【編集部的映画批評】“最低”で始まった今日を、“最高”の笑顔で終えるヒント

2011/04/15 12:00

　「恋愛を、男性は別名保存、女性は上書き保存」といった言葉を耳にしますが、もし別れた相手にお金を貸したままになっていて、今の自分が生活に困る状況に陥ったとしたら、あなたはどうしますか？　4月16日よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショーとなる映画『素晴らしい一日』では、主人公の女性が別れた彼氏に借金を取り立てに会いに行く所から、物語が始まります。

『素晴らしい一日』

　平安寿子（たいら・あすこ）の短編小説を『アドリブ・ナイト』（2008年日本公開）のイ・ユンギが映画化。ちょっぴり険悪な女性と、能天気な元恋人。ふたりのお金の返済を巡る1日をファンタジックに描き出す。ベルリン映画祭をはじめ、世界各国の映画祭で絶賛を浴びた作品。主演は『シークレット・サンシャイン』でアジア人初のカンヌ映画祭最優秀主演女優賞を受賞したチョン・ドヨン。

別れた恋人に貸したお金、あなたならどうする？

　主な登場人物は、恋人なし、仕事なし、貯金も底をついた30代女性ヒスと、彼女が1年前に別れた楽天家で甲斐性なしの元彼氏ビョンウンの2人。ヒスは、貸したままになっている350万ウォン（約28万円）を返してもらうため、競馬場にいるビョンウンに会いに行きます。しかし、返すお金の無いビョンウンは、新たな借金をしに回り、ヒスと一日行動を供にします…。

　別れた恋人と再び友達関係に戻れる人もいれば、もう2度と会いたくないと思う人もいます。350万ウォンという金額をどう捉えるかは人それぞれですが、見栄やプライドと貸した金額を天秤に掛けつつも、失業中のヒスにとって、背に腹は変えられません。

『チェイサー』の連続猟奇殺人犯が一転、甲斐性ナシの男に変身

　終始不機嫌ながらも時折素の表情を見せるヒスを演じるのは、2007年に公開された『シークレット・サンシャイン』で最愛の夫と息子を失い、救いを求める母親を熱演し、見事カンヌ国際映画祭最優秀女優賞に選ばれたチョン・ドヨン（38）。その彼女と対照的に、甲斐性は無いがどこか憎めないビョンウンを、『チェイサー』（2009年日本公開）で連続猟奇殺人犯を演じたハ・ジョンウ（33）が陽気に演じます。

　ちなみに、ハ・ジョンウは2009年に公開された日韓合作映画『ノーボーイズ・ノークライ』で妻夫木聡と共演。こちらも『チェイサー』とは対照的に、ひょうひょうとしながらも深い孤独を抱えた男ヒョングを演じ、劇中でPUFFYの「アジアの純真」を妻夫木聡と熱唱するシーンは印象的です。

最低な今日が、最高の笑顔で終わる

　性格の対照的なヒスとビョンウンが、なぜ付き合うことになったのか気になりますが、付き合う前はカッコ良く見えたのに、実際に付き合ってみたら、それまで知らなかった本当の姿を知って幻滅…なんていうのは、よくある話。「きちんと返す」と言われても、もはや全く信用できないビョンウンの借金行脚に同行することを決めたヒスは、付き合っていた当時知らなかったビョンウンの複数の女性関係を知るハメになり、更に不機嫌な表情に。

　しかし、人には長所もあれば短所もあり、一度は好きになった何らかの理由があるハズ。自分以外の人達と接するビョンウンを見て行く内に、これまでずっと一緒にいても気付かなかった姿が、わずか1日という短い時間の中で見えてきます。最低で始まった今日を、最高の笑顔で終えられるかどうかは、あなた次第。今日も、明日も、明後日も…。

映画は芸術ハラの所見評価

メッセージ性：★★★

【編集部的映画批評】“最低”で始まった今日を、“最高”の笑顔で終えるヒント

共有する

関連記事

【ケータイラボ】大人の女性に向けたケータイ「ベネトンコラボレーションモデル」

【ケータイラボ】女性向けのエレガントなケータイ「707SC スワロフスキー・クリスタルバージョン」

【気になるトレンド用語】バレンタインデー、今やチョコは女性のため？

【気になるトレンド用語】癒されたい女性が憧れる「枯れ専」とは

【気になるトレンド用語】女性だって恋愛シミュレーションしたい！「乙女ゲー」の世界