ライブドアに魔法はあったのか?ブログメディア【対談 TechWave湯川×Market Hack広瀬】Part-2
ライブドアのブログメディア「TechWave」と「Market Hack」の名物編集長二人の、2011年1月某日、Skypeを使ったネット対談が実現した。
インターネット黎明期から活動を続けいる二人が、ブログメディアに参加した経緯からソーシャル時代を迎えたネットの今を、歯に衣を着せず語り合った。
■魔法があるのか?ライブドアのブログメディアを始めたきっかけ
湯川:我々、ライブドアの支援を受けてやっているじゃないですか。そこで月に一回こういうミーティングをしてですね。それなりにネジ巻かれるじゃないですか。
広瀬:はっはー(笑)巻かれる巻かれる。
湯川:巻かれるでしょ(笑)、そうしたら楽しくなくなるじゃないですか。そんなことないですか?
広瀬:楽しくなくなるわけですよ。言わせてもらえれば、田端さんからブログメディアやりませんか?と、メールがきて「やらない。」、やりませんか?「やらない。」と、何回か断ったけど、それでも田端さんが「絶対黒字化できます」と自信たっぷりに言うわけですよ。
それで、「ええっ、黒字化できるの?こんなアドセンスぐらいで。」と。ひょっとして自分はなんか気づいてないことがあって、世の中は自分より早いスピードでブログメディアの世界にいっちゃっていて、自分が食わず嫌いというか無精で断ったらチャンスを見逃しちゃうんじゃないかなと不安になったんですよ。
湯川:僕もそう思いました。同じです。
広瀬:それで実際に一緒にやってみるとなんか魔法があんのかなと思ってね
湯川:どうでした?
広瀬:いくとですね。全然魔法なんかないんですよ
湯川:あっはははー(笑)やっぱりそうですか。
広瀬:わかったことはそんなもの全然ない。そっから先は野麦峠っていうか、八甲田山死の行軍というか、そういう世界。
毎月担当者からスプレッドシートが送られてきて達成率30%とかシビアなことが書かれているわけです。
湯川:あっはははー(笑)
広瀬:僕としては「このヤロー」と思うですよね。
湯川:あっはははー(笑)
■ブログメディアの目的は、ビジネスか?ブランドか?
広瀬:僕の性格は負けず嫌いで、まぁ、負けず嫌いじゃないと投資銀行なんて勤まらないですけど。
だから、ライブドアの担当者さんからスプレッドシートを送られてきて、「数字こうなっています。全然だめです」って言われるとこのヤローっていうふうに思っちゃうんですよ。それでムキになる、本気がでる。それでどうやってやればいいのっていう風にね。
TechWaveは検索流入が10万語あります。Market Hackは検索流入が2万語しかありません。
キーワードの使い方が間違っていますとか、読者の回遊率が低いですねとか、過去記事へのリンクがないじゃないですかとか・・・。
そういうことを一つ一つ抑えながら、言われたことをよしわかった、ハイハイと二つ返事でやって、PVが上がんなかったら、「どうしてくれるんだ。あんたプロじゃないか」と。
業務委託費でしたっけ、コストかかってると。
湯川:はい、業務委託費ですね。
広瀬:黒字なる黒字にならないというのは我々の責任もあるんですけど、ライブドア側の見積もりがでたらめだったからだめだったんでしょ。
これは我々だけが悪いんじゃなくて、やっぱり二人三脚で改善していかなくちゃいけないんだと思うんですよね。
それともう一つ感じたことは、湯川さんがいうように数字の話が出てくると楽しくなくなるわけですよ。僕も楽しくなくなりました。はっきりいってね
そのとき再び活性化させないといけないと思うんですよ。
なぜかというと、究極的に我々が行わなければならないことは個人ブランドを作ることであり、インフルエンサーとしてのブログメディアのポジションをがっちり固めることであり、自分の世界をつくることであるわけですよね。
それができていればアドセンスで喰わずに、シリコンバレーツアーで喰えばいいんだし、セミナーとかで喰えばいいんだし、料理の仕方なんていくらでもあると思うですよ。
Facebookがなかなか上場しないって言われますけど、上場したがらなかったひとつの理由は上場しちゃうと上場会社として四半期決算の数字をちゃんと出すという責任ができてきてしまうからで、経営の裁量を自由にできなくなってしまうわけですよ。
それと同じで毎月の数字は出していかなくちゃいけないんですけど、そればっかりを心配し始めると大事な部分がおろそかになってしまう危険性があるんですよ。
■目先の利益よりブランドをあげることが恩返しだ
湯川:僕も最初はネジ巻かれてページビューなんかの数字が気になりました。
僕はオカッパ本田と二人でライブドアとのミーティングに出ているんですけど、担当者さんから毎回ネジ巻かれるわけですよ。「Market Hackが黒字になった」とか、「週末も記事書いてくださいね」とか。
週末は休みたいなぁっとか思うんですよ。そうすると「先に予定稿書いておけばいいじゃないですか」とかいろいろ言われる。ブログ書くのがほんとに仕事っぽくなって、面白くなくなってきたというところもあります。
オカッパ本田も一緒にネジ巻かれるんだけど「分かりました。そうします」と言うだけで、アイツはまったく記事を書こうとしない。「お前よく平気だな」と言ったら、「いやあ、ライブドアの彼らってネジ巻くのが仕事みたいなもんなんで、そんなの適当に聞き流したらいいんですよ。ハハハ」って。すごい奴だなこいつと思って・・・(笑)。
僕なんかネジ巻かれたら結構気になって、PVあげるために、ほんとクソみたいな原稿いっぱい書いたんですよ。そしたら炎上しちゃって(笑)。それを見たんで、ライブドアの担当者を含め全員で「クソみたいな原稿書いてたら長期的にはよくないね」という考えを共有できた。炎上のおかげだと思っています(笑)。今だに一応、数字のことをちょっとは言われるんだけど、前みたいにネジ巻かれることがなくなった。なので最近PVなんてまったく見ないですね。
だってアドセンスで10万円、20万円広告料が増えたって、そんなのライブドアの規模の会社にとってほとんど意味のない金額ですよね。その程度の収益を上げるよりも、毎月のミーティング止めて人件費を浮かせたほうがよほどいい。
だからライブドアにとっては、我々が活躍することでライブドアのブランド力をアップさせるほうがいいんじゃないか、って前々から主張してたんです。ようやくライブドアの担当者もそういう考えになったようです。
今は、イベントとかTechWaveのブランドを上げることを考えていますし。スポンサーとしてライブドアを入れたいし、Powered by ライブドアを入れていきたいと考えています。広告収入を上げるより、そういうことでライブドアに貢献することのほうが効果的だと思っています。
PVを全く気にしなくなってから、またブログが楽しくなってきました。それでいいのではないかなぁっと。
2/24公開予定 Part-3へ続く
【対談 TechWave湯川×Market Hack広瀬】
・ソーシャルメディア時代の新たなビジネスモデルとは
・ブログメディアの潮流は個人ブランドの確立
・TechWave
・Market Hack