くなっている(WHO/UNICEF【予防接種白書】1993年)という報告を聞いたの。」

そして細川さんは、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」の発足を決意したという。
※NPO法人格の取得は2002年、認定NPO法人認可は2006年に取得。
「ポリオが恐ろしい病気だということは知っていましたが、そのワクチンが約20円しかかからないことを知ったわけ。
約20円で1人分のワクチンが買えるなら、誰でも協力ができると思ったの。
気持ちさえあれば協力できるけど、協力したくてもどうしていいかわからない。そういう人たちの思いを受け取り、受け皿となる活動をしようと思ったの。」

※ポリオ(poliomyelitis) 急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)
脊髄神経の灰白質をおかし、足や腕が麻痺して動かなくなる病気。

■ワクチンの行き先を見届けて、人たちとの心をつなぐ
ワクチンが現地に人にちゃんと行き届くように視察に行く

「世界の子どもにワクチンを」の活動を開始した細川さんだが、ワクチンを現地に人にちゃんと行き届くようにするために苦労したという。
「ただワクチンを買って、必要としている国にポンとあげて、それでいいかというと、そうじゃないの。援助が目的地まで届くかどうか、ちゃんとチェックしないといけないわけね。政府のお金(ODA)もちゃんと届いていないという噂も報道もあったから。それで、いくつもの国を実際に回って視察して、選んだ国がミャンマーだったの。」

ミャンマーは軍事政権下のため先進国からの経済援助もない。自国の医療にも限られた資金しかあてられず、医療環境は十分に整備されていない。ワクチンなどもすべて海外に依存している状況だった。しかし、国民性は、昔の日本人のように正直で勤勉で誠実な国民性だという。
「私たちの限られたお金を、あちこちの国にすこしずつ分けても効果がないわけね。どうせなら本当に必要としている国に必要な分を寄付させていただこうと。そのほうが効果あるし、毎年、継続したほうが、その国との信頼関係も育つし、両国間の交流も深まると思いました。そうして、毎年ミャンマーにワクチンを届けることになったんです。」

ミャンマーへのワクチンを届けることを決めた細川さんだが、ちゃんと行き届いているかをチェックするために視察にいっているという。
「ポリオワクチンを接種する日というのは、年に1回 国の行事になっているんです。一週間くらい前から、お祭りのようにワクチン接種に行きましょうって、音楽をならしながら車が走り、町のあちこちにはポスターが貼られるの。
決まった日の決まった場所に、近隣の集落から5歳以下の子どもをつれたお母さんたちが集まるの。私は、そうした会場をあちこち見に行く。そうやって、実際にワクチンを届けて使われている様子を視察して、それを募金していただいた方たちに報告をするというのも私たちの活動です。」

■募金は大変、知恵を絞って活動
認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」はNPO。募金活動などでの宣伝広告にはお金がかけられないことが、大変だったと細川さんは、これまでの募金活動を語ってくれた。
「私たちが始めた頃は、本当に大変で。当時は、郵便振替用紙でしか寄付ができなかったので、郵便局まで出向いて、寄付してくださる人ってほとんどいなかったの。

どうしたら、もっと気軽に寄付してもらえるかを考えて、苦労して知恵を絞っていたの。それで、思いついたのがテレフォンカード。携帯電話が流行る前でしたから、みんなテレカをいっぱいもっていた時代です。使い終わったテレカは捨てられていたんですけどヨーロッパのコレクター向けに輸出していた会社が7円で買い取ってくれたんです。
学校や企業、病院とかが、たくさん集めてくれるわけ、それで年間で数百万円も集まったの。」

そうした活動により無料の広告を展開できるようになり、あの電話募金へとつながったという。
「公共広告機構がテレビや新聞で、無料で広告をだしてくださるということでお願いにもいったわけね。それでテレビで流れたり、ポスターになったりしたの。そうやって電話募金が実現したの。

最初は指定した番号に電話をかけると、かけた人の電話代から寄付になりますって、了解をとっていたわけね。その後、自動で募金できるようになって報告が3分間流れるっていう電話募金になったの。
全国の人に協力していただけるようになって、毎年、数千万円単位のワクチンを届け続けることができています。」

■寄付文化が根付いた 僕のルール
僕のルールが日本にも寄付文化が根付かせた

広告機構の広告は10年で終了をしたが、その前に寄付文化を日本に根付かせる大きな出来事がおきたという。
「プロ野球福岡ソフトバンクホークス和田毅投手が、私たちの活動を見て、1球ごとにポリオワクチン10本、勝ち試合は20本、完封は30本などのルールで、シーズンが終わって、計算して1年分のご寄付を毎年続けてくださったんです。子どもたちの笑顔を励みに、自分でルールを決めて、申し出てくれたんです。

それを広告機構でも取り上げたところ、とても大きな反響をよんで、日本中から私のルール、僕のルールとか、申し込みが殺到したの。うれしいですね。」

細川さんは、この「僕のルール」で日本の寄付文化が大きくかわったという。
「昔は、日本人には寄付という習慣がなかったのね。赤い羽の街頭募金や日本赤十字社に寄付するくらいで。気軽に寄付することも、寄付する団体さえもなくて、寄付の文化ってなかったの。
1998年にNPO法ができて、非営利団体ができて、日本にも寄付文化が育ち始めたんだけど、和田投手の僕のルールの反響がすごく大きくて、日本の寄付文化が大きく転換したと思います。」

細川さんは、和田投手の「僕のルール」を寄付文化の革命だという。
「僕のルールは、自分が楽しみや、励みにしながら、同時に人のために役に立つという、よろこんで寄付するスタイルを見せてくれたんです。
そのおかげで、今では、ミャンマーだけでなく、ラオス、ブータンという国にも援助できるようになったんです。あらたに加わった国にも視察にいって選定してきました。そしてワクチンがちゃんと行き届いているかを、寄付していただいた方に報告をしています。きちんと使われているかを報告するのも私たちの大切な仕事ですので。」

■インターネットと「世界の子どもにワクチンを」
細川さんは、今回のブログやインターネットでのキャンペーンをどのように考えておいるのか、伺ってみた。
「インターネット時代だから、こうしたブログキャンペーンは多くの人の気持ちに届くので、すばらしい企画だと思うの。それに、子どものテーマに絞って下されたことがうれしいですね。

子どものためになる、子どもにとっていいニュースをたくさん書いて欲しいですね。」

■livedoor ブログ、ネットのユーザーに向けて
世に中が人の役に立つ、というやさしさをを求めだした

最後に、細川さんに、ネットユーザーや若者に向けて、メッセージを伺った。
「社会は利己的な方向に動いていたりしますけど、人は、どんな境遇、年齢であっても、人の役に立ちたいという気持ちを本質的にもっていると思うの。それが一番幸せな生き甲斐なんですけど、しばらく忘れてしまったのね。経済第一、自分さえよければ良いという方向に走りすぎましたね。
やっと今、気づきだして、人に必要とされている、人に感謝される、人の役に立つ、という喜びを求めだしたところなのだと思うの。

インターネットは情報が何でも手に入るけど、気をつけないといけないこともあるかもしれませんね。人間としての成長には、人と人との関わり合いも必要なので、そうした面も興味をもって欲しいです。
livedoorさんには、今回のように、新しい目を開かせるようなプロジェクトを今後もがんばってやっていて欲しい。

私たちも、10月30日(木)、京都でフォーラムを行います。認定NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)の生まれ故郷である京都の地で、皆さまに日ごろのご協力に対する感謝を込めて、JCVの活動報告やJCVの15年間の歩みをエンターテイメントを交えながらお伝えしようと思っています。

一人一人がちょっとだけでも、できることや気がつくことをして下されば、世界は、きっと良くなると思いますよ。」

■京都 子どもワクチンフォーラム2009 が開催されます!
それは京都からはじまった!
〜子どもワクチン支援の歩み〜
日時:2009年10月30日(木)
場所:ウィングス京都
   〒604-8147 京都市中京区東洞院通六角下ル御射山町262
参加費:無料

認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」
途上国で、1人でも多くの子どもが病気に負けず、夢と希望をもち、笑顔で毎日を過ごせるよう、皆さんの心のこもった募金をワクチンに換え、確実に接種されるように届けています。


「ブログのチカラで世界の子どもにワクチンを」キャンペーン
開設数300万突破を記念し、「ブログのチカラで世界の子どもにワクチンを」キャンペーンを実施いたします。キャンペーン期間中にテーマに沿って投稿されたブログの記事本数に応じて、ワクチンを寄付するキャンペーンで、1記事につき10本のワクチンが寄付されます。投稿されたユーザーのブログのタイトル、URLを特設ページに掲載します。また、「認定NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」 理事長の細川佳代子氏のブログもポータルサイト「livedoor」トップページにて紹介します。

期間:9月7日〜10月12日まで
共通テーマ:
9/ 7 子どもの頃の夢は何ですか?
9/14 自分の子どもへのメッセージ
9/21 両親へのメッセージ
内容:共通テーマに沿って投稿されたブログの記事本数に応じて、ワクチンが寄付されます。

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