【気になるトレンド用語】海の暴れん坊、シーシェパード


日本は捕鯨国です。以前は小学校の給食にも鯨肉のメニューがありましたので、懐かしく思い出される方もいるのではないでしょうか。

商業捕鯨は、1963年以降に続々と禁止となり、現在では調査捕鯨が行われているのみです。調査捕鯨に関しても、捕鯨反対国や自然保護団体による反対活動が強まっており、いつまで続けられるか分かりません。今年はシーシェパードの調査船に対する妨害行動がエスカレートしています。先日もシーシェパードの船から投げ込まれた薬品が目に入って船員がけがをする事態が発生しています。

■シーシェパードという団体
シーシェパードは、ポール・ワトソン氏を中心として、グリーンピースから分離独立し1977年に設立された自然保護団体です。
コンクリートで固めた船首で体当たりして何隻もの船を沈めたりすることから環境テロリストとよばれることもあります。
シーシェパードの主な標的は、日本やノルウェーの捕鯨船や海賊捕鯨船です。彼らの行動の根拠は国連世界自然憲章に則った海の自然環境保護ですが、その過激な行動が物議をかもし出しています。
彼らは "Neptune's Navy" (海神の海軍)と呼ぶ船を3隻保有しており、アメリカ合衆国ワシントンのフライデー港を拠点として活動しています。

■シーシェパードによる妨害行為
シーシェパードは、現在までに捕鯨船への過激な妨害行為を行っています。

・1980年
リスボン港にて捕鯨船シエラ号をリムペットマイン(※)によって爆破。シエラ号はシロナガスクジラなどの禁漁種を含めた海賊捕鯨を行っていました。
※軍事的目的で艦船などに対する破壊工作に用いられる水中爆破物

また同年に、マッコウクジラの捕獲一時停止に反対票を投じたカナダの代表を殺すとポール・ワトソン氏が脅迫しています。これによりカナダ政府は自国の警察を派遣し保護しています。

・1983年
カナダ警察が乗り込んだ際、船のデッキの周辺に電気ワイヤーを張っていた17人が逮捕されました。ポール・ワトソン氏を含めた3名が逃走しましたが逮捕されています。

・1986年
フェロー諸島にて捕鯨船のゴムボートを沈めようとしてライフル銃を使用。フェロー諸島の警察にも発砲したため、同海域にいたシーシェパードの船舶はフェロー領海から退去命令を受けています。また警察官に三価リンを含む信号照明弾を投げつけたり、警察の船にガソリンをまいたうえで信号照明弾を投げつけるなど凶悪な行為を行っています。

・1993年
日本の漁船に対して拳銃1発を発砲。

・2003年
和歌山県太地町のイルカ漁に用いる網を切断し、シーシェパードのメンバー2人が23日間拘束されています。これに対抗するようにシーシェパードは公式ホームページに漁業関係者や県知事の住所、電話番号を日本語で掲載し、抗議の手紙や電話を送るよう扇動しています。

・2007年
日本の調査捕鯨船「日新丸」に対して妨害行為をしました。

・2008年
1月、調査捕鯨船「第2勇新丸」に酪酸ビンを投げ込むなどの行為により乗組員が負傷しています。違法に乗り込んできた活動家2名が拘束されています。

■グリーンピースとの関係
グリーンピース・インターナショナルのキャンペーン船・エスペランサ号の活動は南極のクジラ保護区のクジラを守ることを目的としています。その活動は、捕鯨船団の乗組員、エスペランサ号の乗組員の安全を第一に考えています。シーシェパードの行為に対しては、南極でのシーシェパードと捕鯨船の危険な行動に対して、非難する声明も行っています。

グリーンピース、南極海での暴力を批判

ワトソン氏は、創設(1971年)初期のグリーンピースで活動していましたが、1977年 平和的に行動しようとするグリーンピースの方針をワトソン氏が合意しなかったことから、グリーンピースは団体を辞めるようワトソン氏に要求します。ワトソン氏はグリーンピースを離れてシー・シェパードを創設し、捕鯨に対する活動を中心に行っています。1977年以降、シー・シェパードの活動および彼の言動は、グリーンピースとは一切関係がありません。

■牛を喰らい、鯨を守る人々
欧米の人々の多くは、牛、豚、鶏の命を奪って食用としています。それなのに、なぜ鯨を食用にすることに批判的なのでしょうか。彼らと日本人との価値観や宗教的な違いによるものと言われています。
欧米の人々は、家畜は神から食用として与えられたものだから食べても良いと考えており、鯨に関しては家畜ではなく野生動物だから許せないとしています。フランス料理には野生動物である鹿を使ったものがたくさんありますが、こちらは抗議されていません。捕鯨に反対する欧米人の行動原理も整合性があるとはいえないようです。

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