Sony Ericsson、「XPERIA X10」で日本や世界へ巻き返しを図る【世界のモバイル】


Sony EricssonはAndroid OSを採用したスマートフォン「XPERIA X10」を発表した。2010年2月にイギリスを皮切りに全世界で発売される予定だ。販売不振が続く同社の切り札となることが期待されており、日本でも発売されることが予定されている。

XPERIA X10のスペックはHSDPA 3バンド対応、ディスプレイは4インチ854x480ピクセル、CPUはSnapdragon 1GHz、8メガピクセルカメラなどハイスペックスマートフォンに相応しいものになっている。特にディスプレイは静電式フルタッチとなっており、 iPhoneのようにレスポンスの良いタッチ操作が可能になっている。また外部メモリとしてmicroSD、3.5mmヘッドフォンジャックを備えるなどメモリースティックやSony Ericsson独自コネクタを廃止し汎用規格を採用したのも特徴だ。

OSはAndroid OS 1.6を搭載するが、UIはSony Ericsson独自の「UX(ユーザー・エクスペイレンス)プラットフォーム」を採用している。MediascapeやTimescapeといった、コミュニケーション機能を強化した独自アプリケーションも搭載される。他社のAndroidスマートフォンとは違い、見た目や操作性も大きくカスタマイズされているのである。

Sony Ericssonはここのところ販売不振に陥っているが、その一因はスマートフォン製品の欠如と言われていた。同社は長らくSymbian OS UIQプラットフォームをスマートフォンOSに採用していた。しかし同社は2008年に初のWindows Mobile OSを採用するスマートフォン「XPERIA X1」を発売。その後NokiaによるSymbian買収の影響などもあり、2008年末にUIQは破産している。同じSymbian OSを採用しながら、生産数で圧倒的な数を誇るNokia陣営のS60に対し、MotorolaやSony Ericssonのみが採用したUIQは開発に十分なリソースをかけることができず、他社OSとの競争に敗れた格好だ。

Sony EricssonもUIQからWindows MobileへスマートフォンOSを変更し再出発したはずだったが、Windows Mobile OSの競争力低下に加え、XPERIA X1は発表から発売までのタイムラグが長すぎた。2008年2月に開催されたMobile World Congress 2008の席で華々しく発表されたものの、その後夏にはAppleが新型iPhone 3Gを発売、XPERIA X1は遅れて秋にようやく登場と競争力を大きく失ってしまったのだ。2009年になり同社はSymbian S60を採用した「Satio」を発売中、追ってX1の後継機でWindows Mobileを採用したXPERIA X2が発売されるが、今回のX10が同社スマートフォンの「本命」と考えてよいだろう。
SatioはSymbian S60を採用

さてXPERIA X10のもう1つの大きなトピックは日本市場をもターゲットにしていることだ。日本のSonyとスウェーデンのEricssonの合弁会社である同社だが、これまでの製品は日本向けと海外向けは別開発、別のラインナップであった。しかしXPERIA X10は発表のプレスリリースに堂々と「Japan」の文字が明記されている上に、11月に行われたドコモの新製品発表会でもX10の発売を検討しているという話が出されている。十分なスペックと使いやすさ、見た目にもこだわったX10のような製品ならば日本でも十分受け入れられる可能性は高い。

そして日本市場でのX10の登場は、日本のスマートフォン市場を盛り上げるものにもなるだろう。Sony Ericssonのブランド力は日本では高いうえに、ビジネスよりもマルチメディア、エンターテイメントに特化したスマートフォンということで従来からの携帯電話に飽き足らない層を取り込むことも期待できる。スマートフォンと言うと日本ではiPhoneの人気が高いが、iPhoneに対抗できるライバル製品になる可能性もありそうだ。

このようにグローバルモデルと日本向けモデルを別開発していた同社であるが、X10に引き続き今後他の製品にも「全世界同時発売」の動きが展開されることもありうるだろう。例えば同社の海外向けウォークマン携帯シリーズはファッション性の高いスタイリッシュな製品が多い。スペックこそ今の日本の携帯電話より1世代ほど古いものの、エントリーモデルやデザインに特化したファッションモデルとしてならば十分通用できるだろう。同社はグローバルモデルを日本でも開発しているだけに、日本開発、全世界向け、という製品を増やせばコストの削減にも大きくつながるはずだ。

グローバルマーケットの世界シェアでは5位につけている同社だが、2008年秋のリーマンショック以降、販売台数は急激に落ち込んでいる。調査会社2007 年には年間1億台を突破した販売台数も、2008年は9300万台と1億の大台を割り込み、今年は第3四半期までに4100万台と昨年の半分レベルまで落ち込んでいる。ウォークマン携帯、サイバーショット携帯の2台柱のブランド力も陳腐化しており、同社が今最も必要としているのは「話題性があり、他社に負けないだけのハイエンド端末」である。XPERIA X10は他社とのスマートフォン競争の羨望に立つだけではなく、同社の生き残りをかけた戦略的な製品と位置づけられているわけだ。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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