マーケティングに年齢や性別は無関係ーーグーグルがマルチスクリーン利用者のユーザー行動分析結果を公表!あなたはどのグループ?【レポート】



グーグルでは日本におけるマルチデバイス環境は確実に進んでいるという

Googleの日本法人グーグルは16日、マルチスクリーン利用者の行動分析に関するプレス向け発表会を開催。パソコンやスマートフォンなどの増加に伴って複数のスクリーンを同時に利用する“マルチスクリーン”化が進む中、テレビとパソコン、スマートフォンという3つのスクリーンをどのように活用しているのかを統計的に分析。その行動パターンから、日本のユーザー行動が5つのグループに分類できると説明した。

これらのグループ分類では、従来までに行われてきた性別や年齢などの属性ではなく、情報に対する性格や役割などが複合的に混ざり合うという分析ができるという。今回は、そんな5つのグループ分類の仕方を中心に発表会の模様を紹介していこう。

グーグルのマーケットインサイト統括部長である小林伸一郎氏によると、今回の調査を実施した背景として、マルチスクリーン環境の広まりが、実はユーザー行動の多様化をもたらしているのではないかという考えを上げている。

近年あるテレビ番組の放映中、ある時間になると一斉につぶやきが発生するような事象が何度か起きているが、その行動に積極的に参加する人もいれば、距離を置く人もいる。そこで、実際にどのような人達が積極的に参加し、どのような人達が距離を置いているのかを分析してみようと考えたのだそうだ。

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グーグルの小林氏


今回の分析においては、小林氏は通常用いられるアンケートによる調査ではなく、市場調査・マーケティングリサーチ会社のインテージによる「シングルソースパネル」を用いて調査しているとのこと。

シングルソースパネルとは、同一の対象者の行動を多面的に取得したデータをまとめたもの。今回の調査では今年の6月1日から30日の間、テレビとパソコン、スマートフォンの3つのデバイスを利用している関東在住の20〜60歳の男女500人を対象にデータを集めたのだという。

データの収集方法は次の通りだ。パソコンとスマートフォンは対象者に専用のアプリをインストールしてもらい、使用しているアプリやURLなどのログデータを取得する。同様の調査方法ができないテレビについては、テレビから流れる音声を定期的に録音し、暗号化して送信する機器を用いることで、どの時間に何の番組が流れていたかを照合しているとのこと。これらのデータを1ヵ月間、30秒刻みで分析することで、より確実な分析ができるとしている。

こうして得たシングルソースパネルを分析したところ、ユーザーの行動が大きく5つのグループに分類できることが判明したという。それぞれのグループについて、小林氏は行動に応じた名前を付けながら、次のような特性があると説明している。

第1のグループは、各デバイスの利用時間がとても長く、スマートフォンでこまめに情報をチェックする“キマジメ大食らい”。メディアの情報を従順に取り入れる特徴があり、人付き合いを広げることには積極的でない一方、物を買う時はじっくり比較検討する慎重派であるという。

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第1グループ“キマジメ大食らい”が示す傾向


第2のグループは、テレビを見るのは夜くらいであり、スマートフォンの利用が少なくパソコンを使う傾向が強い“ハラハチブ自由人”。地元・仲間意識が強く、騒がしい場所や浅く広いつきあいが苦手で、SNSも騒がしいと感じているとのこと。小林氏はいわゆる“草食系”がこのグループに当てはまると分析しているが、草食系という一般的なイメージと異なり、男性だけでなく女性にも同様の示す人が見られるとのことだ。

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第2グループ“ハラハチブ自由人”が示す傾向


対象者のうち33%と、最も大きな勢力を示す第3のグループ“ヒマツブシ貴族人”は、持っているデバイスは常時オンにしており、テレビ番組ではワイドショーが好き。動画やゲームを楽しみ、スマートフォンで写真やビデオを撮る傾向も強いなど、各デバイスを暇つぶしのために用いる傾向が強いという。人の目が気になる割に交流を広めたい行動傾向が強く、「LINEの既読スルーができない人達が当てはまるのではないか」と小林氏は分析している。

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第3グループ“ヒマツブシ貴族人”が示す傾向


第4グループの“検索ナルシスト”は、パソコンよりもスマートフォンを主体的に利用しており、価格サイトや企業サイトなどもスマートフォンで閲覧しているとのこと。テレビ番組でも報道やニュースを好む傾向があり、ヒマツブシ貴族人とは逆に世間的なブランドとは一線を画したいという意識が強いのだそうだ。

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第4グループ“検索ナルシスト”が示す傾向


そして、全体の12%と最も数が少ないものの、周囲に影響を与えやすいのが第5のグループが“社交的ハンター”。テレビやパソコンよりもスマートフォンの利用が長く、夜に使用する傾向が強い。ソーシャルメディアの利用が活発で交流も積極的であり、自分が勧めたものを周囲が購入するなど、社交的な傾向を示すようだ。

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第5グループ“社交的ハンター”が示す傾向


しかも、これら5つのグループ分類には、男女や年齢などによる違いがあまり存在しなかったことに、小林氏は驚きを感じているという。それよりもむしろ各デバイスへの接触時間がグループ分類には大きく影響しているとのことだ。

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5つのグループ分類に年齢や男女の差は大きく影響しておらず、むしろデバイスの接触時間が大きく影響しているという


さらにもう1つ、小林氏が面白いと感じたと話しているのが、テレビ視聴中のマルチスクリーン率である。今回の調査においては、テレビの総視聴時間のうち、パソコンやスマートフォンを同時に利用している時間は、全体の24%程度であったとのこと。通常のアンケート調査などでは、テレビ中にパソコンやスマートフォンを利用している割合は8割まで上ることが多いが、それが毎日の行動とは限らない。今回の調査からは、パソコンやスマートフォンの広まりが、他のデバイスの利用率に影響している訳ではないと、小林氏は説明している。

これらの調査結果から小林氏は、「男女や年齢などの属性ではなく、情報に対する性格や役割などが複合的に混ざり合い、ユーザー行動に反映されている。広告やメディアなどをプランニングする場合は、属性よりもメディアの接触傾向やユーザー行動を意識する必要があるのではないか」とまとめている。

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テレビ視聴中のマルチスクリーン率は24%。デバイス同士で食い合いが起きている訳ではないとのこと


記事執筆:佐野正弘


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