Wi-Fiの充実はサービス向上か電波干渉の元凶か?近くのローソンで電波測定しながら考える【レポート】
各社Wi-Fiがそろい踏みする場面も多くなってきたが... |
携帯電話各社はスマートフォンにより増加し続けている通信量を少しでも逃がすために、自社ユーザー向けに公衆無線LAN(Wi-Fi)のサービスを積極的に展開してきています。
しかし各社が独自にWi-Fiアクセスポイントを配置しているため、Wi-Fi電波の混雑が問題として指摘されてきています。
今回は各社Wi-Fiのほか、自社でも「LAWSON Wi-Fi」のアクセスポイントを設置しているローソンで、Wi-Fi電波の混雑度を調べてみました。
いつでもどこでもWi-Fiが使えるのはうれしいところだが
今回訪問したローソンには、以下のWi-Fiサービスのアクセスポイントが存在しました。なお記載は店頭ステッカーの表示順です。
1) ソフトバンクWi-Fiスポット(ソフトバンクモバイル)
2) docomo Wi-Fi(NTTドコモ)
3) Wi-Fiスクエア(Wi2 300)
4) au Wi-Fi SPOT(KDDI au)
5) LAWSON Wi-Fi(ローソン)
これらのWi-Fiアクセスポイントが発する電波を測定しました。測定はAndroidスマートフォン(GALAXY SII WiMAX ISW11SC)に電波測定アプリ「Wifi Analyzer」をインストールして行いました。このアプリを使用するとWi-Fiアクセスポイントが発する電波の強さと使用チャネルを表示することができます。なお今回は2.4GHz帯のみを測定対象にしています。
では測定結果をごらんいただきます。店内のWi-Fi電波状況は常に変化しているため、まずは傾向が読み取りやすいデータを示します。
重なっていてわかりづらいのですが、各社Wi-Fiの使用チャンネルはdocomoが1、au・Wi2・ローソンが11、SoftBankが12になっています。au・Wi2・ローソンはインフラを共有しているので同じチャンネルに共存しており、これらの中では干渉していないのですが、すぐ隣のチャンネルにSoftBankのWi-Fiスポットが存在しています。これをもってすぐに通信ができなくなるというわけではありませんが、干渉により通信速度へ影響が発生する場合がありそうです。
理想論を言えば、au・Wi2・ローソンの共有インフラにdocomoとSoftBankも混ぜてもらって共同でインフラを展開すればWi-Fi電波の干渉が低減されるのでしょうが、現実的には今回のように、各社個別にアクセスポイントを配置して、他社のチャンネルと重なった状態でサービスを行うケースが存在します。
今回の測定では、短時間でWi-Fi電波の様子が大きく変化しました。次の写真では6チャンネルに「フレッツ・スポット」「OCN ホットスポット」と見られるNTT系のアクセスポイントが観測されるほか、公衆Wi-Fiではないアクセスポイントも見られます。これらは時間の経過とともに表示されたり消えたりしていたため、ローソン店外のアクセスポイントから電波を拾っているものと思われます。このようにいまや公衆Wi-Fiは常に他社からの干渉を受けていると言えます。
誰もが使える電波は他の誰かの電波に干渉する
Wi-Fiは無線の免許を必要とせず、個人であっても通信事業者であっても、だれもが自由にアクセスポイントを設置して使うことができます。ただWi-Fiも無線を使用する以上、同じ周波数の電波は干渉して性能が低下しますし、有限の電波帯域を無制限に利用することもできません。あるWi-Fiの電波は、本質的に他のWi-Fiに対して妨害電波として働くことになります。
携帯電話事業者などWi-Fiを展開する通信事業者には、周辺のWi-Fi環境に配慮したより干渉の少ないアクセスポイント設置が今後求められるでしょう。通信のプロとして意地を見せてもらいたいところです。
■関連リンク
・エスマックス(S-MAX)
・エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
・S-MAX - Facebookページ