【日本アカデミー賞特集】監督は冷静で出演者は興奮?賞の発表前の気持ちの違いをチェック
各賞の発表の前に、優秀作品賞に選ばれた5作品の出演者やスタッフが登壇。発表前の気持ちをインタビューすると次の様な答えが返ってきた。
『悪人』チーム
過去最多である13部門15個の受賞をしたことに対し、主演の妻夫木聡は「びっくりしました。スタッフ達もたくさん受賞していて嬉しい。」と興奮気味に答えた。スタッフへの感謝を感じながら演じていたようである。一方、主人公・清水祐一の祖母役を演じた樹木希林は「本来ならば、この歳なら、あげる立場なのにごめんなさい。」と落ち着いた様子。さすがの貫禄である。
『おとうと』チーム
笑福亭鶴瓶のトークが炸裂。吉永小百合が「鶴瓶さんが15キロも痩せたから心配でした。」と今回の映画の役作りでダイエットしたことについて気づかうと「吉永さんと(次回作で)夫婦役をすることがあったら15キロでも20キロでも痩せますよ。」と話して、会場の笑いを誘った。「去年は最優秀俳優賞をもらうような顔していたが外れたので、今年はそんな顔しない。」と落ち着いているような発言をしていたが、やはり嬉しさを隠せずトークに切れ目がなかった。
『告白』チーム
アカデミー賞外国語映画賞ノミネートの最終選考まで残ったことやリメイクオファーが来ていたことで手応えがあるのではと質問されると、中島哲也監督は「落ちちゃったし、リメイクの話も無くなったし、手応えは無いです」と意外と冷静な答えを返していた。なお死体も演じた主人公の娘役の芦田愛菜はマイクを向けられると緊張のためか笑い出してしまった。なお『告白』がR-15指定のため完成品は観ていないようだ。
『孤高のメス』チーム
オペ(手術)シーンをリアルにするために、撮影2ヶ月前から本物のオペを見学したらしい。成島出監督は「オペシーンはチームワークです。(主役の)堤だけでは駄目。全員がまとまっていないと駄目。オペの現場を見学した時はチームワークに感動しました。それをみんなが演じてくれたのが良かった。」とオペシーンへのこだわりを見せる。脚本を担当した加藤正人は「医療専門用語や解剖図を学んだので大変でした。」と2年掛かりで執筆した脚本の苦労を語った。
『十三人の刺客』チーム
主演の役所広司は、共演者について「(悪役を演じた)稲垣吾郎は本当に憎らしかった。あれは地ですね」と話し笑いを誘った。また役所の話によると松方弘樹は殺陣が非常に速く年齢を感じさせなかったそうだ。この映画はクライマックスでは50分も戦うシーンがあるというハードな作品だが、監督の三池崇史は「監督は言うだけで楽。「明日はこの続きね」と軽く言ってお酒を飲みに行っていました。」と冗談で会場を沸かせた。
発表前の様子としては、監督は冷静な素振りで、出演者はやや嬉しさを隠しきれない様子が多かったように思われる。結果としてこちらの受賞一覧でも書いたように『告白』が最優秀作品賞を受賞した。受賞が決まり登壇した際に中島監督は感動の涙で言葉が震えていた。発表前は冷静に「手応えが無い」と言っていたが、その時とは打って変わって出演者以上に感情が溢れ出ていた。映画監督は心の内に嬉しさを溜めて、一気に爆発させるタイプが多いのだろうか。何れにしても日本映画の最高の栄誉に輝いたことを祝福したい。
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