【コラム】仙台で東日本大震災を経験して――携帯電話・スマートフォンを有効に活用するために(前編)



災害時はバッテリーが大きな問題

東日本大震災から1ヶ月半以上経ちました。私の住む仙台市の沿岸部や、宮城県沿岸部地域は未だに苦しい避難生活をされている方がたくさんいらっしゃいます。しかし、津波被害のなかった仙台市中心部は、震災直後足りなかった物資もようやく豊富になり、新幹線・仙台市営地下鉄も全線開通し、閉まっていたお店も少しずつ開き始めて、日常が徐々に戻り始めています。

今回は仙台市内で被災した筆者が感じた携帯電話・スマートフォンに関する出来事を書いておきたいと思います。災害への備えで、何か参考になりましたら幸いです。2011年3月11日、私は家で確定申告の作業をしていました。そして14時46分、M9.0の大地震が発生しました。最初の縦揺れはそれほどではなかったので、油断していたのですが、テレビからは緊急地震速報が流れ、次第に今まで体験したこともないような横揺れがやって来ました。ポットの近くに置いていた調味料類が宙を飛んでました。タンスの上に置いていた古いパソコンプリンターも飛びました。私はとにかく一番大きい家具である本棚が倒れないように必死に押さえていました。数分にわたる地震が終わると、すぐに停電になりました。

すぐに東京、静岡、大阪に住む家族に無事を伝えたかったのですが、地震直後は携帯電話(ドコモ)は当然のように通話もパケット通信も繋がりません(一応、留守電は入ったのですが、かけ直すことはできませんでした)。「災害に強い」と言われていたウィルコムなら繋がるかもしれないと思いましたが、こちらも通話・パケット通信共に通じませんでした。

しかし、最初の地震から1時間ほど経った後、ドコモのXperiaを使ってみたところ、通話はダメでしたが、パケット通信は復旧していました。まずはすぐにTwitterで自分の無事を伝えました。すると私宛のmentionが殺到しました。中には阪神大震災を経験した大阪のライターさんから「水が出るならまずはお風呂に水を溜めて、電気のブレーカーは切るように」というありがたいアドバイスもいただけました。震災直後は水が出たので、落ち着いてお風呂に水を溜めて、ブレーカーを切るという災害時の基本とも言える行動を取れました。そして、家族にもメールを送ることができました。

私の町内は海から遠い高台ということで、津波被害はありませんでした。結局その日はある程度家を片付けた後、コンビニで1時間並んで買い出しをして、無料になった公衆電話で親に無事を伝え、近くの中学校の体育館に避難しました。

私の町内は3日後の14日まで停電が続いたので、避難所生活は結果的に3日間に及びました。すると、問題になってくるのはやはり携帯電話のバッテリーでした。Xperiaに関しては結局11日いっぱいまでしか持ちませんでした。その後はもう一つ持っていたフィーチャーフォンのF-03BにFOMAカードを入れ替えて使っていました。F-03Bも徐々にバッテリーが持たなくなっていったので、乾電池式の携帯充電器を使って充電をしていました。乾電池式充電器もすぐに電池切れとなったので、近くのスーパーで4時間並んで乾電池を購入しました。

14日にようやく停電が解消され、Xperiaも再び使うことが出来るようになりました。地下鉄も一部区間で動いたので街中に出ることが出来ました。街中では各携帯のキャリアショップで電気が通じている店舗では、充電サービスを行っていました。中にはトップの写真のように蒲鉾店でも充電サービスを行っている店がありました。

そして様々な方と連絡を取ることができ、結果的に15日に親の住む東京へと一時的に避難をすることが出来ました。15日は朝5時に家を出て、山形、鶴岡まで高速バスで移動し、鶴岡から鉄道で新潟まで出て、新潟から上越新幹線で東京に出ることが出来ました。なお、15日はバス中で携帯電話のパケット通信を使おうとしたところ仙台市内でも西の方はまだ停電だったため、普段はドコモの携帯電話が通じる場所でも全く携帯電話が使えませんでした。

というのが、今回の震災での携帯電話事情の一部始終です。今回はドコモのパケット通信がかなり早くから使えたので、Twitterとメールで家族や知人と連絡を取り合うことが出来ました。今回はこのおかげで救われたな、と思っています。

一方、ウィルコム回線も持っていたのですが、停電が直った後も通話・パケット共に復旧出来ていませんでした。今回の震災では関東等では使えたようですので、災害に強いと言われているウィルコムですが、災害の真っ只中の場所で広域停電が起きている場所では、結局使えないですし、復旧も遅いように思えました。ウィルコムを使っている知人も同じ感想でした

あとは、つくづく実感したのはバッテリーの大切さです。結局スマートフォンは震災1日目しか持ちませんでした。どうしてもスマートフォンはバッテリー消費が多くなる上に、乾電池を使った携帯充電器があまり売っていなかったため、長期の停電の中使っていくのは難しい印象でした。

後編では、この震災を受けて携帯電話的にどんな備えをしたら良いだろう?という私なりの考えを書いていきたいと思います。

記事執筆:小林健志


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