機械式時計のエントリー機にオススメ、「ハミルトン」を語る【執筆:広田雅将】


ケータイが当たり前になった今、あえて時計を持つ理由はなさそうだ。高価な機械式時計であれば、なおさらだろう。でも時計には、まだそれなりの意味はある。例えば打ち合わせの際。相手と話している最中に、時間を確認するためケータイを開くわけにはいかないだろう。しかし、相手と自分が腕時計を着けていれば、相手の腕時計を見ることで、スマートに時間を確認できる。

機械式時計にも、やはりそれなりの意味はある。時計としての性能は、正直クォーツや電波時計には及ばない。しかしガジェットとして、機械式の腕時計はやはり楽しいのだ。確かにデジタルガジェットも面白い。しかしゼンマイで動く機械式時計は、ゼンマイを巻く、時間を合わせるという感覚を味わえる点で、何物にも代え難く、しかも、いつも身に付けていられるのである。

でも時計を、または機械式時計を選ぶにしても、何を選べば良いかは難しい。値段も機能もピンキリだし、デザインの好みも様々だろう。ただそんな中でも、文句なしで勧められる時計はある。そのひとつがハミルトンだ。デザインのバリエーションは豊富だし、機械の信頼性も高い。加えて、同じ機能や仕上げを持つ時計に比べて、価格がリーズナブルなのである。

1892年、アメリカのペンシルバニアに創業されたハミルトンは、優れた鉄道時計や軍用時計で名声を得てきたメーカーである。とりわけアメリカ軍とのつきあいは長く、2大大戦中、100万個以上の時計を納めていた。そんなメーカーの時計が、そもそも信頼性に欠けるはずはないだろう。加えて現在のハミルトンは、スイス最大の時計メーカーグループ、スウォッチの傘下にある。大グループに所属したおかげで、ハミルトンは、優れた部品を安価に使えるのである。単純な比較は難しいにせよ、同じ機能と仕上げを持つ時計が、ざっと半額から3分の1の値段になると言えば、いかにそのメリットが大きいかは分かるだろう。安価だからと言って、悪いとは限らないという好例が、今のハミルトンなのである。

正直言うと、時計には、ある程度のお金を払った方がいいとは思う。というのも、使っていると自然と目が肥えてくるからだ。つまり、多少背伸びして作りの良い物を買ったほうが、結局得である。しかしハミルトンの時計は、品質の割に驚くほどリーズナブルだ。したがって法外な金額を払わずとも、良い物が買えてしまう。しかも信頼性は折り紙付きだし、デザインのバリエーションも多い。まだ知らない方がいるなら、ハミルトンの時計こそ、実際手にとって、チェックするだけの価値があるだろう。

パンユーロ Pan Europ

1971年に発表された自動巻きクロノグラフの「パンユーロ」。その復刻モデルが本作である。直径45mmの大ぶりな時計だが、かえってそのサイズが、文字盤やケースの優れた質感を強調している。この時計は搭載する機械も良い。ベースはスウォッチ グループ傘下のETA社が作る、7753という自動巻きクロノグラフ。しかしグループ傘下のメリットを生かして、ハミルトンは特別仕様のETA H31を使っている。そのパワーリザーブ(ゼンマイの駆動時間)は最大60時間と、普通の7753の約1.5倍も長い。他社から見れば羨ましいほどの機械だが、現時点ではハミルトン以外には供給される予定はない。しかも、これだけの時計が、17万円弱で買えてしまうのが、ハミルトンの大きな魅力なのである。自動巻き。ステンレスケース(直径45mm)。
・(予価)17万3250円 世界限定1971本 2011年10月発売予定


ジャズマスターシノマティック Jazzmaster Thin-O-Matic

1960年代の人気シリーズ「シノマティック」。そのエッセンスを生かした復刻モデルが、「ジャズマスター シノマティック」だ。この時計、ほかのハミルトンに同じく、価格以上のクオリティーを持っている。その一例が、先端を曲げた針だ。時計を薄く見せるため、シノマティックの文字盤はドーム状である。対して針がフラットだと、時間は読みづらくなってしまう。そこでシノマティックは針の先を曲げて、時間を読みやすくしている。アンティーク時計に見られるディテールだが、コストがかかるため、今となってはよほどの高級時計でも採用例は少ない。アンダー10万でここまで手をかけた時計は、まず希だろう。自動巻き。ステンレスケース(直径38mm)。
・9万300円(ステンレスブレス付き)9万9750円(YGPVDフレックスブレス付き)9万4500円(カーフストラップ付き)2011年3月発売
  

  



カーキ スカイマスターUTC Khaki SkyMaster UTC

様々な都市の時間を表示できる、GMT機能付きのモデル。文字盤外周のリングには世界24ヵ所の国際空港コードを表示できる。一見レトロなデザインだが、防水性能は30気圧(≒300m)もある。またムーブメント(時計のエンジン)を軟鉄でくるむことで、耐磁性能も優秀だ。現在ではほとんど使われていないこの耐磁加工は、1930〜40年代のナビゲーションウオッチに施されていたものと同じだ。言って差し支えなければ、現代の万能時計のひとつ。にもかかわらず税込で12万円強と、驚くほどリーズナブルだ。自動巻き。ステンレスケース(直径42mm)。
・(予価)12万750円(カーフストラップ)2011年10月発売予定
  



カーキ フィールド オート Khaki Field Auto


ハミルトンの軍用時計、通称「カーキ」。その中でも、特にビジネスパーソンに向くのが曜日表示付きの「フィールドオート」だ。前身が軍用時計なだけあって、時間や曜日表示は非常に見やすい。またブレスレット付きのため、使うシチュエーションも選ばないのも嬉しいポイントだ。ちなみに機械式時計は実用的でないという話も聞くが、それは大きな間違いである。機械式時計はクォーツより時間が狂いやすいが、反面クォーツに比べてはるかに強い駆動力を持つ。そのためクォーツよりも太い針や、大きな曜日表示を動かすことができる。結果、視認性に優れる、というわけだ。今なお、あえて機械式時計を軍用時計に採用する国があるのも、明確な理由があってこそ、なのである。自動巻き。ステンレスケース(直径44mm)。
・8万7150円 発売中

■関連リンク
ハミルトン - 公式サイト

■問い合わせ
ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
電話:03-6254-7371

※価格、仕様につきましては、2011年3月10日現在のものであり、変更する可能性がございます。予めご了承ください。

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