【日本アカデミー賞特集】監督は冷静で出演者は興奮?賞の発表前の気持ちの違いをチェック


 日本アカデミー賞協会会長である高井英幸氏の開会メッセージで始まった「第34回日本アカデミー賞」。今回の司会は関根勤と松たか子が務めた。松は「派手な舞台は苦手ですが、今日はたくさんのおめでとうを言えるのが嬉しい。」とコメント。少し緊張気味の松に対して、関根は「松本幸四郎さんの目が気になります。」と冗談と言って和ませる一面を見せた。

 各賞の発表の前に、優秀作品賞に選ばれた5作品の出演者やスタッフが登壇。発表前の気持ちをインタビューすると次の様な答えが返ってきた。

『悪人』チーム
過去最多である13部門15個の受賞をしたことに対し、主演の妻夫木聡は「びっくりしました。スタッフ達もたくさん受賞していて嬉しい。」と興奮気味に答えた。スタッフへの感謝を感じながら演じていたようである。一方、主人公・清水祐一の祖母役を演じた樹木希林は「本来ならば、この歳なら、あげる立場なのにごめんなさい。」と落ち着いた様子。さすがの貫禄である。

『おとうと』チーム
笑福亭鶴瓶のトークが炸裂。吉永小百合が「鶴瓶さんが15キロも痩せたから心配でした。」と今回の映画の役作りでダイエットしたことについて気づかうと「吉永さんと(次回作で)夫婦役をすることがあったら15キロでも20キロでも痩せますよ。」と話して、会場の笑いを誘った。「去年は最優秀俳優賞をもらうような顔していたが外れたので、今年はそんな顔しない。」と落ち着いているような発言をしていたが、やはり嬉しさを隠せずトークに切れ目がなかった。

『告白』チーム
アカデミー賞外国語映画賞ノミネートの最終選考まで残ったことやリメイクオファーが来ていたことで手応えがあるのではと質問されると、中島哲也監督は「落ちちゃったし、リメイクの話も無くなったし、手応えは無いです」と意外と冷静な答えを返していた。なお死体も演じた主人公の娘役の芦田愛菜はマイクを向けられると緊張のためか笑い出してしまった。なお『告白』がR-15指定のため完成品は観ていないようだ。

『孤高のメス』チーム
オペ(手術)シーンをリアルにするために、撮影2ヶ月前から本物のオペを見学したらしい。成島出監督は「オペシーンはチームワークです。(主役の)堤だけでは駄目。全員がまとまっていないと駄目。オペの現場を見学した時はチームワークに感動しました。それをみんなが演じてくれたのが良かった。」とオペシーンへのこだわりを見せる。脚本を担当した加藤正人は「医療専門用語や解剖図を学んだので大変でした。」と2年掛かりで執筆した脚本の苦労を語った。

『十三人の刺客』チーム
主演の役所広司は、共演者について「(悪役を演じた)稲垣吾郎は本当に憎らしかった。あれは地ですね」と話し笑いを誘った。また役所の話によると松方弘樹は殺陣が非常に速く年齢を感じさせなかったそうだ。この映画はクライマックスでは50分も戦うシーンがあるというハードな作品だが、監督の三池崇史は「監督は言うだけで楽。「明日はこの続きね」と軽く言ってお酒を飲みに行っていました。」と冗談で会場を沸かせた。

 発表前の様子としては、監督は冷静な素振りで、出演者はやや嬉しさを隠しきれない様子が多かったように思われる。結果としてこちらの受賞一覧でも書いたように『告白』が最優秀作品賞を受賞した。受賞が決まり登壇した際に中島監督は感動の涙で言葉が震えていた。発表前は冷静に「手応えが無い」と言っていたが、その時とは打って変わって出演者以上に感情が溢れ出ていた。映画監督は心の内に嬉しさを溜めて、一気に爆発させるタイプが多いのだろうか。何れにしても日本映画の最高の栄誉に輝いたことを祝福したい。

■関連記事
【日本アカデミー賞特集】最優秀作品賞は『告白』に決定
【日本アカデミー賞特集】受賞者・受賞作品のまとめ
【日本アカデミー賞特集】殺陣のシーンは斬られ役が支える、“協会特別賞”が熱い
【日本アカデミー賞特集】名言・珍言総まとめ 吉永小百合が夫婦役を却下された?

日本アカデミー賞公式サイト

共有する

関連記事

【世界のモバイル】モバイルブロードバンド天国へ!海外で進む高速サービスにみる日本との格差

日本の携帯電話は世界でも最も進んだサービスを提供しているといわれている。ところが海外に目を向けてみれば、日本にはない便利なサービスが多く存在している。特に2006年から各国で開始されている「モバイルブロードバンド」は日本に…

【世界のモバイル】SIMロック販売の真実 - こんなに違う海外と日本の実情

最近、日本ではSIMロックやインセンティブ販売についての議論を多く見られるようになった。総務省が「モバイルビジネス研究会」でSIMロック制限について検討をはじめるなど、携帯電話の販売方法についてユーザーに選択肢を与えようとい…

【気になるPC】君はいくつ知っているか?なつかしの名機に出会える「日本電気レトロ博物館」

今日では、パソコンは日常生活の一部となり、主婦や子供にも使われるほど身近な道具となっている。そんなパソコンも黎明期は、マニアやマイコン少年のあこがれのアイテムであった。そんなパソコン(マイコン)黎明期から活躍した名機に…

【世界のモバイル】″ブランド力″で海外に勝てない日本端末

携帯電話シェア世界第3位。堂々たる大メーカーにまで上り詰めたSamsung。日本でもソフトバンク向けに特徴ある端末を多数リリースしており、存在感あるメーカーになりつつある。先日開催された国際情報通信技術関連見本市「CeBIT 2007」…

【世界のモバイル】海外の市場の強さは″中古ケータイ市場″! 日本は、もう追いつけないのか?

海外と日本の間には、決定的に大きな違い「中古端末市場」がある。海外では携帯電話の中古売買は、あたりまえのものであり、特にアジア圏では街中至るところで"中古携帯"の販売を見ることができる。日本からみれば使い古し端末の売買と…