オンライン海賊行為防止法(SOPA)でクラウドサービスも使えなくなる?【デジ通】


オンライン海賊行為防止法(SOPA)をめぐり、新たな動きがあった。Wikipediaなどによる法案への抗議が相次いだことを受け、米上下両院は1月20日、法案審議を保留することを決めた。

上院では従来、24日に法案への投票が実施される予定であったが、これも延期されることになる。他方、米国映画協会(MPAA)など法案を推進する団体サイトに対しては、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃がかけられた。SOPAをめぐる混乱はどうなるのだろうか?


■「自主規制」も広がる
前記事で取り上げたが、オンラインストレージサービスの「Megaupload」は閉鎖され、現在、同サイトにはFBIによる「警告」が掲載されている(本記事のトップ画像)。

これに次いで、同様のサービスである「Filesonic」はユーザー同士のファイル共有機能を停止した。Megauploadと同様の処分を受けないための対策であると考えられ、一種の自主規制である。この動きは広がる気配を見せており、米当局による「SOPAの先取り」とも言える厳しい姿勢は、是非はともかく、一定程度、効果があったようだ。

■クラウドサービスも利用不可?
それにしても、SOPAが成立するか否かでは、先行きは大きく異なる。

Megauploadなどは、現実に違法コンテンツであふれていたこと、不特定のユーザー間でデータを共有でき、それがアフィリエイトでインセンティブ化されている点が問題になったと言える。「SOPAの先取り」に近いが、いちおうは、現行法の「厳格適用」による摘発である。

だが、ユーザー間のファイル共有機能だけなら、「Dropbox」などのクラウドサービスも該当するため、SOPAが成立すれば、サービスの提供企業はコンテンツのフィルタリングを行わなければならなくなる。これは、クラウド各社の経営には死活問題になりかねないし、「クラウド化」を推進している企業、各国政府にとっても、方針転換が迫られる大問題になりかねない。

SOPAは米国の法律案ではあるが、この一例を見るだけでも、施行されれば影響は全世界に及ぶ。米国以外でも、このSOPAが話題になるのは当然である。

■国際問題にも発展?
SOPAをめぐっては、米国内の賛否はもちろん、米国外の動向も見逃さないようにしたい。欧州連合(EU)の欧州委員会メンバーは抗議行動を擁護、事実上、SOPAへの懸念を表明した形だ。だが、日本政府がコメントを出さないのは予想通りとしても、日系ネット企業がダンマリを決め込んでいるのはどうしたことか。

「著作権違反大国」のレッテルを貼られている中国の動きも、気になるところである。SOPAが成立すれば、米国からの圧力が強まることは疑いないからだ。もっとも、自国のネットへの検閲に対する、米国からの批判が弱まる可能性もあり、「痛しかゆし」かもしれない。程度の差はあれ、SOPAも一種の検閲だからだ。

もっとも、あらゆるサービスは規制をくぐり抜けて発展するものだ。当面は米議会の動向が焦点だが、仮にSOPAが成立しても、結局、繰り返されてきた「イタチごっこ」の例を逃れることはできないと思われる。

大島克彦@katsuosh[digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。

ITライフハック
ITライフハックTwitter

デジ通の記事をもっと見る
Windowsもパソコンもいらない?TF201にみるノートパソコンの今後
アメリカの液晶テレビ普及率は低い!スマートTVはそもそも売れるのか
オンライン海賊行為防止法(SOPA)はすでに実施されている
競争激しいiPhoneケース 付加価値をつけた製品が多数登場

Transcend SDHCカード 16GB Class10 永久保証 [フラストレーションフリーパッケージ (FFP)] TS16GSDHC10ETranscend SDHCカード 16GB Class10 永久保証 [フラストレーションフリーパッケージ (FFP)] TS16GSDHC10E
トランセンド・ジャパン
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

共有する

関連記事

【世界のモバイル】モバイルブロードバンド天国へ!海外で進む高速サービスにみる日本との格差

日本の携帯電話は世界でも最も進んだサービスを提供しているといわれている。ところが海外に目を向けてみれば、日本にはない便利なサービスが多く存在している。特に2006年から各国で開始されている「モバイルブロードバンド」は日本に…

【デジカメ調査室】これからの一眼レフは1000万画素がスタンダード

2006年は、一眼レフのブームや低価格化が進んだことにより各メーカーから数々のデジタル一眼レフカメラが発売された。その中でも脚光を浴びたのが、今回紹介するNikon「D80」とPENTAX「K10D」ではないだろうか。「D80」は、低価格の一眼…

【デジカメ調査室】買うならどっち?初めてのデジタル一眼

昨年9月に発売されたCanonのEOS Kiss Digital Xと、同年12月に発売されたNikonのD40と、現在人気の2台のエントリーモデルを比較してみた。キヤノンのEOS Kiss Digital Xは、デジタル一眼レフブームの火付け役になったEOS Kiss Digital…

【デジカメ調査室】強力二重奏!新「LUMIX」シリーズ6機種発表

松下電器産業は2007年1月31日(水)、パナソニックセンター東京において、デジタルカメラ「LUMIX」シリーズ新製品6機種の記者発表会を行った。今回発表された製品は、世界最薄※1・広角28mm※2ズームレンズ搭載の「FX30」、世界最小※…

【デジカメ調査室】世界最薄!広角28mmズームレンズ搭載のお嬢様カメラ「FX30」

「FX30」は、世界最薄※1広角28mm※2ズームレンズ搭載コンパクトスリムデジタルカメラ。スタイリッシュな女性をメインターゲットにした「お嬢様カメラ」として2月22日より販売を開始する。価格は、オープンプライス。市場想定価格は、…