【最新ハイテク講座】全自動からオゾンの力まで!ハイテク洗濯機の最新事情


ハイテク化が進む家電業界。かつて三種の神器といわれた「洗濯機」も例外ではなく、大きな変化を迎えている。

いまや洗濯機は、発砲水やオゾンなど驚くべきハイテク技術を洗濯機に投入している。中には冷房機付きや指紋センサー付き洗濯機まであるのだ。

ハイテク洗濯機はメーカーごとに独自の機能を備えていることが多い。実際にどのような技術が使われているのだろうか。

そこで今回は、ハイテクの塊ともいえる洗濯機の最新技術に迫ってみよう。


■洗濯機の歴史とそれを支える技術
今日のような電気式の洗濯機はどのようにして生まれたのだろうか。また洗濯機にはどのような技術があるのか。洗濯機の歴史と技術をみてみよう。

●主婦を重労働から解放 - 洗濯機のはじめて
世界初の洗濯機には諸説あるが、米国のキャプテン・ハミルトンが1960年に発明した円筒型洗濯機が世界初とされている。ちなみに日本初の洗濯機は1906年、奥山岩太郎氏が考案したもので洗濯板を上下2枚合わせた間に洗濯物を挟み、上下交互に動かす「手もみ」を応用したものだった。その後、洗濯機は加速度的な進化を遂げる。

翌年の1907年には、米国で世界初の電気式の洗濯機が発明された。国内では1930年、東芝の前身である芝浦製作所が米国のソアー社からの技術導入により国産第一号のかくはん式洗濯機「Solar」を発売した。

わが国初の電気洗濯機 - 東芝

かくはん式の洗濯機は、3枚の大きなかくはん翼がラック・ピニオン機構により左右に往復運動を行い、3通りの水流※を作って洗濯する。具体的には洗濯槽の水面近くは緩やかな流れ、中ほどでは急流、底では谷川の激流のような流れができ、洗濯物を洗う仕組みだ。

「Solar」は、家庭の主婦から「たらい」と「洗濯板」による重労働を解放する原動力となっただけでなく、日本の新たな家電産業の起業にも貢献したといわれている。


●乾燥機の種類
洗濯機は、洗濯や脱水に使う槽の違いから次の4種類に大別できる。

・一槽式
脱水槽がない洗濯機で、主に1960年代までの初期の洗濯機がこれにあたる。脱水は手動で、手で絞るか、付属のローラー式絞り機を使用した。

・二槽式
洗いとすすぎを行う槽と脱水槽からなる洗濯機。1970年代から1980年代前期までの洗濯機に多く見られる。洗濯・すすぎと脱水を同時に行えることから業務用として根強い人気がある。

・全自動洗濯機
洗い・すすぎ、脱水までをひとつの槽で行える洗濯機。初期の製品は使用する水の量が多かったが、1980年代に改良版が登場した。

・乾燥付き全自動洗濯機(洗濯乾燥機)
全自動洗濯機に乾燥機の機能を付け加えた洗濯機。洗い・すすぎ・脱水・乾燥を全自動で行える。「洗濯乾燥機」と呼んでいる会社もある。


●洗濯機を支える技術
洗濯機は洗う方式の違いで、次の3種類に大別できる。

・かくはん式
洗濯槽と同じぐらいの高さがある大型の羽根を反転させ、水流を発生させる方式。1950年代まで利用されていた。

・パルセータ式(渦巻式)
洗濯槽の底にある小型の羽根を回転させ、水流を発生する方式。「渦巻式」と呼ばれることもある。後述するドラム式でない洗濯機は現在でもパルセータ式を採用している製品が多い。日立製作所の「からまん棒」はパルセータ式の軸を伸ばし、羽のついたかくはん棒を備えたものだ。

・ドラム式
洗濯物を入れたドラムごと回転させる方式。乾燥付き全自動洗濯機やクリーニング店で使用される業務用洗濯機には、この方式が多い。


■新時代の洗濯機 ハイテク洗濯機
最新のハイテク洗濯機には、どのような製品があるのだろうか。ハイテク洗濯機の最前線をまとめてみた。

●“空気”で洗う洗濯機 - サンヨー
サンヨーのドラム式洗濯乾燥機「AQUA(アクア)」は、もっとも進化したハイテク洗濯機のひとつだ。現在でも多くの洗濯機は、洗濯物の汚れを落とすのに水を使用するが、水を使用するために洗えないモノも多く存在する。

身近な例をあげれば、ぬいぐるみやカバン、ハンドバッグ、靴などだ。これらは汚れやすいが、これまでは一般家庭で洗濯するのは難しく、専門の業者に頼むことが多かった。そこでサンヨーは、水の代わりに空気(オゾン)を使用することで、今まで家庭での洗濯が不可能とされていたモノを手軽に洗える洗濯機「AQUA」を開発したのだ。

こだわりシリーズ・[ドラム式洗濯乾燥機] オゾンを活用した全く新しい洗浄技術への挑戦! - サンヨー

もう少し詳しく説明しよう。「オゾン」は、オゾン層やオゾンホールという言葉をニュースなどで耳にした人もおおいだろう。オゾンを化学式で表すとO3と表されるように酸素原子(O)3個から構成されている。酸素は酸素分子(O2)のかたちだと安定することから、オゾン(O3)は3つの酸素のうちのひとつを何かに押し付けて酸素分子になろうとする性質をもっている。

AQUAは、「衣類の汚れやニオイの基になっている雑菌にオゾンの酸素をくっつけてしまおう」というわけである。酸素には強い殺菌力があるのでオゾンを利用すると高い除菌や脱臭効果が得られる。また、酸素からできているオゾンは残留しないので環境にもやさしいというわけだ。

化学式でみてみよう。悪臭は下記のように分解されるのだ。

・硫化水素はオゾンで硫黄と水と酸素になる
H2S + O3 -> S + H2O + O2

・アンモニアはオゾンで窒素と水になる
2NH3 + O3 -> N2 + 3H2O

さらにAQUAには、洗濯層を回さないモードも用意されており、型くずれしやすい洗濯物もキレイに洗うことができる。


●発砲水を使う洗濯機 - 三菱電機
三菱電機は、洗剤の力を引き出すことで、しつこい汚れをキレイにする発砲水を利用した洗濯機「MAW-D9YP」を販売している。発砲水とは、細かい気泡を含んだ水のことで、発砲水が洗濯物全体に広がると気泡がはじける力で洗剤が溶けやすくなり汚れが落ちるというものだ。

発砲水は、洗濯物のすすぎにも効果がある。洗濯物をすすぐときに水の中の気泡がクッションとなり水が飛び散らないので水を衣類にしっかり浸透させることができるのだ。速脱水で気になる洗剤残りをしっかり飛ばしてすすいぐことができるというわけだ。

さらに「MAW-DxYP系」では、18方向からの強力な水流により皮脂汚れをスッキリと落とす「18キラットドラム」を採用。18面のドラムを反転させることで多方向の水流を作り出し、同社の従来機に比べてかくはん力を大幅にアップさせることに成功しているという。

MAW-DxYP系の洗濯乾燥機 - 三菱電機


●冷房付き洗濯乾燥機 - 東芝
東芝のななめドラム型洗濯乾燥機「TW-2500VC」は、なんと冷房付き洗濯機だ。エアコンと同様に除湿と冷房の機能を持つコンプレッサー「エアコンサイクルエンジン」を採用することで、これまでの洗濯乾燥機に必要不可欠だったヒーターなどの熱源を使用せずに洗濯物を乾燥できるようになった。

「TW-2500VC」は通常の冷房としても使用できるので、脱衣所や洗面所の除湿してカビの発生を防いだり、エアコンの設置が困難なアメニティルームなどでの利用にも適している。

業界No.1の省エネ性能を実現したドラム式洗濯乾燥機の発売について − 世界初「冷風エアコン」機能を搭載した洗濯乾燥機 − - 東芝


●指紋認証付き洗濯機 - デザイナーが開発
洗濯のハイテク技術とは少し話がそれるが、スペインのデザイナーは指紋センサーを備えた「スマート洗濯機」を開発している。この洗濯機は、洗濯をするのがいつも女性という不公平感を解消するためのもので、同じ人が続けて洗濯するのを防ぐことができるという。

「スマート家電」のいったいどこが賢いのか - ZDNet Japan


今回はハイテク洗濯機の中でもとくに注目度の高い洗濯機を中心に紹介した。技術の進歩とともに洗濯機も日々進化し、家庭の労働を軽減するだけでなく、より安全で環境にやさしい生活を支援している。IT技術の革新が続く限り、洗濯機の未来も明るいものとなりそうである。


参考:
洗濯機 - ウィキペディア
家電ハイテクバトル! 今、洗濯機が熱い - マイコミジャーナル


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