大震災の影響を懸念！2011年はハイパフォーマンスコンピューターが減少
富士通と理化学研究所が2012年の本格稼働を目指しているスーパーコンピューター「京」が世界最速を記録したばかりだが、そんなに楽観してばかりはいられない。
IT専門調査会社であるIDC Japanが、国内HPC市場における2010年の分析と2011年〜2015年の予測を発表した。
2010年の国内HPC市場規模は、211億円となった。2009年は410億円だったため、48.5％減の大幅なマイナスとなった。特に、5000万円以上の「テクニカルスーパーコンピューター」の分野で前年比70％近くも減少したことが響いたのだ。しかし、2500万円未満のシステムでは、前年比10％プラス前後と堅調な成長を示している。
大学や公官庁の研究機関などの学術系で需要が減少したが、電機や機械といった製造業と金融機関向けの産業系HPCの需要が戻っているとのことだ。
2011年はHPC市場規模が前年比3.7％減の204億円になると、東日本大震災の影響で減少するとのこと。
IDC Japan サーバーリサーチマネージャーの林 一彦氏によると、「2011年の国内HPC市場は、東日本大震災による直接的なダメージと、電力不足による景況悪化の影響により減少するとみている。また、x86サーバーの性能向上によって、HPCのシステム価格は減少傾向にある。サーバーベンダーは、x86サーバーのクラスター技術を生かした新たなアプリケーションの開発を促進する必要性があるだろう」としている。
2010年から2015年は、年平均成長率がプラス1.4％で市場規模が227億円になると見ている。製品分野別では、価格帯性能比に優れたx86サーバーを用いたクラスターシステムが今後増加していくようだ。
2011年は東日本大震災の影響から逃れられないように思えるが、今後、徐々に回復していきそうだ。これからに期待したい。
■IDC Japan
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