平面から立体へ、年賀状だけじゃない拡大する「プリンター」の最前線【最新ハイテク講座】


一年も押し迫ってくると訪れる年末の一大イベントといえば、年賀状だ。今年もまた年賀状に追われる季節がやってきた。

昨今では、“年賀はがき”でなく携帯電話やパソコンのメールで新年のご挨拶を済ませる人もいるご時世だが、やはり新年の挨拶は“年賀はがき”でという人は多いようだ。アイシェアの調査によると、2008年の年賀はがきを出した人は70%。年代が上になるほど、出した人の比率は高くなっている。

イラストや文字入りの“年賀はがき”もデパートやコンビニなどで売られているが、オリジナリティを出すためにはやはり自分で作る必要がある。そんな“年賀はがき”を作成をするうえで無くてはならないものがプリンターだ。
最近のプリンターは、高画質なだけでなくパソコン不要で誰にでも印刷できたりと、大きく進歩している。

そこで今回は高画質化・多機能化が進むプリンターの、誕生から現在までを迫ってみよう。


■プリンターの歴史とテクノロジーの進化
現在、プリンターとよばれているものは、コンピューターやメモリカードなどのデータメディアから情報を受け取り印刷を行う周辺機器だ。

●世界で初めてのプリンターとは?
世界初のプリンターには諸説あるが、初めて実用化したパソコン用プリンターはエプソンの小型軽量デジタルプリンタ「EP-101」とされている。

ちなみに「エプソン」という名称は「EP-101」に由来する。「EP」の子供たち(SON)のような製品群を世に送り出したいという想いから、1975年、「エプソン」というブランドが誕生した
エプソンブランドとは - エプソン


■プリンターの種類とその技術
プリンターにはどのような種類があるのだろうか。代表的なプリンターとその技術を簡単にまとめてみた。

●ドットインパクトプリンター
縦横に細いピンを並べて、インクを吸着させたリボンにピンを叩きつけて印刷するプリンター。個人向けプリンターの先駆けとして登場したが、宅配業者の複写用紙への重ね印刷ができることから今日でも根強い人気がある。


●インクジェットプリンター
現在主流の個人向けプリンターの一角を占めるのが「インクジェットプリンター」だ。「インクジェットプリンター」は文字通りにインクを噴射する方式のプリンター。ごく最近の技術のように思われがちだが、英国の物理学者ケルヴィン卿※が1867年にインク滴に対する荷電実験を行ったことが起源とされる。
ウィリアム・トムソン氏

「インクジェットプリンター」はポンプからインクを吸い出してノズルから連続的に放出させる。このときにヘッド(超音波発信器)によって微小な液滴になり、電極によって電荷が加えられると、必要に応じて偏向電極で軌道を曲げられて紙面に到達する。軌道が曲げられなかったインク滴はインキ回収口に入り、インクタンクに戻される仕組みだ。


●レーザープリンター
会社でよく使われているプリンターが「レーザープリンター」だ。レーザープリンターはコピー機の原理を応用したものだ。帯電させた感光体にレーザー光を照射してトナー(顔料粉末)を付着させ、用紙に転写したあとで熱や圧力をかけて定着させる。この原理から乾式電子写真方式とも呼ばれる。


●昇華型プリンター
デジタルカメラで撮影した写真をプリントするのによく使われるのが「昇華型プリンター」だ。「昇華型プリンター」はインクに熱を加えて昇華させる方式をとる。熱量を細かく制御してインクの量を調整できるので、写真に近い画質を得ることができる。


■プリンターも3次元に対応
プリンターといえば、紙などの平面や曲面への印刷機と思われがちだが、最近では、2次元から3次元の世界へと、その用途は広がりを見せつつある。

●フィギュアもプリンターで作る時代へ
3次元ソフトを手がけるDICOはカラーデザインの展示会「COLOR SESSION 2008」にも模型を製作できる3次元プリンター「ZPrinter 450 System」を出品して話題となった。

「ZPrinter 450 System」はパソコンから転送された3次元モデルのデータを元に立体模型を作れる。具体的には、石膏の粉にインクと接着剤を吹き付けて3次元の模型を製作する。携帯電話の形状を確認したり、中空な形状の建築物の模型を造ったり、医療器具メーカーではカスタムメイドのインプラント用のマスターとしても活用されている。
フルカラー3Dプリンタ、さらに大きな模型も可能に 「ZPrinter」新製品 - ITmedia
3Dプリンター Z Series - 株式会社DICO


プリンターは文字を印刷するための道具として登場したが、今日ではコピーやファックス、スキャナー、ネットワークなどの機能を内蔵した製品が増えてきた。ハイテク技術の進歩にともない、プリンターは今後も多機能化の一途をたどっていくであろう。


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