クラウドって何か知ってますか?理解している企業は約4割と急上昇


東日本大震災で企業の危機意識が大きく変わった。もし何かあった場合は、企業の存続に関わる事になるからだ。そこで注目を集めているのがクラウドなのだ。

IT専門調査会社のIDC Japanでは「国内クラウド市場ユーザー動向調査結果」を発表している。パブリッククラウドの認知率と利用率が急上昇している事が分かってきたのだ。

パブリッククラウドを理解(「良く理解している」「概ね理解している」「なんとなく分かる」の合計)する企業は約4割、この企業での利用率はSaaSが23.6%、PaaS/IaaSが13.8%となった。2010年の同様の調査に比べて、認知率と利用率が上昇しているのだ。

それは、2010年頃から、国内のテレビ、新聞といったマスメディア、経済誌を含めた一般媒体でクラウドが取り上げられる事が多くなったためと思われる。特に、IT関連の媒体では、クラウドの優位性や課題、導入事例などが数多く紹介されているのだ。このようにクラウドに関する情報が量、質ともに充実した事が認知率、利用率アップに貢献したのだろう。

ただし、パブリッククラウドの印象については、肯定的な意見ばかりではない。「トータルコストが安い」(29.6%)や「導入時のコストが安い」(24.9%)、「迅速にシステムが構築できる」(19.9%)、「将来性を感じる」(18.4%)、「拡張性に優れている」(18.4%)といったクラウド事業者が訴求している内容については評価が高くなってきているが、「セキュリティが心配」との答えが33.8%と懸念は解消されていないのだ。

国内SaaS市場は、2010年に「認知度の普及」から「ベンダー間の差別化」へとベンダーの課題が変化した。IDCでは、次は、国内PaaS/IaaS市場が「普及」から「差別化」へと変化すると見ている。漠然とした啓発から具体的な提案が求められるようになるのだ。

クラウドの重要性は企業でも認識され始めて来た。これからは企業規模、業種などにより異なる機能や付加価値をいかに提供できるかに、かかってきそうだ。

IDC Japan

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