【編集部的映画批評】童歌「通りゃんせ」に隠された恐ろしい秘密。子供が“神隠し”にあう理由が語られる


 昔から伝えられ歌い継がれてきた子供の遊び歌である童歌の歌詞には、意味不明のものや、よく考えると恐ろしいものが多い。映画『七つまでは神のうち』は、童歌「通りゃんせ」に込められた恐怖について描いている。警察の資料によると、日本国内の行方不明者は毎年1万人以上。その理由が「通りゃんせ」の歌詞の中で語られているのだ。

『七つまでは神のうち』

 10年前の事件を機に心を閉ざした繭は、学校にも通わず、教会で祈りを捧げる毎日。ある日、不審なワゴン車の車内に、少女が囚われていることに気づく。そのことを父に告げ少女の救出のために車を追跡する。その頃、複数の失踪事件が――。

子供は神様の所有物だから“神隠し”によくあう

 本作は、ある母親が「通りゃんせ」を歌いながら赤ん坊をあやすシーンから始まる。この「通りゃんせ」の歌詞には深い意味がある。注目すべきは「この子の7つの お祝いに お札を納めに まいります」という部分。昔は、乳幼児死亡率の高く、子供が7歳まで生きることが難しかった。そのため、無事な成長を願うために、赤ん坊が生まれた直後、紙を人型に切ったものや氏神のお札を神棚へまつり、7歳までの守り神とするという儀式が行われたそうだ。この映画では、それを「身代わり」と見て、「7歳までは子供は神様のもの。いつでも天に連れて帰られてしまう。その代わりに人型やお札を捧げている」としている。“神隠し”にあうのが子供が多いのは、この理由からなのである。本作、『七つまでは神のうち』も、7歳の子供が森に遊びに行ったきり消えてしまう。

“神”は必ずしも“救い”を与えてくれる存在とは限らない

 “神隠し”を中心にして、様々な方法で人が消えて行く様を本作は見せてくれる。「出かけたまま帰ってこない」「天狗にさらわれる」「殺人犯に襲われる」「呪いで消える」、失踪してしまう原因は様々である。そして、本作で一番強烈な描写と思われたのは、これらの失踪に対して“神への祈り”が全く通じないこと。本作で登場する真奈という母親は、娘がいなくならないように毎日神へ祈り「身代わり」となるお守りも持たせていた。しかし、そんな祈りも全く通じずに娘は消えてしまう。また、主人公である繭も、“ある事件”への償いをするために教会に通って祈り続けていたのに、それが通じずに悲惨なことが身に振りかかかってしまう。「神に祈れば救われる」という甘い考えはこの映画では全く通じない。

 おおまかなあらすじについては、作品情報や公式サイトを参照して欲しい。この作品についての総合的評価だが、ゾクゾク度は星3つ。海外のホラーはなんとなく“モンスター”的で背筋に寒気が走ることが少ない。それに対して日本のホラーは“霊”的でリアルだから怖い。本作でも登場する市松人形などは、本当に怖い。そして、意外なところは、話が複雑なこと。時系列で追って行くのではなく、複数の人物が時間を前後して登場する。どの順番で事件が起こったのか最後まで見ないとわからない。そして、ハッピーエンド度は皆無。前述した通り「救われない」のである。後味の悪さを残す衝撃的なラストは必見である。ホラーなので、この「後味悪い」は、ある意味ほめ言葉なのかも知れないが。

ヒーロー妄想のカンタの所見評価

ゾクゾク恐怖度:★★★

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