受賞なるか、園子温監督の最新作『ヒミズ』がヴェネチア国際映画祭への正式出品が決定


 2012年春に公開される園子温監督の最新作『ヒミズ』が第68回ヴェネチア国際映画祭にてコンペティション部門に正式出品されることが決定した。

 本作は、2001年よりヤングマガジンに連載された若者の暗い部分を描いたベストセラーコミック『ヒミズ』を実写映画化したもの。日本漫画界の奇才・古谷実と日本映画界の鬼才・園子温がタッグを組み、誰も観たことがない全く新しい青春映画を誕生させる。

 メインキャストを務めるのは、演技力が高い評価を受け、数多くの映画・ドラマに出演する染谷将太、二階堂ふみの若手俳優。2人が演じるのは、“普通”な大人になることを願う15歳の住田祐一と愛する人と守り守られ生きることを夢みる15歳の茶沢景子。住田が起こしたある事件をきっかけに、2人の日常が一変する。絶望と狂気に満ちた壮絶な物語が今、幕を開ける。

 本作が出品されるヴェネチア映画祭は、世界三大映画祭のひとつに挙げられる世界的に権威のある映画祭。過去に、北野武監督が『HANA-BI』で最高賞の金獅子賞を受賞、『座頭市』で監督賞にあたる銀獅子賞を受賞している。また、宮崎駿監督が『ハウルの動く城』でコンペ部門に出品され、金のオゼッラ賞を受賞。さらに、2010年には三池崇史監督の『十三人の刺客』、村上春樹原作の映画『ノルウェイの森』がコンペ部門に出品され話題となった。

 今回、コンペに出品される日本映画は本作のみ。園子温監督は、『愛のむきだし』をベルリン国際映画祭、『冷たい熱帯魚』をヴェネチア国際映画祭、『恋の罪』をカンヌ国際映画祭に出品されており、その度に世界から高い評価を得ている。さらに、世界三大国際映画祭のコンペ部門への出品は、今回が初めての快挙ということもあり、最高賞である金獅子賞受賞に期待が高まっている。

 また、映画祭への出品の決定を受け、映画祭公式上映に参加し、レッドカーペットに立つ予定となっている監督と染谷、二階堂から喜びのコメントが届いた。

園子温監督
「今回、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選ばれて光栄に思います。撮影の前に、大震災、原発事故が起きて、それまで書いていたシナリオを書き変えなくては、ならなくなりました。どうしても、今、この現実を映画の中に取り入れて、撮っておかなくてはいけないと思いました。たった今、目の前で起きている本当の世界に即して、映画を撮るというのは、非常に生々しく、大変な事でありました。これは恐ろしい現実と向かい合う少年と少女の物語です。」

染谷将太
「ヴェネチアのコンペに呼んでいただき、大変名誉であり、大変嬉しい気持ちです。現場中は見えない魔物と戦っていて常に興奮していました。その興奮がこの喜びの興奮に繋がったことに感動しています。国を越えてまで1人でも沢山の方々に観ていただけたら幸せです。」

二階堂ふみ
「とても大変な撮影でしたが、茶沢としてこの作品に参加することができてとても幸せでした。監督、共演者、スタッフ皆さんの魂が詰まった作品です。」

 『行け!稲中卓球部』で見せるギャグを封印した古谷実の描く日本の若者の心の闇を、『冷たい熱帯魚』で観る者を震撼させた園子温がどのように表現するのか。また、世界がどのような評価をするのか気になる。
 
 ヴェネチア映画祭は、現地時間8月31日から9月10日まで開催される。

 映画『ヒミズ』は、2012年春よりシネクイント他順次ロードショー。

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