話題騒然のiPad、日本での販売方法はどうなる?【世界のモバイル】


4月3日に発売開始されたAppleのiPad。初日の販売台数は30万台とのことで、出だしから人気は上々だ。今後複数の国での発売が予定されているが、初代iPhone同様「まずはアメリカから」という先行発売の話題性の効果もあって、世界中の注目がiPadに向けられている。これまでもタブレットタイプのPCは複数の製品が登場したが、iPadほど大きな注目を集めた製品は無かっただろう。

iPadは内蔵メモリと通信モジュールの種類で複数のモデルがあるが、まず発売されたのは無線LAN内蔵モデル。続いて3G内蔵のモデルも発売される予定である。アメリカでの発売も無線LANのみのモデルということから、Appleストアで取り扱われ、iPhoneのような携帯電話事業者の店舗での販売は行われていない。また今後登場する3G内蔵モデルはSIMロックの無いモデルとなる予定だ。3G内蔵版が登場すれば、Appleストアでの取り扱いはもちろんのこと、各携帯電話事業者での販売も開始されるかもしれない。その場合はSIMロックが無いため、iPhoneのような端末特有の大幅な割引販売は行われず、定価での販売になると見られている。

ただし、国によっては、独自の割引販売が提供される可能性もあるだろう。たとえばアジア各国ではSIMロックの無い端末を契約固定縛りのみで割引販売する例も多い。香港ではiPhoneを販売していない事業者が「iPhoneを持ち込めば基本料金を減額、24ヶ月契約を結べば端末相当分をすべてキャッシュバック」というプランを提供するところもある。SIMロックが無くとも事業者がリベートを出せば割引販売は可能であり、iPadとはいえ割引販売を行う事業者が出てくる可能性もある。
スマートフォン無料、を大々的にアピールする香港の通信事業者の広告

日本ではiPhone登場前に「どの通信事業者からiPhoneが発売されるか」という話題で盛り上がったが、iPadは今のところAppleが自社販売を行う予定のようだ。すなわち3G内蔵版であっても日本のAppleストアで単体販売される可能性が高い。もちろん無線LAN版のiPadはAppleストアですぐにでも販売が可能だろうから、日本での販売アナウンスを待てばすぐにでも入手できるだろう。

ではiPadは日本でどのように販売されるだろうか。

iPhoneを販売中のソフトバンクが何らかの販売キャンペーンを打ってくる可能性はありそうだ。たとえば既存のiPhoneユーザーには半額程度の基本料金の追加でiPadをパケット定額で利用できるプランを出す可能性もある。iPadはAppleストアで定価購入する必要があるが、基本料金を割引くことで実質的にiPadの購入金額が減額される形になる。SIMカードをiPad専用とすれば、割引契約したSIMカードを他の端末に利用されてしまう、ということも無いだろう。iPhoneとのセット契約はぜひとも実現して欲しいものだ。

一方、ドコモもiPadの販売に対して興味を示しており、こちらもiPad専用プランを提供すると考えられる。ただしドコモの主力サービスは、まだ携帯電話向けのiモードが中心だ。最近になってスマートフォンからiモードメールを利用できるサービスも出てきているが、やはり別途携帯電話を所有する必要が出てくるケースも多い。

そうであれば、海外でサービスされている「1契約で2枚のSIMカード」を利用可能なデュアルSIMカードサービスの提供を期待したい。すなわちドコモの携帯電話、iPadどちらからでも同じ電話番号を利用できるというものだ。このサービスがあれば、携帯電話とiPadを2台所有する利用者も、両者をシームレスに利用できるだろう。ドコモとしてもiPadだけの回線契約を取るだけではなく、既存の携帯電話サービスとの併用をアピールできるわけだ。

またドコモのMVNO、日本通信はすでにプリペイドタイプのSIMカード「b-mobileSIM」を販売しており、microSIMカードサイズの製品を出すだけでiPadへすぐに対応させることができる。

さて、ここで忘れてはならないのがイーモバイルだ。
量販店ではネットブックとUSBモデムと回線契約のセット販売が大々的に行われている。最近ではiPodと同社のWi-Fiルーター「Pocket Wifi」のセット販売も行われているようだ。iPadはまずは無線LAN内蔵タイプが先に出てくるだろうが、iPod同様にPocket Wifiとのセット割引販売が行われる可能性もあるだろう。

これらの販売方法は海外でも同様のものが各国の各事業者から提供されるだろう。日本でのiPadの販売方法は現時点ではまだ詳細が一切不明だが、たとえAppleからの直販のみであっても各社から割引プランや便利なサービスが登場するだろう。各社の対応に期待したいところだ。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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