【編集部的映画批評】映画『るろうに剣心』は原作ファンに斬られるのか?


 ついに劇場公開が始まった映画『るろうに剣心』。公開前からキャスティングや内容などについて原作ファンが注目。様々な議論を呼んでいた。ドラマ「龍馬伝」の大友啓史が監督を務めたのだが、その手腕はどうだったのだろうか。そして、佐藤健をはじめとしたキャスト陣の演技はいかに――。

『るろうに剣心』

明治10年。東京で“人斬り抜刀斉“を自称する男が世間を震撼させていた。神谷薫は、無謀にも単身その男に挑もうとし、見知らぬ男に助けられる。そう、その男こそが、幕末最強の剣客であり、修羅とまで恐れらた本物の“人斬り抜刀斉“こと、緋村剣心だった――。(作品情報へ

香川照之が原作を超えた!

 まず、アクションがすさまじい。ワイヤーアクションを使って、剣心が滑るように走る、そして跳ぶ。それは、本当に原作の電光石火な戦いぶりを再現できていると思った。見ごたえは十分だ。そして、全体的なキャストの雰囲気と原作のイメージだが、著しく崩れているということはなかったと思う。ややアレンジがあるが、佐藤健の剣心も違和感がないし、武井咲の神谷薫もかわいらしくて見惚れてしまった。キャスティングを知った時に、蒼井優の高荷恵はイメージが違うと思ったが、まあ大きくかけ離れているわけでもなかった(ややクールな恵のキャラクターに似合わない狼狽する様子があったが、まあ、そこは目をつぶろう)。


 そして、一番、驚愕だったのが、香川照之の武田観柳だ。観柳は、アヘンで日本支配を目論む悪人。気に入らなければ部下でも容赦なく殺すし、甘い汁を吸うためには他人の苦しみなどお構いない。狡猾で残虐な男だ。この観柳を演じた香川は、さすが大御所と言ったところか。観柳の常軌を逸した行動や、内にあるドス黒さなどが本当に良く表現された演技をしていた。また、悪のボスとしての威厳を表現しながらも、ラストの方で露見する“小悪党”っぷりもうまく出しているところもさすがだと思った。この観柳は「原作を超えた!」と思った。

もっと斉藤一に活躍してほしかった

  全体的に良い出来ではあると思ったが、原作ファンとして不満なところもないと言えば嘘である。かなり個人的なことではあるが、斉藤一の活躍どころがあまりないのが残念。江口洋介の斉藤一のイメージ自体は良かった。だが、「悪即斬」「阿呆が」がないのが少し残念だった。まあ、いろいろ殺傷事件など物騒なことが多いから「悪即斬」を控えたのかも知れない(原作で十本刀の“盲剣”の宇水との戦いは本当に惨殺な感じだしね)。また、観柳の屋敷での戦いでも、一対一の戦いで余裕を見せながら「牙突」で敵を打ち砕くところが見たかった。どんな状況でも圧倒的な強さでクールに敵を倒す、それが斉藤一の魅力だ。あと細かいところででの不満は、左之助の斬馬刀がちょっとペラペラ感が出てしまったところか(本当に細かい)。

京都編が見たい

 今回は、武田観柳、鵜堂刃衛の話をまとめた原作で言う「東京編」だ。だが、ファンが一番観たいのは、志々雄一派との戦い「京都編」だろう。悪として一本の筋が通っていて、部下たちからの信頼も厚い志々雄真実は、敵ながら大きな魅力を持っている。それに、一派には、深い悲しみを持つ“明王”の安慈や絶対的に志々雄に忠誠を誓う“百識”の方治など魅力的なキャラクターがたくさんいる。今回の映画で、「人誅編」での戌亥番神などがアレンジで出てきたが、「京都編」のキャラクターは登場していない。これは続編で「京都編」が描かれることの期待が高まる。

 原作の「るろうに剣心」は、少年ジャンプで連載していたにも関わらず、女性ファンも多い。男性が大好きなアクション映画でありながら、デートにも使える。週末に出かけるところが決まっていないカップルはぜひとも劇場に足を運んでほしい。勿論、男同士で楽しむのも良い。

ヒーロー妄想のカンタの所見評価

原作忠実度:★★★

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