日本人旅行者にはうれしいApple Payによる新しいショッピングスタイル【デジ通】


先日登場したiPhone 6とiPhone Plusには搭載されたNFCを使った決済システムとなる「Apple Pay」のサービスが北米で10月より開始される。日本では、すでにFeliCaを使ったおサイフケータイが普及しているし、EU圏でも非接触カードによる決済が当たり前だ。ところがアメリカではこれまで非接触型の決済はほとんど普及していなかった。そのためカードで買い物をする際にクレジットカードを店員に渡す必要があり、その際にスキミングを受けるといった被害が発生してしまう原因になっていた。

直接クレジットカードを手渡す必要もなく、さらにサインすらいらなくなるApple Payは、アメリカにおいては画期的な決済サービスとなる。そのためサービス開始直後から対応店舗は多くiPhone 6& 6Plusユーザーはほとんどが利用するだろう。

日本のおサイフケータイは、現金や交通用またはクレジットカード代わりに利用できる。たとえば買い物の際、レジで現金ではなく決済用カード(SUICA、PASMO、Edy、nanacoや各種クレジットカード)で支払うことを伝え、読み取り機におサイフケータイかざすだけで決済が完了する。バスや電車といいった交通機関でも乗降時や改札を通過する際におサイフケータイをかざすだけで対応の決済機能が働き、決済が完了する。日本の大都市圏ではカバンの奥底にオサイフをしまっていたり、現金を持ち歩かなくてもおサイフケータイさえあれば、不自由なく生活ができるようになっている。

Apple Payも日本のおサイフケータイと同じように、レジで支払いに利用するのが基本となっている。ただし、決済を利用するためにはNFC対応のリーダーが必要で、ここがApple Pay普及の課題ともなっている。しかし、注目したいのは、NFC対応リーダーがなくてもApple Payの対応端末さえあれば決済が完了してしまう別の方法が用意されている点だ。

例えば、アップルストアの実店舗ではEasyPayという支払いシステムが2012年頃から整備され利用できる。これは、アップルストアにある商品を購入する際、iPhoneのApple Storeアプリで商品のバーコードを読み取り、自分のiPhoneだけで決済が完了するシステムだ。EasyPayではiTunesのアプリや音楽の購入用に登録しているクレジットカードで決済が行われる。このEasyPayがApple Payと連携しており、決済ができるようになっているのだ。

Apple Storeでは、一般的な店舗にあるレジがなく、クレジットカードで決済する際にスタッフのiPhoneベースの端末で決済できるようになっている。アプリを利用しなければならないが、Apple Payで支払いができるようになると、NFC対応リーダーはもちろん、店員にクレジットカードを手渡して決済することも不要になる。安全性がグンと高まるわけだ。

このアプリでの決済対応予定には日本でも知られたところでは、スターバックスが入っている。スターバックスのようなカフェでは、注文で並び、飲み物をカスタマイズして注文する際に「グランデラテ! プラス2ショット、ローファット!」と呪文を唱え、受け取りまでしばらく待つのがどこの国でもお約束となっている。

国内のスタバではスターバックスカードというプリペイド式のカード決済しすてむが導入されており、おサイフケータイがあれば、コンビニと同じようにかざすだけで決済が完了するようになっている。アメリカのスターバックスが日本と同じように対応するのかは不明だが、アプリでの決済に対応すれば、店舗の近くまで行ったら、事前にアプリ内で自分好みの飲み物をオーダー設定し、Apple Payで決済。店に入ったら準備された注文品を受け取るだけというようなことができるようになる。

特にアメリカに行く機会の多い人はApple Payによって、アメリカでの買い物が日本と同じレベルに向上することになるわけで大歓迎だろう。ただし、日本向けのiPhone 6 & 6PlusにはApple Payアプリや設定画面すら用意されていない。日本国内で利用できなくても海外渡航者向けのアプリとしてApple Payアプリの配信がされると、日本で買ったiPhone 6 & 6 Plusでも決済が可能になる。クレジットカードを取り出す必要もなくなる。

日本でも1日も早い導入を望みたい。そして日本で購入したiPhone 6 & 6 PlusのApple Payが海外でも利用できるようになると、iPhone 6 & 6 Plusの人気度はさらに高まるだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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