【編集部的映画批評】巨匠コンビによる大作の“極秘映像”を一足早く観てきたぞ!


 J.J.エイブラムスとスティーブン・スピルバーグが初タッグを組んだ映画『SUPER8/スーパーエイト』。作品内容についてこちらの記事でも紹介したが、まだまだ明らかになっていない部分が多い。そんな中、約20分のフッテージ映像を逸早く観ることができたので、今回はその感想について語るとしよう。

『SUPER8/スーパーエイト』

 映画の舞台は1979年のオハイオ州。スーパー8カメラで映画撮影をして遊んでいた6人の子供たちがトラックと貨物列車の衝突事故に遭遇する。脱線した貨車には「アメリカ空軍」の文字。 アメリカ政府は空軍施設・エリア51を閉鎖し、オハイオ州のある場所へ研究素材である“何か”を移送中だった。そして燃え上がる現場に残されたカメラには、事故の一部始終が撮影されていた…。アメリカ政府が極秘に輸送していた“何か”とは? そして、その秘密を目撃してしまった少年たちの運命は?

昔の映画って、“普通の少年”が主人公だったな

まず注目すべきところは「主人公が少年たち」ということ。普通の少年たちが、映画の撮影をしていたら、偶然すごいものを撮ってしまったという展開が、往年の映画を思い出す。最近の映画は、魔法が使えたり、不思議な国に出入りできたり、少年が“普通”じゃないことが多い。しかし、この映画の少年たちは、特殊能力がまったくない。昔の『グーニーズ』、『スタンド・バイ・ミー』、日本でいえば『ぼくらの七日間戦争』など、多少、特技はありつつも主人公たちは至って“普通”の人間であった。いつから少年は、普通じゃなくなったのだろうか。夢を見ることのできない現実への反動から、映画の中だけでも超人的な力を持つ姿を…ということなのだろうか。いずれにしてもこの映画の様に、ちょっと大人の真似をして悪さしてみたり、クシャミしたらウンチを漏らしちゃったりする子が中心の冒険やファンタジーSFの映画が少なくなってきた。だから、往年の映画ファンは、懐かしく思い、そして、新しい映画ファンは、ある意味新鮮な気持ちで観ることができるのではなかろうか。

列車事故がダイナミック過ぎるんですけど

フッテージ映像は、“事の起こり”の部分を中心に構成されていた。公式サイトの予告でも公開されている列車の脱線事故が、これでもか!と言わんばかりのダイナミックな映像になっている。炎上する列車、次々と玉突き事故のようにぶつかるコンテナ、飛散して空から降ってくる破片の雨あられ。周りは戦争の爆撃の跡の様に破壊されている。「偶然、その場にいたら、カメラに写っていました」って、こんな大惨事現場の近くにいたら、絶対、死んでいるって。そんなツッコミを入れたいぐらいダイナミック過ぎる。導入の部分からこんなに派手とは、さすが、巨匠タッグ。ちなみにこの列車事故の現場に、血だらけになった、少年たちの科学の先生が登場する。瀕死の状態のこの先生は、少年たちに銃を突き付けて「絶対に誰にもしゃべるな!」と口止めをする。まだ全貌が明らかにされていないので、何とも言えないが、吾輩は、この科学の先生は、宇宙人と何らかの関わりがあるのではないかと予想する。列車事故に巻き込まれて生きている驚異的な生命力と、何かを隠している口ぶりが、そう思わせる。

結局、宇宙人は善なのか?悪なのか?

エリア51から運ばれたコンテナから宇宙人らしきものが脱走する。その驚異的な力を見ると、危険で凶悪な宇宙人のように思われる。実際に、フッテージの映像でも、パトカーを破壊されたり、ガソリンスタンドの店員が襲われたりもするのだ。しかし、吾輩は、どうにもこの宇宙人が“完全なる悪”ではないのではないだろうかと予想している。なぜなら、最初に話していたが、少年たちがあまりに普通過ぎるからだ。どうにも彼等が、凶悪な宇宙人を倒せる気がしない。また、彼等が宇宙人に虐殺されていくのも、あまりにも酷過ぎる。さすがに『E.T.』までいかないまでも、何か友好的な展開があるのではないだろうか。ただ、列車事故の場所に怪しいキューブ状の物体が落ちているという場面が出てくる。実は凶悪な宇宙人を止める手段としてこの物体を使うという線もある。フッテージでも、宇宙人の姿は、水たまりに映っていたか映っていなかったかという程度なので、どんな性格なのかが定かではない。一体、どちらなのか、謎が深まる。

 さて、今回は、映画の全貌が見えないので、あくまでフッテージを観た段階での予想の批評である。全体的には、巨匠コンビによる大作という感じと何だか昔懐かしい雰囲気がある映画のような気がする。ただ、宇宙人らしき未知なる生物の全貌が明らかになっていないので、この生物によって、大きく映画の内容は左右されるであろう。この『SUPER8/スーパーエイト』は6月24日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショーとなるが、今後もムービーエンターでは、この『SUPER8/スーパーエイト』の情報を引き続き追って行こうと思うので、サイトをチェックして欲しい。

ヒーロー妄想のカンタの所見評価

謎が深まる度:★★★★★

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