本日は子ども読書の日 国立国会図書館国際子ども図書館にてヴィクトリア朝の電子絵本展
国立国会図書館国際子ども図書館は、本日4月23日が「子ども読書の日」であることにちなんで、インターネット上で行う電子展示会「ヴィクトリア朝の子どもの本:イングラムコレクションより」の提供を開始した。
このインターネット上の展示会では、国際子ども図書館の特別コレクション「イングラムコレクション」の中から、近代児童文学の黎明期にあたる19世紀イギリスの代表的な作品約50点を紹介している。資料の多くは、挿絵などを含む全文をデジタル画像で見ることができるようになっており、想像力にあふれた「子どものための文学」が生まれたヴィクトリア朝時代の“子どもの本の魅力”が存分に楽しめる内容になっている。
こうした貴重な資料が電子的にアーカイブされることで実際の資料とデーターの両方で後世に伝えて行くことができる。そして今回の電子展示会のように保存しているだけでなく、広く一般に公開することで絵本の持つ歴史の重みを伝えて行くことができるわけで、大変有意義ですばらしい試みと言えるだろう。
今週末よりゴールデンウィークが始まるが、年頃のお子さんを持つ人は、お子さんと一緒に19世紀の絵本の世界を存分に堪能してはいかがだろう。
■電子展示会の構成
第1〜第5までの各章ごとに解説をつけ作品を紹介しているほか、イギリス挿絵印刷技術の解説、関連年表、イングラムコレクションとヴィクトリア朝の子どもの本をもっと知るための参考文献や参考サイトも掲載している。
第1章:初期の児童文学‐教訓物語から日常小説へ
「小公子」、「トム・ブラウンの学校生活」等
第2章:チャップブックとフェアリーテール
シャルル・ペロー、グリム兄弟やアンデルセンの童話等
第3章:ファンタジーの時代の幕開け
「黄金の川の王様」、「水の子」、「不思議の国のアリス」等
第4章:冒険小説の誕生
「ロビンソン・クルーソー」、「宝島」等
第5章:トイ・ブックと近代絵本の夜明け
挿絵の印刷技術の進化にともなって全盛期を迎えたトイ・ブックと呼ばれる絵本のシリーズや、その後の絵本作り、絵本画家たちに多大な影響を与えた、ランドルフ・コルデコット、ウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイの作品を紹介。
■イングラムコレクションについて
国際子ども図書館は、児童書の専門図書館として、国内で刊行される児童書を収集し保存すると共に外国の児童書についても、古典的な作品を含めて幅広く収集を行っている。そのひとつに18世紀から20世紀にかけてのイギリスの児童書を中心とする特別コレクション「イングラムコレクション」がある。コレクションの核となっているのは、イギリスのヘレフォード大聖堂主教座名誉参事会員であるエドワード・ヘンリー・ウィニングトン=イングラム師が収集した一連の資料、具体的にはヴィクトリア朝の道徳的、精神的価値観に沿った児童文学をテーマに収集した資料のことを「イングラムコレクション」という。このイングラムコレクションについては、国際子ども図書館ホームページでも紹介している。
■掲載資料紹介(4作品)
過ぎし日の物語集または昔話集・教訓つき |
「Histories or tales of past times told by Mother Goose with morals」(原題)
●シャルル・ペロー/作 ジェームズ・サクソン・チルダース/編(1925年)
フランスの童話集を英訳したチャップブック「がちょうおばさんの昔話」(1697年)の復刻。がちょうおばさん=マザーグースは、後にイギリスの伝承童謡の代名詞となった。
不思議の国のアリス |
「Alice's adventures in Wonderland」(原題)
●ルイス・キャロル/作 ジョン・テニエル/絵(1886年)
ナンセンス児童文学の最高傑作として世界中に愛され続ける作品。
カラバ侯爵の絵本 |
「The Marquis of Carabas' picture book」(原題)
●ウォルター・クレイン/絵(1873年)
“カラバ侯爵”とは収録作品の「長ぐつをはいた猫」に登場する猫の主人の名。漫画のようにページの中で展開する表現に日本美術の影響が見られる。
グリーナウェイの花ことば |
「Language of flowers」(原題)
●ケイト・グリーナウェイ/絵「1884年」
AからZまでの「花ことば」が手彩色の木口木版によるグリーナウェイのイラストと共に描かれている。
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