見たくない? 老化と若返りをリアル体験できるiPhoneアプリ


- 老化と若返りを体験できる「HourFace」、実写版の福笑い「NullFace」【3D化する顔写真たち】-

App Storeでは、数え切れないほどのiPhoneアプリが提供されているが、発売以来トップ25をキープし続けている異色のアプリがある。自分の未来と過去の顔を見ることができる「HourFace」だ。

「HourFace」には、前回紹介した写真に命を吹き込むモーションポートレート社の「モーションポートレート技術」が利用されている。

「HourFace」は、再現される老化した顔のリアルさに驚かされるが、いったいどのようにして作られたのだろうか。

今回は、「HourFace」開発のベースにもなった顔を自由にデザインできる「NullFace」の話も伺いながら、「HourFace」開発者にお聞きした。

■見たい? 見たくない? 若返りと老化をバーチャル体験できる「HourFace」
「HourFace」は、自分の未来と過去の顔を見ることができるiPhoneアプリ。顔写真をサーバーに送るだけで、その人が徐々に年をとっていく様子をシミュレーションできる。顔写真はモーションポートレート技術で3D化されているため、ユーザーはリアルな3D表現を目の当たりにすることができる。

未来の顔だけでなく、iPhoneを逆さまに持つことによって若返りをシミュレーションすることもできる。自分や友達の顔を使ってお手軽にエイジング・アンチエイジング シミュレーションをバーチャル体験できるというわけだ。

若返りと老化の結果画像はメールで友達に送ることができるほか、「PhotoSpeak」があれば、しゃべらせることもできる。

開発は、プログラミングを近藤さん、デザインを深澤さんが担当した。

動画:自分の未来と過去の顔を見ることができる「HourFace」

■同僚の顔がみるみる老化 あまりのリアルさに絶句した
深澤さんは一昨年の夏に入社した当時から、モーションポートレートの技術で何か面白いことはできないかと考えていたそうだ。アイデアとしては、50〜60個あったが、その中で特に社会の関心が高そうなものだったのがエイジングだったという。

深澤さんが最初に社内プレゼンテーションしたのは、近藤さんの顔を使ってのエイジングだったそうで、題材にされた近藤さんによると、「あまりのリアルさに面白さを通り越して恐怖心が先に来て、絶句してしまいました。普通なら面白がるほうなんですか...。」と、苦笑しながら当時を振り返ってくれた。

業務で顔の変形や加工には慣れているはずの近藤さんをも驚かせたリアルさの秘密は、どこにあったのだろうか。

「実際に人がどのように老化していくのかを研究しました。最初は単にシワやシミを増やせば老化していくものだと考えたのですが、人は歳をとるとともに重力に負けてたるんでくるんですね。そこで、どこをたるませるとリアルに老化してみえるのかを追求していきました。」と、深澤さんは老化のアルゴリズムの研究について語ってくれた。

■二人の研究心と技術から生まれた「HourFace」の超リアリティ
「HourFace」は、モーションポートレートの技術と近藤さんが開発した人を変身させる顔合成技術を組み合わせたもの。しっかりしたベース技術があったので、開発時間は多くは掛からなかったそうだ。

近藤さんは、「HourFace」によって、
「モーションポートレートの技術と顔合成技術を組み合わせることで、こんなにリアルに老化が表現できるんだという点で、技術の可能性をすごく伸ばしてくれたというのもありますね。」と、改めて二つの技術の可能性を再認識したという。

また、近藤さんは、これまでにも老化の取り組みはあったそうだが、深澤さんのアルゴリズムほどの効果はでなかったという。まさに、二人の研究と技術により生まれた作品といえるだろう。
「HourFace」について語る、深澤さん

■「HourFace」の名前とアイコンには、深い意味がある?
まず名前だが、自分の未来と過去の顔を見られることから「砂時計」を意味する英語の「HourGlass」をもじって「HourFace」とネーミングされている。また、砂時計は隠し絵になっており、砂時計を中心として、左側が過去の顔、右側が未来の顔をイメージしたデザインとなっている。
「HourFace」のアイコン

■実際の顔で遊べる「福笑い」を作りたかった「NullFace」
続いて「HourFace」の一つ前の作品である「NullFace」について聞いてみた。
「NullFace」は、顔を自由にデザインできるアプリ。顔写真から自動認識した目、鼻、口などを個別に回転、拡大・縮小、移動させることで、ユニークな顔を作ることができる。福笑いやプチ整形のシミュレーションなど、ゲーム感覚でバーチャルな顔の加工と変化を楽しめる。

できあがった作品はメールで友達に送ることができるほか、「PhotoSpeak」と連携して言葉をしゃべらせることもできる。

開発は、プログラミングを近藤さん、デザインを児玉さんが担当した。


動画:福笑いで遊べる「NullFace」

■本当は「のっぺらぼう」を作りたかった?
「NullFace」は、昨年(2009年)11月にリリースされたが、その基礎技術は研究用として以前からパソコン上にはあったという。モーションポートレートでは、「NullFace」だけでなく、新技術開発のため、社内で新しい技術ネタに各人が取り組んでいるのだそうだ。

開発のキッカケについて近藤さんは、
「子どもが直感的に見て笑えるような、顔を面白おかしく遊べるアプリを作りたかった.
目や鼻を自由に配置してモーションポートレートの技術で3次元にして動かしたいと思い、福笑いの元になるプログラムを作りました。もともとは『のっぺらぼう』を作りたかったんです。」と、照れながら語ってくれた。

「のっぺらぼう」をイメージして開発された「NullFace」だが、いざ開発してみると、目鼻などのパーツがない肌の質感を表現することは、意外にも難しかったという。どこの肌の色を持ってくるか、不自然がなく立体感を出すにはどうすればよいかなど、作業はまさにカット&トライだった。

近藤さんは、前々から「のっぺらぼう」の研究を続けていたそうで、「NullFace」の「Null」には、顔のパーツがない「のっぺらぼう」への思いが込められている。

「NullFace」のリリースについて近藤さんは、「『福笑いを本物の顔でやってみよう』というコンセプトのアプリを会社の製品として出すこと自体がかなりの冒険でした。」という。
「のっぺらぼう」について語る、近藤さん

■インターフェイスにこだわり
インターフェイスまわりを担当した児玉さんは、「NullFace」の操作性で試行錯誤をしたという。
「NullFace」では、画面をタップすると顔のパーツが下に落ちるのだが、この感度が使い勝手のポイントだけに、ユーザーが直感的にパーツを落とせる感度設定にも苦労したそうだ。また、「のっぺらぼう」の状態からパーツを配置していくのは結構手間だったりするわけだが、手軽に遊べるように宇宙人顔や馬顔などの基本となる顔はボタンひとつで作成できる機能も組み入れたという。

「妖怪じみた顔になると、気持ち悪い方向に行きやすいので、インターフェイスはみんなが遊びやすい玩具的なものにしたいと思いました。また、なるべくボタンを少なくしてビジュアルで使い方がわかるように心がけました。」と、誰でも楽しめる使い勝手に注力したと児玉さんは語る。
インターフェイスについて語る、児玉さん

■プログラマとデザイナーのタッグが新しい楽しさを創出
今回の取材でわかったことは、iPhoneアプリを製作する場合、デザインとプログラムとのバランスが非常に重要だという点だ。iPhoneアプリでは、機能と操作性のバランスがうまくとれたアプリがユーザーに受け入れやすく、「HourFace」がヒットしている点もそこにあるのだろう。

モーションポートレートでは、今後もモーションポートレート技術をベースに、人々に驚きと感動をあたえるユニークなサービスを提供していくとしている。

「NullFace」製品情報
「HourFace」製品情報
モーションポートレート株式会社

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