雑談から次世代の発想をしぼりだせ! ブロガーが生み出す新アイデア「ABAカンファレンス2008」
ABA(アルファブロガー・アワード)は年に一度、クオリティの高い情報を発信しているブログを投稿によって決めるコンテスト型イベント。FPN徳力氏の個人プロジェクトとして2004年から開始され、2007年からはアルファブロガー運営委員会によって運営されている。
今回のカンファレンスでは「MIRAI:ネットとガジェットの融合」を基本コンセプトにガジェットやウェブサービスの未来について利用者と企業から選出されたパネラーが雑談形式でアイデアを出していくスタイルをとった。ステージの背後には「セミッター」と呼ばれるTwitterの画面を表示し、会場にいる人は自由にセミッターに書き込めるため、ステージ上のパネラーとリアルタイムに意見をぶつけられるという趣向だ。
■自爆するパソコンが欲しい - 新しいサービス、新しいガジェット
「ネットとガジェットが融合していくと、どんな新しいサービスが考えられるのか」をお題にパネルディスカッションが開始された。ソニーのLife-Xプロジェクトリーダー 湯原真司氏から新サービス「Life-X」の説明があった。
写真1「Life-X」を説明する、湯原真司氏 | 写真2 会場の人が自由にコメントをあげられるTwitterの画面 |
湯原氏は「インターネットが一般にとけ込んでみんなが発信するようになり、今度は日常がネットにとけ込んでくる世界になるのではないかと考えました。一方ではパソコンが一般化して今ではモバイルでネットをやって、ネットに繋がらない機器がなくなる時代となるように思えます。ソニーは何をするのか。(「Life-X」は)ネット上に自分用のステージを作るというイメージです」と、「Life-X」開発までの背景を語った。
「Life-X」は日々のコンテンツを1か所に集め、パソコンや携帯電話、液晶テレビ「ブラビア」、プレイステーション・ポータブル(PSP)、プレイステーション3など、デジタル機器の壁を越えて共有できるライフログ・シェアリングサービス。
ステージ上では、湯原氏が撮影した肉屋のたたき売り「肉祭り」の映像がパソコンのWEBブラウザを通して流れ、会場の笑いを誘った。次に湯原氏はネットに接続できるソニーの液晶テレビ「BRAVIA」で同じように「Life-X」の映像を表示してみせた。
このように「Life-X」は携帯電話やデジタルカメラで撮影した写真や動画、書き留めたメモやブログ、ネット上のニュースなどを一元管理することができるため仲間同士でコンテンツを手軽に共有してコミニケーションを楽しむことができる。
雑談形式のセッションだったので、話はいろいろな方向に飛び火した。Twitterの画面には、「ノートPCを紛失したときに自動的に爆発して中身のデータが消去される」といった奇抜なアイデアも飛び出し、会場は大いに沸いた。
■簡単に扱える製品が理想 - PCの可能性と未来
ASUS「Eee PC」を皮切りに今までの常識を打ち破る価格や重量のノートPCが登場し、今後はネットとさらに融合したPCが出てくることが考えられるが、第二セッションでは「今後パソコンはどうなってほしいか」をテーマに日本エイサーのミニノートPC「Aspire One」担当者 砂流恵介氏を交え、パソコンに求めていきたい機能や可能性を考えるセッションだ。
セッションのはじめに「PCの可能性と未来」と題し、日本エイザー 砂流氏から「Aspire One」を発売するまでの経緯と今後同社が目指すパソコンについての説明があった。
写真3 パソコンについて語る、日本エイサー 砂流恵介氏 | 写真4 日本エイサーのミニノートPC「Aspire One」 |
日本エイサーではユーザーのニーズにあわせて様々なパソコンを提供しており、「Aspire One」は「ネットに特化したパソコン」ということで「ネットブック」というかたちで販売している。目指すパソコンの進化系は有名なネコ型ロボット(シルエットで紹介)で、砂流氏は「これに少しでも近づけるようにがんばっていきます」と同社の最終目標を語った。
話はいろいろな方向に発展したが、パソコンはまだまだ複雑で難しく、今後は「Chamby」のようにデジタル家電で簡単にコミニケーションをとれる製品が望まれるという話でおおかた意見が一致した。設計段階からいろいろな機器との連携を考えたほうがいい、手描きのソリューションを持った機器がひとり一台になるのでは……などの意見もあった。
■Xactiが自立する裏技で盛り上がる - ネット時代のデジカメ、デジビデ
デジタルカメラやデジタルビデオカメラも、もっとネットを意識したものになることができるはず……ということで、ネット時代のデジタルカメラやデジタルビデオカメラのセッションが行われた。
冒頭、三洋電機「Xacti」担当者 塩路昌宏氏から「Xacti」の紹介があった。今でこそ「Xacti」はパソコンやインターネットとの連携が可能だが、塩路氏は「ビデオを簡単に撮ってもらいたいことから小型でどこにでも持っていけるカメラということで開発をスタートさせました」と、縦型の「Xacti」が開発されるキッカケを語った。
写真5 三洋電機「Xacti」担当者 塩路昌宏氏 | 写真6 裏技で「Xacti」を自立させたところ |
プレゼンの中では、「Xacti」を拳銃に見立てた演出により、お蔵入りとなっていたお宝ビデオが流され、会場は大いに盛り上がった。そのような中でパネラーから本イベントのスポンサーであるサンヨーのデジタルビデオカメラ「Xacti」についての不満点が持ち上がる。「Xacti」は自立しない※というのだ。
※底面が平らでないので、三脚なしでテーブルなどに上に立てておくことができない
塩路氏は「Xacti」を逆さまにして液晶モニターの角度を三脚代わりにうまく調整すると、「Xacti」だけでテーブルの上に立てておくことができる裏技を披露し、開発者ならではの裏技に会場はどよめいた。
ちなみに裏技を使って撮影した動画は上下が逆さまになるので、市販の動画ソフトなどを使い、上下を修正する必要がある。
ビデオカメラについては、子供の動画を3時間ぐらい撮影したら10分にまとめる、撮ったら格好良く(可愛く)なる、長く撮影してもダイジェストで映像を流す機能がネットワークに欲しい、ベクターイメージで距離や座標データに持つカメラがあってもいいなどの意見があった。
今回のカンファレンスで行われたTwitterのチャットの画面「セミッター」は誰でも自由に見られるので、興味を持たれた人は見てみるとよいだろう。
・「Life-X」
・ABAブログイベント「MIRAI:ネットとガジェットの融合」 - 公式サイト