ビジネスマンに愛されるスマートフォン「BlackBerry」の魅力を担当者に聞く【ケータイラボ】


株式会社NTTドコモは法人向けに展開してきたスマートフォン「BlackBerry 8707h」を、専用サーバーなどのシステム構築不要で利用できる個人向け販売を開始した。また、個人向け販売にともない個人向けのサービス「ブラックベリーインターネットサービス」もあわせて提供された。

BlackBerry 8707hはビジネスユーザー向けのスマートフォンとして世界中で利用されていることから日本での個人向けサービス提供を待ち望んでいたユーザーも多い。またアップルのiPhone 3Gの登場により、ビジネスに強いスマートフォンとして「BlackBerry」の認知度があがり、気になっているビジネスマンも多いだろう。

今回は株式会社NTTドコモ スマートフォン事業推進室 ディレクター 三嶋俊一郎氏に「BlackBerry 8707h」販売までの経緯と今後の展開をうかがった。

■個人向けに販売を開始した理由
編集部:BlackBerry 8707hを販売するまでの経緯を教えていただけますか?
三嶋氏:実は、BlackBerry 8707hは2006年9月から法人向けとしてすでに販売を行っております。こちらは企業のネットワークにBlackBerryエンタープライズサーバを用意していただく必要があり、購入してすぐにご利用いただける端末ではありませんでした。

今回は個人向けのインターネットサービスとなるブラックベリーインターネットサービスを行うことになりましたので、個人向けにも販売を開始することになった訳です。

編集部:ターゲット層を教えていただけますか?
三嶋氏:対象としてはビジネスコンシューマーおよび一部コンシューマーの人をターゲットとしております。

編集部:スマートフォンの中ではビジネスよりの端末であることはわかるのですが、具体的に何ができるのかを教えていただけますか。
三嶋氏:最近のスマートフォンは幅が広くなってきておりまして、ひと言でわけられない現状となっております。Windwos Mobileもあれば、Symbian OS、最近話題のiPhoneもスマートフォンに含めてよいと思っています。

その中でもBlackBerryというのは、北米では1990年代からサービスが始まっているものです。現在の携帯電話のかたちになったのは2001年頃だったと思います。メッセージングサービスの端末としての歴史は古いので、基本的にはeメールをやり取りするというのが一番基本的な使い方となります。

その次がウェブブラウジングで、BlackBerryメッセンジャー、BlackBerry 8707hは搭載しておりませんがGPSのサービスなどがあります。英語版では、さまざまなアプリケーションがございますので、お客様のお好みでカスタマイズも可能です。

編集部:法人向けの端末を個人向けに出したのは何がキッカケとなったのでしょうか。
三嶋氏:もともと世界中のキャリアがBlackBerryを扱っておりますが、どこも法人向けと個人向けの両方でサービスを実施しています。

そういった意味でドコモのサービスが少し特殊でして、本来であれば法人向けと個人向けの2つを同時にすべきところですが、はじめに法人向けで出したほうが強いということで、今回のようにあとから個人向けのサービスを開始した訳です。
写真1 BlackBerry 8707hでネットサーフィンをしているところ写真2 BlackBerry 8707hでExcelのグラフを表示させたところ


■ユーザーにもキャリアにも嬉しい特徴
編集部:BlackBerry 8707hの販売を開始しましたが、ユーザーの反応はどうですか。
三嶋氏:BlackBerryは世界的なブランドとなっておりますので、海外ですでにお使いのお客様は「待ってました」という反応です。とはいえ、日本ではBlackBerryの知名度がまだ低いので、メールやブラウジングが中心の使い方ですと、多機能な携帯電話に比べて物足りなさを感じるお客様もいるかと思います。

ただ、BlackBerryはデバイスとしてもサービスとしても非常に安定して稼働しておりますので、サービスが途中でダウンすることがなく使いやすさも含めよくできた端末だといえます。

あと、エンドユーザーの立場から見ると、設定が非常に簡単にできます。たとえばメールを利用したい場合、メールアドレスとパスワードを入力すれば設定が完了します。POPやSMTPを設定する必要がないので、箱を開けて10分で設定が完了します。さらにメールが来れば、リアルタイムで受信できます。

ごく特定のスマートフォンが好きで使われている人よりは、ごく普通のパソコンを使っている人が簡単に使える端末であると思います。

編集部:ほかに注目して欲しい特徴はありますか。
三嶋氏:電池の持ちが良いですね。ほかのスマートフォンは電池が1日持たないケースもありますが、BlackBerry 8707hは1日持ちます。お客様によって充電している場所は違うと思いますが、だいたい1日1回充電していれば大丈夫です。

あと、個人的にはキーボードが非常に好きです。これは個人の感覚で何ともいえないのですが、キーボードのクリック感が良く非常に打ちやすいです。
写真3 インスタントメッセンジャーでチャットしているところ写真4 親指を使ってキーボードから文字を入手しているところ

編集部:普通に考えると、常に通信しているので、電池の持ちが良いというのは意外です。
三嶋氏:それだけ電源管理がよくできているという訳です。BlackBerryのRIM社はハードウェアとソフトウェアの両方を扱っているので電源管理というものはそれなりのものを持ち合わせているのではないかと思います。

編集部:ところで、名前の由来を教えていただけますか。
三嶋氏:聞くところによると、キーボードのキーがベリー系の果物のツブツブに見えることから「BlackBerry」という名前がついたようです。

編集部:あえてライバルをあげるとすれば、どの端末になりますか。
三嶋氏:まずiPhone 3Gは音楽やビデオといったエンターテイメント系のユーザーですから、ターゲットが違います。そうなるとWindows Mobileとなりますが、こちらもターゲットの幅が広いので、強いて言えば企業ネットワークやビジネス用途でのWindows Mobile端末になると思います。


■海外でも使える端末
編集部:エンタープライズサーバーが使えるという意味で、BlackBerryの優位性があるということでしょうか。
三嶋氏:あります。たとえば、Windows Mobileですと通常のPOP3のサーバーに対応していますし、Microsoft Exchangeサーバーにも対応していますよね。ただLotus Notesには対応していなません。そういう意味でBlackBerryの優位性は企業でよく使われているグループウェアに対応できるという点があげられます。

あと、Microsoft Exchangeのダイレクトプッシュですと基本的にメールそのものが飛んでくることになります。たとえば、メールに大きなファイルが添付されていれば、それが飛んでくることになります。

BlackBerryは最初の2Kバイトだけをとります。必要であれば添付ファイルをとりにいきます。エンドユーザーである企業からみれば、パケット料金が非常に安く済むということです。

我々ネットワーク事業者からみれば、ネットワークに負荷がかからないというメリットもあります。Windows Mobileも受信するメールサイズを指定できますが、デフォルトの設定ではすべて受信します。そうするとパケット定額制がないと、コストが非常に高くなるわけです。
写真5 BlackBerryの優位性について語る、株式会社ドコモ 三嶋氏

編集部:今ちょうどパケットの話が出てきましたが、ブラックベリーデータ通信パックの上限となる8万パケットまでというのはどういうところから決められたのでしょうか。
三嶋氏:これまでのご利用パターンをみていくと、だいたい8万パケットでほぼすべてのお客様がご利用いただいているパケット数です。バイト数に直すと、約10Mバイト弱となります。BlackBeryですと、それぐらいのサイズで日々のメールやブラウジングには十分事足ります。

編集部:ちなみに海外版との違いはどこにありますか。
三嶋氏:基本的に違いはありません。ドコモのSIMしか受け付けないSIMロックが入っているだけです。あとは日本語ランゲージパックが入っているところですね。そこが違います。

編集部:なぜ、この機種を選択したのでしょうか。
三嶋氏:全世界で8707hだけが3Gに対応していたからです。8707はvとg、hの3種類あって、vはVodaphone、gは香港やシンガポールなど、hはドコモだけが販売しております。

編集部:海外に持ち出した場合、国際ローミングサービスを利用できるのでしょうか。
三嶋氏:はい。通常のドコモのローミングとなります。ただBlackBerryの場合はiモードと違ってセットアップチャージをいただかないので、そのぶんはお安くなっております。

編集部:いくらぐらい安くなるんですか。
三嶋氏:パケット料金以外の1パケット通信のセッションごとにかかる料金がいりません。国によって50円であったり、100円だったりしますが、一度切ってしまうと次にまた料金がかかります。

実はBlackBerryはいつも通信しています。実際にパケットは飛んでいませんが、論理的にネットワークを捕まえています。常にネットワークに繋がっているので、プッシュでメールが来たときにリアルタイムでメールが飛んでくる訳です。それがBlackBerryのメールの良さです。

編集部:海外では後継機種として「BlackBerry Bold」が販売されておりますが、「BlackBerry Bold」を販売する予定はございますか。
三嶋氏:検討はしております。「BlackBerry Bold」はマルチメディアにも強く、iPhoneキラーとも呼ばれている端末です。

編集部:最後に今後の展開を教えていただけますか。
三嶋氏:BlackBerryはビジネスから始まっておりますので、まずはビジネス市場をきちんとやりたいと思ってます。それプラスアルファとして端末の機能が向上すれば、エンターテイメント性のあるコンテンツもご利用いただけると思いますので、コンシューマーのお客様にもご利用いただきたいと思っております。

編集部:本日はお忙しい中、取材に応じていただきましてありがとうございました。


BlackBerry - 公式サイト
NTTドコモ


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編集部:関口哲司

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