『弁護士イーライ』のプロデューサーが、ジョージ・マイケルの出演について語る


 大手クライアントの勝利を勝ち取ることばかり考えていた野心家の弁護士・イーライが、幻覚や幻聴による突飛な行動で周囲を驚かせながら、“お告げ”のようなヴィジョンに導かれ、知らず知らずのうちに弱者救済をしていく『弁護士イーライのふしぎな日常』。物語の鍵を握るのは“お告げ”。その中でも特にインパクトがあるのは、イギリス出身のシンガー・ソングライター、ジョージ・マイケルの登場シーン。イーライのオフィスや自宅リビングに度々現れ、「フェイス」や「フリーダム」などの有名なオリジナル・ソングを熱唱する姿を、何とジョージ・マイケル本人が演じているのだ。今回、本作のプロデューサーであるマーク・グッゲンハイムに、物語の構想やジョージ・マイケルとの撮影秘話について聞いてみた。

――主人公イーライが幻覚をみることで、自分の人生を意味あるものにするという設定が非常にユニークですが、そのアイデアはどこから?

マーク・グッゲンハイム(以下、マーク):色々なアイデアがあったのですが、私と一緒に製作に携わったグレックがアイデアとして色々なタイプのストーリーを提案し、“現代版の予言者”や“幻覚を見る人”というような2つの部分を1つにまとめていったというのが最初の段階です。アメリカのテレビで一般的な、主人公が弁護士か警察官か医者かといった設定のうちどれにするかを考え、今回は弁護士が良いのではないかと思い決めました。

――ジョージ・マイケルや彼の楽曲が本作で重要なカギを握っていますが、数多くいるアーティストの中で、なぜジョージ・マイケルをフィーチャーしたのでしょうか?

マーク:もともとジョージ・マイケルと言う名前は、脚本を書いた時点でとりあえず入れておくという感じだったのですが、ミュージシャンを選ぶ際には、“イーライが10代であったであろう1980年代に良く売れていて、今でも十分に名前が認知されているような人を”と考えていました。しかし、おそらくジョージ・マイケルは番組に出てくれないだろうと思ったので、誰か他にやってくれる人が見つかったら脚本を修正しようと思っていました。例えばビリー・ジョエルやエルトン・ジョン、デビット・ボウイなどの候補者がいたのですが、最終的にもしかしたらこのジョージ・マイケルこそが最適なのではないかという結論に至りました。

――ジョージ・マイケルさんを出演させたことによる、全米の反応は?

マーク:やはり驚きの反応というのが一番大きかったです。というのは、この番組に登場するまでは、ジョージ・マイケルは1980年代以降、公の場には登場していなかったので、まさかテレビに出てくるとは思わなかったようです。彼にとってはカムバック的な要素がありましたので、アメリカの方々も“まさか”といった感じで期待していなかったようです。

――このドラマの話をジョージにしたときの全米の反応や、撮影中のジョージ・マイケルの様子を教えてください。

マーク:まず初めに、私と共同制作者であるグレッグが、テキサス州のダラスにあるジョージ・マイケルさんの自宅を訪問しました。そこで初めて話を持ちかけたのですが、ジョージ・マイケルさんと話をする中で私たちが何に驚いたかというと、彼自身がとてもアメリカのテレビ番組が好きであるいうことなんです。私たち2人がこれまでに関わった番組を「大好きで良く見ていましたよ」とおっしゃってくれました。そういう意味で、彼自身非常にオープンな状態でいてくれました。最初に第一話で彼が登場するシーンがありまして、ダンスをしているようなシーンなのですが、そのシーンの撮影は実際にロンドンで行われているんです。このパイロット版の撮影はほとんどがロサンゼルスで行われているのですが、ジョージ・マイケルのダンスシーンだけは、ロンドンのグリーンスクリーンの前に立ってダンスの撮影をし、それを視覚効果の担当者が他のジョニー・リ・ーミラーなどが登場している場面と組み合わせるといった作業をしました。そして、それをパイロット版として作成し、その後何度か登場するシリーズの中で、撮影したものがあまり良くないだとか違う使い方をしたいという場合には、特殊効果担当者がそれに手を加えてもう一度そのシーンを使いました。彼自身の撮影というのは、ロンドンのグリーンスクリーンの前で行った撮影の一度きりなのです。

――ジョージ・マイケルさんは、撮影中楽しんでいましたか?

マーク:楽しんでいらっしゃったと思います。実際にそのエピソードの中で、ダンスシーン以外で登場して頂くシーンもあるので、その為の撮影にアメリカに来てほしいとお願いしたときも、すぐに賛同してくださって「すぐに行きます」と言う風におっしゃってくださいました。彼自身の性格も、非常に気さくで魅力のある方でしたので、彼と一緒に仕事をすることは私たちにとっても本当に楽しい時間でした。


――イーライのセラピストとしてシガニー・ウィーバーが出演していますが、彼女を起用した理由や出演の経緯を教えてください。

マーク:もともと脚本を書いたときには、彼女は神様の役を演じているわけですので、おそらくアメリカのムービースターがいいだろうと考えていました。なぜシガニーになったのかというのは、私自身詳細まで覚えていないのですが、ただ、彼女が最初に思い浮かんだ第一希望の俳優であったということは覚えています。彼女自身の、すごく静かな雰囲気を持っていながら存在感があり、知性を携えた佇まいというのが神様の役にぴったりだと思いました。

――ジョニー・リー・ミラーがイーライ役に見事にハマっていましたが、マークさんから見た、彼の魅力や素顔を教えてください。

マーク:まずジョニーがイーライを演じるのに最適なハマり役だとおっしゃってくださいましたが、私自身もその通りだと思っているんです。イーライのキャスティングを決定するのに6か月ほど時間を有しました。この6か月の間に世界中を探して歩きまして1,000人以上のオーディションを第一話の為だけに行いました。このジョニー・リー・ミラーというのは、我々のキャスティングを担当したディレクターからの提案だったんです。彼に会った瞬間に“彼がイーライだ”という風にすぐに感じました。というのも、彼自身非常に強い自信と人間らしさがうまくMIXされている人格をもっていました。人間らしさというのも、例えばあたたかさであったり人間としての魅力であったりするわけなのですが、ジョニーというのは、非常に面白い俳優でして、彼自身これまでにいろいろな役を演じてきています。悪役を演じたこともありますし、イーライのようなすごくチャーミングな役も演じ分けることができるということで、彼はこの役にとって理想的な人材ではないかと思いました。というのも、イーライ自身も自分自身がどんどん変わっていく道のりを演じなくてはならないので、その色々な異なる特性を演じることができる俳優という点が彼に決める決め手でした。

――主人公イーライのように、“悩める同年代”に一言アドバイスをお願いします。

マーク:いくつかありますが、ファーストシーズンの8番目のエピソードで、イーライがDr.チェンと話をするシーンがありまして、“そこで神様とは”や“信じる信念とは”と語る場面があるのですが、そこがこのドラマそのもののメッセージをたくさん含んでいるシーンだと思いまして、私自身もとても誇りに思っているシーンでもあります。また、やはりシガニー・ウィーバーが登場するようなシーンであるとか、最初のファーストシーズンの13番目のエピソードで、イーライが自己犠牲を図るというシーンなのですが、これはつまり彼自身が最初は動脈瘤を摘出するのですがその後でやはり自分自身が犠牲になるということを決断するシーンも非常に気に入っています。

――「弁護士イーライのふしぎな日常」では音楽の使い方が巧みですが、製作される際に音楽の要素は強く意識していましたか?

マーク:お褒めの言葉ありがとうございます。常に音楽的要素は入れたいと考えていたのですが、具体的にどういった音楽を使うかということや、どの楽曲を使うかということは、実際に脚本を書いてみるまでは全く決まっていませんでした。ただ、音楽の使い方として言葉の一部として音楽を使うというようなかたちを考えていました。話を組み立てていく中で、どのくらい音楽の要素を取り入れるのかを決めていきました。ファーストシーズンにおいては、ほぼ全てのエピソードにおいて音楽が取り入れられています。セカンドシーズンにおいては音楽の要素が若干減っているのですが、これはあくまで製作の予算の関係で減っているのです。

――日本人が見ても共感できる要素が多いドラマですが、日本のドラマファンに向けてメッセージをお願いします。

マーク:まずは、番組をご覧いただきまして誠にありがとうございます。日本の方も多く共感して頂けるということを耳にすると、私自身も非常に嬉しい気持ちになります。ご覧いただきましてありがとうございました。

『弁護士イーライのふしぎな日常』
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