【年末企画】MVNOとSIMフリースマホ大躍進の裏で、故障などの「異常系」対応への課題を実体験した2015年(アプリ開発エンジニア・えど編)


2015年はSIMフリースマホを修理に出す年でした(極論)

今年も早いもので残り10日ほどとなりました。2015年は大手3社の携帯電話事業者が提供する端末やサービスの費用高騰を背景に、一般に「格安スマホ」と呼ばれることの多いMVNO(仮想移動体通信事業者)とSIMフリーのスマートフォン(スマホ)への注目がかつてなく高まった1年といえます。これらのサービスも機種も選択肢が2015年になって増え、マニアではない「普通の人」が選択肢に入れられるようになってきているように思います。

しかし、全国津々浦々に店舗を構え利用者のサポートを行う携帯電話事業者と比較すると、MVNOやSIMフリー機種は故障などのトラブルが起こった時のサポートがどうしても手薄になってしまいます。実際筆者はこの1年間でSIMフリー機種のトラブルを複数回経験しました。

そこで、今回は当ブログメディア「S-MAX(エスマックス)」恒例の「年末企画」として、拡大を続けるMVNO・SIMフリー機種とともに、筆者に発生したトラブルを振り返ってみたいと思います。

【2015年に購入したのはSIMフリー機種ばかり!?】

この1年で筆者が個人で購入した機種は以下の通りです。

・ASUS ZenFone 2 ZE551ML-GY32S4
・Google Nexus 5X カーボン 32GB
・FREETEL 極 黒
・富士通 arrows M02 White

見事にSIMフリー機種ばかりでした。タイミング的に携帯電話事業者の機種を買い替える時期でなかったというのもありますが、端末割引や契約縛りを気にせずにある意味気軽に購入できるSIMフリー機種に個人的な興味が移った1年だったといえます。

【SIMフリー機種のトラブルは対応が大変】

しかしながら、購入したSIMフリー機種でいろいろなトラブルに遭遇したのも事実です。ZenFone 2は購入後間もなくバイブレーションが機能しなくなり、ASUSのサポートに端末を送って調べてもらった結果、事象再現せずということで戻ってきました(過去記事を参照)。送ってから戻ってくるまで3週間近く、せっかくの新機種を味わえずがっかりしたのを覚えています。

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ZenFone 2の初期トラブルに新機種購入のわくわく感を打ち砕かれる

arrows M02は画面に点灯しないドットがあり、修理対応となりました(過去記事を参照)。ZenFone 2の時に「最初はメーカーではなく販売店に問い合わせると初期不良交換になる」とネットで教えてもらっていたのですが、結局最後は富士通のサポートに送ることになり、戻ってくるまで1週間ほどかかりました。

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arrows M02のドット抜けを見つけてしまった以上無視できなかった

修理中はどちらも代替機種が提供されず、単純に機種が手元にない状態になってしまいます。常にスマホ複数台持ちで、押入れにはスペアの端末が山積みという変態ヘビーユーザーには大した問題ではないかもしれませんが、携帯電話はこの1台だけという(大多数の)利用者にとって、この状況はちょっと厳しいのではないかと感じました。

【「異常系」への対応と利用者の理解がSIMフリー普及の課題】

ソフトウェア開発では「異常系」という言葉をよく使います。利用者の誤操作やメモリ不足、電池切れなど、アプリの本来の動作から外れた状況のことを指します。アプリはこのような場合にもきちんと対応して矛盾なく動作する必要があります(*1)

*1) 現実的にはそこまで十分なテストが行われず、おかしな動きになってしまうアプリもあります。ただ開発者にとって異常系への対応は常に考慮するべき事項です。

故障発生した状況はスマホにとって「異常系」といえます。SIMフリー機種は普通に使っている分には問題ないのですが、故障という異常系が発生すると途端に不便が表面化します。安いのだから仕方がないといえばそうなのですが、利用者が望めば代替機種の提供などより手厚いサポートが(有償で)受けられる選択肢も望まれるところです。すでに一部機種メーカーやMVNOでは有償で端末サポートを提供するところが出てきており期待できます。

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メーカーが保証サービスを提供する場合も(写真はFREETELのPREMIUM保証)

逆に利用者は「安いのには理由がある」ことを知っておく必要があります。MVNOやSIMフリー機種と比較すると携帯電話事業者の機種は費用が高く「ぼったくり」に見えることもありますが、その裏には充実した店舗ネットワークに裏打ちされた手厚いサポートがあります。

メディアが「格安スマホ」として取り上げ、一般の利用者も増えてきているMVNO・SIMフリースマホ。2016年もますます普及拡大が期待されますが、メリットとデメリットを知って賢く利用したいところです。

記事執筆:えど(吉川英一)

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