【2011下半期アワードvol.1】ツッコミを入れずにいられない、Perfume大抜擢の映画


 2011年、様々な映画が公開された。興行収入のランキングでは人気シリーズの最終章『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』が1位となっているが、皆さんが一番面白いと思った映画は何だっただろう。映画は個人によって趣味嗜好が変わるものなので、「2011年編集部的アワード」と題し、ムービーエンター編集部員が独断と偏見で下半期のベスト10を選んでみた(上半期のベスト10はこちら)。まずは、アクションやSFが大好きな「ヒーロー妄想のカンタ」のランキングを紹介しよう。

第1位『カーズ2』


 編集部的映画批評でも一度取り上げたが、「直感派」とも「思考派」で意見が全く異なる映画だ。

【編集部的映画批評】賛否両論!意見が真っ二つに割れる映画『カーズ2』

 自分は直観派なので、この作品に賛成。ディズニー/ピクサー制作だけあって、グラフィックやサウンドへのこだわりが半端ない。日本が舞台となっていたり、なじみのあるPerfumeの楽曲を使われていることからも親しみを感じる。最大の見所は、スパイたちの「もはや車じゃねーよ」ってツッコミを入れたくなる機能。何度観てもツッコミを入れたくなる楽しい作品だ。

第2位『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』

 名作『猿の惑星』の起源に迫る作品。シリーズ第一作のラストで「実は“猿の惑星”は“地球”だった」ということがわかった時は、子供心にかなりの衝撃を受けた。本作は「では、なぜ猿の惑星になったの?」ということを説明している。最新式のCGと『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム役を演じたアンディ・サーキスの演技を融合してつくられた猿の表情がリアル過ぎる。映画の中の話なのに現実のドキュメントを観ているような感覚になる。無駄のないストーリー構成も秀逸だ。

第3位『ハリーポッターと死の秘宝 PART2』

 やはり10年の重みは強い。最終章には、今までのシリーズ作に出てきた人物や小道具、場所などが再び登場するので、ファンはその度に笑みがこぼれてしまう。最終章をまだ観ていないという方は、全部とは言わない、第1作だけでももう一度振り返ってから観ると良い。「あの小さかったポッターやロンがこんなに立派になって…」と親のような気持ちになる。シリーズを通した様々な伏線が張られている最終作は必見。考え過ぎかも知れないが、第1作から続くネビル・ロングボトムがカエルを飼っている設定は、最終章のあの“見せ場シーン”に続く伏線なのではないかと思っている。

第4位〜10位

 5位の『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX』は、アクションに定評がある坂本監督の作品だけあり、爽快感満点。必殺技のオンパレードに熱くなる。フォーゼとオーズだけではなく、仮面ライダーWも登場するのも魅力的。6位の『マイティ・ソー』は、ロキという悪役が良い味を出している。“動”のソーに対して、“静”のロキ。対極の性格でいて、水面下で一歩一歩ソーをはめる罠を構築している様子はいかにも悪役らしい。また、“悪”になった理由も持っているのも良い。『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーもそうだが、“悪”は単に悪いだけでは美しくない。“悪”になる悲しい理由を持ってこそ魅力的なのである。これこそ“悪の美学”である。7位の『探偵はBARにいる』は、大泉洋と松田龍平の掛け合いが最高。劇中でもそうだったが、インタビュー取材をした時も長年連れ添ったお笑い芸人のボケとツッコミのような絶妙のタイミングであった。新コンビ誕生である。

インタビュー:大泉洋&松田龍平「ハードボイルド的な恋といえば…」

 8位の『ワイルド7』は、12月21日に公開となるが、いち早く試写で観てきた。全部で1,500発も使った銃撃戦はすさまじい。邦画でこれほど弾丸を使った映画も珍しいのではないだろうか。

ヒーロー妄想のカンタの2011年アワード

 1位 カーズ2
 2位 猿の惑星
 3位 ハリーポッターと死の秘宝 PART2
 4位 世界侵略:ロサンゼルス決戦
 5位 仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX
 6位 マイティ・ソー
 7位 探偵はBARにいる
 8位 ワイルド7
 9位 モンスターズ/地球外生命体
10位 アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事<デカ>!

ちょっと残念だった映画『はやぶさ/HAYABUSA』

 TVスポットなどで主題歌であるfumikaの「たいせつな光」が非常に印象的だったこの作品。裏方であるJAXAの研究員にスポットを当てたところなどは、宇宙好きにはたまらないところであるが、シリアス路線一本ではなく、間にコメディシーンが挟まれている。流される程度の軽い笑いならば良いのだが、主張が強すぎた。“泣く準備”をしていたのに涙が引っこんでしまったという方もいたのではないだろうか。もう少し笑いの要素をライトにすると良かったのではと思う。主題歌が心に響く作品なのにもったいない。プロモーションで、史上初の宇宙試写会などかなり興味深いことを実施していたのに残念である。

観なかったことが悔やまれる映画『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』

 編集部員と言えど、全ての公開映画を観たわけではない。この映画は、編集部の別なメンバーが担当していたので仕事で観ることはなかった。プライベートで観に行こうとは思っていたが予定があわずに断念。あの迫力のトランスフォームをIMAXで観たらどんなにすごかったのだろうかと思うと悔やまれる。あれだけ愛を誓い合ったミカエラと本作で別れていたことも悔やまれる。

 今回は「ヒーロー妄想のカンタ」のベスト10なので、アクションものに偏っている。次回は「ドラマのサイトー」のランキングなので、“泣ける映画”も入ってくるかも? あなたのランキングと似ている編集部員は誰か、次回、12月12日(月)配信のものもお楽しみに。

2011下半期編集部的アワード
2011上半期アワード
編集部的映画批評

ヒーロー妄想のカンタの2011年総括

今年は、長年続いたシリーズ作『ハリーポッター』が完結したことが非常に大きい。単発でヒットすることは簡単でもシリーズでヒットを続けるのはなかなか難しい。人気シリーズが終了した後に、次に続く作品がないと、劇場への足が遠のいてしまうので、映画業界全体としては大打撃である。次のヒットの担い手になる作品が現れるのか、2012年の映画界に注目である。

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