インタビュー:小林可夢偉「F1は、夢のある仕事」
――小林さんは小さい頃、どんなお子さんでしたか?
小林可夢偉(以降、小林):9歳の時にカートを始めたんですけど、それまではどっちかと言ったら静かではなかったです。――カートを始めた時点で、もうプロのドライバーを目指されていたんですか?
小林:いや、目指してないです(笑)。車に乗りたかったんですけど、乗れないので。たまたま9歳の時にテレビ番組でレーシングカートに乗れるのを観て、レンタルカートを乗りに行ったのが切っ掛けですね。――カート始めてから、レースの仕事で食べていこうと。
小林:そうですね。正直、最初は「食べていこう」と思ってなかったし。17歳の時にヨーロッパに行った時ぐらいから、「なんとなくそうなるかも?」とは思ってたけど。元々運転するのが好きなので、別にそれを職業にしようと思って始めた訳じゃなかったので。――物心がついたり、自我が芽生えたと感じるような年頃って、いつですか?
小林:それも17歳の時じゃないですかね。それまではほとんど「レースが出来て楽しい」ぐらいで終わってたんですけど、ヨーロッパに行った時に一人で生活しだして、「どうなりたい」って大体は考えてきたんですけど、レースをするのはそんな簡単じゃないので、自分がどれだけ頑張るかによって、この先が変わるんだろうなとは思ってました。――F1のお仕事以外に、時間があったらしたいことは?
小林:時間があったら寝たいですね。本当に、それぐらい忙しいの。もうこの仕事をやってたら、これ以外はほとんど難しいですよ。やろうと思ったらね、もうどっちかを若干犠牲にしないと多分できない。――F1でデビューされる前とか、もう少しゆとりがある時期に、レースの仕事から頭を切り離すためとか、癒しを感じるようなことは?
小林:スキューバダイビング。一人で行ってた時とかありますからね。それで、船の免許も取りに行ったんですけど、時間が無くて結局やめました。取りに行ってる最中ぐらいに、去年レース出ることになって、「無理だ」と思って諦めました(笑)。――レースで世界各国を周られている時も、レース以外に時間の余裕は無いですか?
小林:無いですね。もうミーティングとかトレーニングとかで全てが終わっちゃうので。逆に言えば、あっても、あんまり外に出歩けない(笑)。例えば、ブラジルとかは本当に危ないですからね。12〜13歳の子が銃で待ち構えてるんです。毎日色々な所で事件が起こるから、怖いですよ。出るなら絶対にボディーガード付きで、ちゃんと防弾ガラスの車に乗って行かないと、ヤバイです。- 1